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カリスマFPが教える 今考えたい“お財布”のこと 第1回 横山家のお財布事情「貯まる家庭」はコミュニケーション上手

株式会社ZUU編集

カリスマFPが教える 今考えたい“お財布”のこと 第1回 横山家のお財布事情「貯まる家庭」はコミュニケーション上手

「借金から抜け出したい」「赤字体質をなんとかしたい」「なぜかお金が貯まらない」などの相談に乗り、個人の“家計再生”を手がけるファイナンシャル・プランナー(FP)で家計再生コンサルタントでもあり、累計発行部数50万部の『はじめての人のための3000円投資生活』の著者である横山光昭(よこやま・みつあき)さん。

家計再生とは、収入よりも支出が多くなった「赤字」の家計を、収入の中で支出が収まり、将来に向けて貯めることもできるように、心がけなどを含めた「体質」そのものを変えていくこと。横山さんの伴走で家計を立て直せた人は、累計1万人を超えています。

23歳で家庭を持ち、現在45歳で子育て真っ只中の横山さんは、mymo読者にも身近な存在。横山さんのお財布(家計)」の考え方を、3回に分けてたっぷり伺ってきました。

第1回目は、パパとしての横山さんに聞く、横山家のお財布事情です。

■その月の収入・支出を家族会議で公開

横山さんは大学生を筆頭に5女、1男の6人の子どもたちのパパです。横山家では月に1回家族会議を開き、収入と支出を公開して、お金の使い道を多数決で決めています。

「プロならではの、子どもへの金融教育?」と思ってしまいますが、まったくそうではなく、きっかけは小さなことだったと横山さんは振り返ります。

「夫婦でお金の話をしていたとき、当時小学3年生だった長女が会話に入ってきたのです。子どもの問いかけって本質的ですよね。答えているうちに『家族みんなに関係あることだから、みんなで話した方がいいよね』となったんですよ」(以下、カギカッコ内はすべて横山さん談)

■「お金の心配はするな」を真に受けていた

家族で家計の話をするという背景には、横山さん自身の大きな反省があります。

「私が大学進学するとき、大人ぶって『大学に入って家計は大丈夫なの?』と聞いたことがありました。そうしたら父が『馬鹿野郎!お前はそんなことは気にしなくていいんだ』って。それで『そうか、気にしなくていいんだ』って真に受けてしまったんです」

親は苦労して学費を工面してくれていたに違いありません。でも横山さんはそれに気づくことはなく、その後大学を退学してしまいます。クレジットカードが“魔法のカード”のように思えて、多額のキャッシングをしてパチンコにつぎ込んだこともありました。

「自分が親になってみて、家族には『お金のありがたみや、お金があるからこそ夢がかなえられる』ということを伝えたほうがいいんじゃないかという思いもあったんですよね。伝え方を間違えると子どもが心配してしまうのでそこは気を付けますが、基本は隠すべきことではないと」

■本当の目的は「コミュニケーション」

月例の家族会議では、まず家族を前に、横山さんが収入と支出を発表します。“寄付をしよう” “習いごとがしたい”というお金まわりのことは、発案した人が説明して、質疑応答のうえ、多数決で決めます。会社の経営会議のようなスタイルです。

横山さんが本当にしたいのは、家族の中でのコミュニケーションを高めること。パパだけの自己満足にならないように、会議では横山さんも1票しか持ちません。みんなで決めたことを尊重します。

「きれいごとに聞こえるかもしれないけれど、いい仕事ができるのは家族に支えてもらってのことなので、お金は家族みんなのもの」と横山さん。だからこそ、使うときはみんなで話し合うのです。

横山家の会議では、“欲しい”という言葉を使うと、多数決で落とされてしまいます。“私にはこのためにお金が必要です。その理由は……”と説明をして、厳しい質問もクリアしなければなりません。

「塾に行きたい、習いごとを始めたい、などには『本当に続くの?』『そんなことやっている場合なの?』と、親が言わなくてもお姉ちゃんが言ったりしますから(笑)」

“この支出は自分にとって、本当に必要なのだろうか……”と自問自答する。それは、簡単に決済ができてしまう今の時代、私たちみんなに必要なことかもしれません。

横山家では、子どもたちのお小遣いは“米ドル建て”で渡します。そのため、使うときは為替変動の影響を受けます。しかしこれも“子どもに国際政治や経済に関心を持たせるため”というような、堅苦しいものではないようです。

「便利な時代にあえて不自由や“どうしてだろう”と考えるワンクッションを設けることで、自分で考える習慣をつけ、家族とのコミュニケーションを図る意味のほうが大きい」と横山さんは語ります。

■家計管理は、家族やパートナーと一緒に

次回以降は、家計再生コンサルタントとしての横山さんが、“貯められる家庭”になるコツを教えてくれます。

そこで注目すべきは、お金が貯まることと年収の高さは関係がなく、むしろ年収が高いほど浪費型に陥ってしまいがちなこと。年収に関係なく、家庭内のコミュニケーションが上手な家庭こそ、お金が貯まりやすい資質があるという事実です。

「うちの場合は、いろいろ試した結果、みんなと一緒に話し合いながら必要なものを買っていくスタイルに落ち着きました。それぞれの家庭に適した方法があると思いますが、少なくとも夫婦の間では、お金に関してコミュニケーションができていることが『貯められる』第一歩なんですよ」


第2回をお楽しみに!