くらし

ドア開閉を軽くする金具、個性あるスイッチ、ディープな建物金具の世界

3000円でかなうコト 松山 真介

ドア開閉を軽くする金具、個性あるスイッチ、ディープな建物金具の世界

ドアのレバーハンドルや丁番、収納家具の取っ手、スイッチカバー・・・建築や家具の「金物」にはさまざまな種類があります。普段の生活であまり気にすることはないかもしれませんが、住まいには欠かせないものですよね。こうした金物の選び方によって、実は住まいはもっと快適に、もっとステキになるのだそう。今回は、リノベーションの専門家・リノベエステイトの松山真介さんと一緒に、家具建築金物について考えます。

製品数は約3万点! 家具建築金物メーカーに取材

ショールーム3階

今回取材に伺ったのは、「スガツネ工業株式会社」の福岡ショールーム(福岡市博多区)。同社は、家具建築金物や産業用部品の設計開発を手掛けるほか、海外のトップブランドの金物も扱っています。福岡営業所の所長・大坂茂樹さんにショールームを案内してもらいました。

写真は、3フロアにわたる広いショールームの3階部分。製品の数に圧倒されます。大坂さんによると、同社で扱う製品数は約3万点にものぼるそうです。「みなさん知らず知らずのうちに、スガツネさんの商品を使っていると思いますよ。縁の下の力持ちのような存在ですね」と松山さん。

ジュエリーのような高級品からシンプルな定番品まで

丁番とつまみ

こちらの小さな扉には、それぞれ違った材質・デザインの「つまみ」と「丁番」がついています。

「お客さんの好みに応じてですが、シンプルなインダストリアルデザインが好きなので、そういうテイストが感じられるものを選ぶことが多いですね」と松山さん。工場用のドアのハンドルを住宅に使うなど、本来の用途とは違った使い方をすることもあるそうです。「機能性を徹底的に追求していて、味も素っ気もない、それがかっこいいんですよ。しかも壊れにくい」(松山さん)

工業製品のテイストを取り入れた「インダストリアルデザイン」は、最近特に人気がありますよね。

つまみ

こちらにもハンドルやつまみがズラリと並んでいます。スワロフスキーを使った高級品、子ども向けの花や動物を象った楽しいもの、アンティーク調のもの、ありとあらゆる種類があり、インテリアに応じて選ぶことができます。

「ヨーロッパでは、カフスボタンを付け替えるように、家具のつまみやハンドルは付け替えるものという考え方が浸透しています。子ども用の家具の取っ手を子ども自身に選ばせて、成長に応じて取り替えていくとか、そんな楽しみ方もしているようです」(大坂さん)

空間に合わせて、スイッチプレートを選ぶ贅沢

スイッチプレート

こちらはスイッチやコンセントのプレートがずらりと並んだコーナーです。250種類を超える豊富なバリエーションで、きっとお気に入りのデザインが見つかります。ただし、交換の際は、ご自宅のスイッチやコンセントのプレートと互換性があるか確認してくださいね。

LAMP クールメタル

ミニマルなデザインが人気のスイッチプレート。
LAMP クールメタル(ヘアライン仕上)3024円(税込)

建具の“動かし方”をデザインする


「建具の金物は、普段はあまり目が行かない黒子的な存在ですが、たくさんの工夫がつまっているんですよ」と、大坂さん。

例えば、ドアクローザーは開き戸がゆっくり静かに閉まるように取り付けられているものですが、ドアを開けるとき、重たく感じることがありますね。上の写真は同社の「ラプコンドアダンパー」。こちらなら、ドアを少し開けるとアームが離れるので、開けるときも軽いのだそう。見た目もすっきりしています。

台所収納


こちらは台所の収納扉。L字型のキッチンは、どうしても隅の部分がデッドスペースになりがちです。「ここをスライド式のドアにすると、無駄なく使えるんですよ」と大坂さん。開き戸のように扉の前の空間を広く取らなくても、開け閉め可能です。

引き戸 開けた状態

こちらのドア・・・

引き戸 閉じた状態

閉めると、壁と一続きに!取っ手もないのですっきりと見えます。まるで忍者屋敷の扉みたいですね。「すごい!」と松山さんも感心しきりです。

「限られた空間をいかに有効に活用するか、建築家の方が苦労しながらデザインするわけですが、我々がさまざまな機能を持つ建築金物を提供することで、その一助になればと考えています」(大坂さん)

「木製とか、鉄製とか、建具の表面的なデザインに目が行きがちですが、スガツネさんは、建具の動かし方をデザインしているんですよね。建具の付加価値アップに、こうした優れた建築金物が貢献してくれているんです」(松山さん)


引き戸や開き戸だけじゃなく、いろんなカタチの建具があることに驚きました! 収納家具の取っ手やスイッチカバーは、空間の主役ではないけれど、毎日必ず使うもの。お気に入りを取り入れたら、もっと住まいが楽しく快適になりそうですね。

《取材協力》スガツネ工業株式会社
      こだわり建築インテリア金物.com