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デキる社会人術「病気のお見舞いと快気祝い」のマナー

5000円でかなうコト 木下 亜沙希

デキる社会人術「病気のお見舞いと快気祝い」のマナー

PhotoAC

友人や職場の同僚など親しい人が急に入院してしまうと、心配と不安が一気に押し寄せてきて、すぐに駆け付けたい気持ちになりますね。でも、まずは一旦落ち着くことが大切。お見舞いのマナーについて、日本サービスマナー協会の木下さんに教えていただきました。

大切な人が入院することに。まず何をすればいい?

一番初めに確認することはご本人の病状です。次に、入院に至った理由、そして入院先と面会の可否について確認が必要、とのこと。ご本人が話せる場合は直接連絡を取って構いませんが、基本的には連絡をくれた人に確認をするのがよいそうです。

ご本人は入院するほどの状況です。また、病院内は携帯の使用が限られる場合もあります。できるだけ負担をかけないよう個々に連絡を取るのではなく、可能な限り一本化してまとめて知らせてもらうようにします。

「お見舞い」の基本的なマナーとは

病室

出典元:Kinwun/iStock/Thinkstock

まずはお見舞いにお伺いしても大丈夫かどうかの確認が大切です。入院後や手術後すぐは避け、状態が落ち着いたころに訪ねるようにしましょう。そしてお見舞の際は、以下の点に気をつけましょう。

1. 余裕のある時間に訪問
午前中は主治医の回診が行われることが多いので避けます。昼食が終わった午後2時以降がゆっくりしていて良いでしょう。長く滞在するとご本人が疲れてしましますので、15~20分くらいの滞在が理想です。

2. 少人数で訪ねる
病室への訪問は、ご本人だけでなく同室の入院患者さんにも配慮が必要です。大人数での訪問や小さな子どもの同行はせず、1人か2人程度で訪問します。

3. 服装は落ち着いたものを
病院内はお洒落がしたくてもできない患者さんが多数いらっしゃいます。華美過ぎる服装やメイクは避け、香りも控えます。

4. 穏やかな会話を
お見舞いに行く側も心配でならないでしょうが、一番不安なのは入院しているご本人です。病状や退院時期をこちらから詳しく聞いたり、仕事の話をしたりするのはNG。ご家族に対してもご負担になるような会話は避けます。

「お見舞いをする側もお相手の顔を見られれば少し安心できるように、ご本人にとっても親しい人が顔を見せてくれることはとても安心できる嬉しいこと」と木下さん。ほんのわずかな時間かもしれませんが、お互いに顔を見せて早めに失礼し、あとはゆっくり静養してもらえるよう心掛けましょう。

御見舞いの金額の相場は? 木下さんおすすめのお見舞いの品は?

御見舞い

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御見舞いの金額の相場や品物についても教えていただきました。

1. 御見舞いの金額や渡すタイミング
御見舞いの金額は一般的な相場で、知人・友人・同僚や上司の場合で3000円~5000円。親族で5000円~1万円です。それぞれの関係性にもよりますので、目安として参考にしてください。

金額を決める際、4・6・9は良くないことを連想させる数字ですので避けたほうがよいとのこと。御見舞いを包むのは、紅白の結びきりのものを。このようなこと(入院)が何度もないように、ほどけない結びきりを用います。表書きは「御見舞」とします。
(もし、入院を知るのが遅くなりお見舞いが間に合わなかった場合やすでに退院されていたら「退院祝い」、自宅療養の場合は「御見舞い」としてできるだけ早いタイミングでお渡しします)

御見舞いのお渡しはお会いしたらすぐに。訪問時もし眠っているようだったら、ご家族かナースステーションに預けておきましょう。

花とカード

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2.おすすめのお見舞いの品
お見舞いの品は、お相手にとって手間が必要なく、すぐに利用できるか保管しておけるものがおすすめです。お花なら花瓶に挿す切り花よりも、そのまま置けるフラワーアレンジメントを。フルーツなら、果物丸ごとのフルーツ盛りよりも、食べきりサイズのカットフルーツやジュース・ゼリーなどの加工品も喜ばれます。

そのほかには、何枚あっても助かる質の良いタオルや、眺めるだけで楽しいフォトブック、手で握ったり簡単なツボ押しができたりするマッサージボールもおすすめだそう。女性ならハンドクリームなども重宝します。親しい間柄であれば必要なものを直接尋ねるのもよさそうです。入院中はさまざまな感覚が非常に敏感になるものです。いずれも刺激の強い色や香りのものは避けるように心掛けましょう。

お見舞いを終え皆さんが帰ったあと、ご本人はひとり残されて寂しくなるかもしれません。「お相手を思う気持ちをひとこと、メッセージカードにしたためて添えてみては?」と木下さんからご提案をいただきました。手書きの文字は言葉以上に気持ちを伝えてくれそうですね。

退院後の「快気祝い」ってどんなものですか?

入院していたご本人は、退院後に御見舞いをいただいた方に「快気祝い」を行います。「快気祝い」とは「本来、病気や怪我が良くなった喜びをお裾分けするものでしたが、現在では、回復のお知らせとお見舞いのお礼を兼ねたものとして捉えられています」と木下さん。

返礼品の相場は、いただいた御見舞いとお見舞いの品を合計した金額の1/3~1/2程度。残るものではなく、食べてなくなるものや流せるものが縁起がいいとされており、お菓子や洗剤などが一般的です。

お熨斗は全快なら「快気祝い」、退院や自宅療養の場合は「御見舞御礼」「快気内祝い」とします。退院後10日以内に送るのが望ましいところですが、病後で難しい場合などは30日を目安に送れるようにします。

お見舞で大切なのは相手を思いやる気持ち

フラワーアレンジメント

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木下さんから「お見舞いをする皆さんも大切な人が入院をして不安な気持ちでいっぱいだと思いますが、入院患者さんご本人が一番心細く過敏になっていることを忘れないようにしましょう。ご家族も同じです。どんな状況でもご本人やご家族の前では泣くことがないように。また不安になるような会話は慎みます」と、アドバイスをいただきました。

「元気になるのを待っているよ。ゆっくりと静養してね」そんな気持ちを込めて、お互いに顔を見せ合い安心できるひとときが一番のお見舞い。心を込めて病室を訪ねてみましょう。


御見舞に行くときは心配や不安な気持ちが先立ってしまいがちですが、大切なのは相手を思いやる心なのですね。「顔を見せる」気持ちで、負担にならないように伺おうと思います。木下さん、ありがとうございました。