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「給与明細」見方が分かれば、毎月の保険料を減らせるかも?

ためる 権藤 知弘

「給与明細」見方が分かれば、毎月の保険料を減らせるかも?

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皆さんの手元に毎月届く「給与明細」。手取り金額しか確認していない人も多いのではないでしょうか?
特に給与控除の社会保険料や、所得税、住民税等の税金は明細を見てもよく分からないかもしれません。

今回は「給与明細の見方」について、FPの立場で解説します。明細の項目、その中でも「社会保険料」の意味が分かると、ひょっとすると毎月のやりくりが変わるかもしれません。

給与明細書の項目は「勤怠」「支給」「控除」「その他」の4つ

給与明細

大きく分けると、項目は下記の4つです。

1.勤怠・・・・月々の勤務日数、勤務時間に関係した項目
2.支給・・・・月々の基本給など支給(支払われるお金)に関係した項目
3.控除・・・・月々の保険料、税金などの、控除(引かれるお金)に関係した項目
4.その他・・・一時的な項目で、年末調整等で支払われる、又は引かれるお金


上の項目の中で「うゎ~、こんなに引かれてる!」とびっくりする控除の項目、特に社会保険料について説明していきます。

社会保険の内容が分かれば保険料が減らせる?

・健康保険(介護保険)
・年金
・労災保険
・雇用保険

労災保険は雇用主が全額負担、残りの3つは会社と従業員が負担します。

① 健康保険料
病気やケガなどの医療費負担を軽くする国民健康保険。保険料は「標準報酬月額」x「保険料率」で計算、会社と従業員で半分ずつ負担します。

この制度により皆さんの手元に保険証が届き、現役世代は医療費の3割負担で済んでいます。また入院した際も高額療養費制度により、収入で異なりますが、医療費は約8万円程度の負担で収まります(食事代や差額ベッド代除く)。

かなり手厚いです。そうすると、皆さんが現在加入している医療保険、そこまで必要でしょうか?

② 厚生年金保険料
老齢での退職、障害又は死亡した場合に、本人や家族が年金を受給するもの。会社と従業員で半分ずつ負担します。報酬比例で、国民年金に上乗せ支給です。

年金という言葉を聞くと、65歳以上でもらえる老齢年金を想像される方が多いと思います。実はその他に、遺族年金と障害年金という2つの年金制度があり、その年金保険料も含まれています。

遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方により生計を維持されていた遺族が受けとる年金です。

厚生年金に加入していない国民年金加入者の方でも年額77万9,300円+子の加算が受け取れますので、厚生年金保険に加入されていると、上記の金額より多く受給できます。

ただし、年金額は配偶者の方の年齢やお子さんの有無や年齢により異なります。

万が一の際に困らないよう、必要な生活費と受取可能な遺族年金額額を確認し、生活していくのに不足がないか計算しておくとよいでしょう。

この遺族年金額をきちんと把握すると、無駄な生命保険料を払う必要がなくなります。

③ 介護保険料
寝たきりや認知症などで自力での生活が困難になった際の公的補助で「介護サービス」制度がありますが、そのための費用です。40歳から64歳までの従業員は介護保険料を負担。会社と従業員で半分ずつ負担します。

④ 雇用保険料
失業した時に再就職までの生活を安定させ、就職活動を円滑に行える様に給付するもの。端的に言えば、失業保険のための保険料です。

上記がいわゆる社会保険料といわれるものです。

給与の計算
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お手元にある給与明細をゆっくりとご覧になれば、社会保険料の金額の多さに改めて驚かれるかもしれません。

少子高齢化で社会保険料の負担は残念ながら年々増加していますが、日本の社会保険制度は非常に手厚い内容になっています。

特に現役生代の生活を守る「遺族年金」「障害年金」制度や「高額療養費制度」などの公的保障制度を考えると、皆さんの生命保険料や医療保険料を削減することができるかもしれません。

社会保険制度を考慮して、毎月の固定費になっている保険料を削減できれば、今までよりも貯蓄を増やせる方も多くなるかもしれませんね。