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憧れのサロネーゼに! 料理教室の夢はこうして近づく

350万円でかなうコト

憧れのサロネーゼに! 料理教室の夢はこうして近づく

家事や子育てをしながら、週に何日かは料理の先生に変身! 自宅で趣味・特技を活かした教室を開く"サロネーゼ"に憧れる女性は多いのでは? ただ、憧れる反面、部屋づくりや資金準備など不安があるのも事実。福岡で活動するサロネーゼに、開業準備の秘訣を学んでみましょう。

福岡市中央区、明るい日差しが差し込む海外のアパルトマンのような空間。ここで料理教室「Asa sofra(アサ・ソフラ)」を主宰している古川麻水さんは、以前は地元情報誌の編集者として働いていたという経歴を持つサロネーゼ。数々の飲食店を取材しているうちに「自分でも飲食の仕事がしたい!」と夢がふくらみ、構想1年半、開業準備に半年をかけ、2015年5月に料理教室をオープンさせました。

カレー講座に150人! 宣伝はFacebookの"口コミ"で

古川さんが料理教室で教えているのは「世界の保存食」。スパイスミックスやXO醬のペーストといったベースの保存食をひとつ、さらにその保存食を使った4種のメニューが学べる、実用的な構成が人気です。特にスパイスミックスと4種のカレーレシピの回は好評で、これまでに150人が受講しているそう!

「休日に保存食を作っておけば、毎日忙しくても簡単に料理できるメニューを提案しています。個人ではなかなかスパイスから作る機会はありませんが、作り方を知っておくだけで、本格的なカレーがお味噌汁感覚で作れるようになるんですよ」

受講者は働く女性や忙しい主婦がメイン。16人が定員で、集客・宣伝は主にFacebookを活用しています。受講者のFacebookを見て、そのお友達や知り合いも受講を申し込む・・・という”口コミ効果”で、今では生徒さんの8割がFacebookを通じてレッスンに訪れるのだそうです。

広い部屋がなくてもOK! 自宅サロンで生活感を消すコツは?

でも、一度に6人も自宅に呼ぶとなれば、充実した調理設備や大きな部屋が必要なのでは・・・と、気になる人は多いはず。古川さんのサロンは、3Kの間取りの賃貸マンション。それぞれの部屋を7人が立って作業できるテーブルを備えたレッスンルーム、飲食用ルーム、調理器具の収納ルームと用途を分けて使っています。水回りやキッチンも完備され、自宅も兼ねています。

写真は、古川さんを含めた7名が立って調理を行うレッスンルーム。写真左奥のタペストリーの向こうが飲食ルームです。

「レッスンのときは備え付けのキッチンは基本的に使用せず、作業台の上に卓上コンロを置いて行います。料理教室をするには、ひとつ広いお部屋が必要と思われそうですが、作った後は場所を変えて飲食店で楽しむような空間にしたかったんです」

写真は飲食ルーム。写真の奥に調理器具の収納ルームがあります。こうして部屋が分かれているのは、自宅として使う古川さんにとっても便利なのだそう。実は上の写真の手前部分には、天井まで高さのある大きな棚が置かれ、古川さんの生活スペースが隠れているのです。これは、生活感を見せないための工夫。自宅でサロンを開業したい人の参考になりそうです!

物件探しは、一般的な住居用の賃貸マンションを取り扱う不動産業者に依頼。「仕事をしながら料理作りも楽しむ生活をイメージして、”海外のアパルトマン風”をテーマに探しました」と古川さん。人の集まりやすい明るい空間作りを意識しながら、鉄道沿線・バス停の近さなど交通アクセスにも注目しました。

写真は、飲食ルームとガラスの壁で隔てられた、調理器具の収納ルーム。鍋やフライパンは"見せる収納"で、空間に彩りを与えています。入居前は、こんな様子でした(奥が飲食ルーム)。

開業に必要なお金は? 自己資金はいくら準備するべき?

最初から広い部屋や充実した設備を準備しなくては、と意気込まなくても、工夫をすることでサロン開業の夢はぐっと近づきそう。でもやっぱり、気になるのはお金の問題。古川さんは、自己資金の約50万円に加え、300万円を借り入れ、総額350万円を準備したといいます。

「内装業者に床を磨いてもらったり、壁面を一部塗装したりと簡単なリノベーションをしました。また、調理器具の調達も必要で、準備には結構お金を使います。当面の運転資金に加えて、私の場合は物件契約時の敷金・礼金も必要でしたね。その分、レッスン用の作業台はイケアで購入した木材を組み合わせて作るなど、予算内で収める工夫もしました」

「自己資金はある程度必要」と古川さん。資金を借り入れた場合は月々の返済も必要に。事前になるべく自己資金を準備しておくことで、開業後の負担が減って安心できるかもしれませんね。

「やりたい!」と思ったときが始めどき

明確な教室のコンセプトづくりと数々の工夫を重ね、夢の料理教室をオープンさせた古川さん。現在では自身の創業体験をもとに、中小企業庁の経営相談員「よろず支援拠点」コーディネーターとして創業支援の相談員やセミナーも行っています。

古川さんは「資金計画の際は、ターゲットの設定やその土地のニーズを分析することが大事です。でも、料理教室は調理師免許や食品衛生管理者などの特別な免許は何もいらないので、挑戦しやすいと思いますよ!」とアドバイスします。

「頭で考えるより、まず行動することが大事。憧れは抱いていても、うまくいくか不安、もう少し修業してから・・・となかなか踏み出せずにいる方も多いはず。でも、『やりたい!』という気持ちが強いときこそ頑張れるし、そこを乗り越えたら何にも代えられない楽しみが待っていますよ」


自宅で、好きな時間に好きなことを仕事にできる、サロネーゼという選択。密かに抱いていた憧れを、今こそ実現に移してみては?