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博多の常識「祝いめでた」と飲み会の締め「博多手一本」の意味を解説

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博多の人ならだれでも知っている「祝いめでた」と「博多手一本」ですが、実は意外なルーツがあるようです。博多手一本は飲み会の締めの挨拶、祝いめでたの唄は結婚式などお祝いの席には欠かせませんね。博多に根付いた二つの事柄の意味や由来など、ちょっとした豆知識をご紹介します。

「祝いめでた」と「博多手一本」の由来とは

博多祇園山笠NAVI

博多の人ならみんな知ってる「祝いめでた」と「博多手一本」。幼少の頃から親しんでいるこの二つに、深い地元愛を感じる人も多いのでは。今さら?と思うかもしれませんが、ここでおさらい。「祝いめでた」はハレの時に唄われる博多限定の祝い唄です。

「祝いめでたの~」で始まるこの唄は博多祇園山笠の追い山、櫛田入りの際に一番山笠だけが唄える縁起の良い唄。慶事や祭りはもちろん、ちょっとした宴会や、前年に亡くなった人を弔う追善山などでも唄われ、人々の生活にしっかり根付いています。「祝いめでた」の最後は「博多手一本」という、独特の手拍子で締められることが多く、この二つは切っても切れない関係であるといえます。

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伊勢音頭を博多に持ち帰ったことが由来とされる結婚式に欠かせない「祝いめでた」

歴史街道GIS(浮世絵コレクション)

「祝いめでた」は、伊勢神宮へお参りに出かけた人々が伊勢音頭を聞き覚えて博多に持ち帰ったのが始まりだとか。江戸の昔、地元から出ることを禁じられていた庶民ですが、お伊勢参りだけは例外として認められていました。その結果、お伊勢参りは庶民の憧れとなり、たくさんの人が伊勢をめざしました。各地の人が聞き覚えて唄を持ち帰ったため、「めでた」「若松様」で始まる唄は各地に存在しているものの、節回しや音程は多様です。

有名なところでは山形の「花笠音頭」も同じ出だしの歌詞ではじまりますが、音程は全く違いますね。お祭りなどで「祝いめでた」と「博多手一本」はセットであることが多いのは博多流に発展したからこそ。「伊勢のめでたい唄をぜひ博多にも根付かせたい!」という地元愛がギュッと詰まっているのです。

独特なリズムが特徴 会議や飲み会の挨拶の締めに欠かせない「博多手一本」の意味

独特な合いの手が特徴の「博多手一本」。「祝いめでた」の後の締めや、式典などの大きなセレモニーではもちろん、ちょっとした会議、時にはもめ事を治める時にも「博多手一本」を入れます。これは「博多手一本」に「異議なし」という意味があるため。「博多手一本」を入れたらそれ以降異議は唱えないという暗黙のルールがあり、決めごとや喧嘩両成敗の収め方として根付いたものです。

ちなみに大阪によく似た「大阪締め」がありますが、大阪の文化を博多流に発展させたものが「博多手一本」だといわれています。

セレモニーやお祭りはもちろん、飲み会や送別会など日常生活でもよく目にする「博多手一本」には、その場を収める以上に、地元愛でつながる一体感を感じるために行った側面もあったのかもしれません。ちなみに「博多手一本」は打つや締めるとは言わずに「手一本を入れる」というのが正式です。


「祝いめでた」と「博多手一本」は、元々他の土地から来て博多に根付いた文化ですが、どちらも結婚式や飲み会の挨拶の締めでは欠かせないものとなりました。威勢がよく気風のいい博多っ子の気質に合うよう独自に発展したものなんですね。それぞれの由来を知ったらいつもの唄もちょっと新鮮に聞こえるのではないでしょうか。

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