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リストラで失業…会社都合で退職した時に知っておきたい手続き・お金の注意点まとめ

ためる 権藤 知弘

リストラで失業…会社都合で退職した時に知っておきたい手続き・お金の注意点まとめ

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会社を退職する理由は自己都合と会社都合に分けられます。今回はリストラや倒産など会社都合で退職した場合を中心に、失業保険や年金など退職にまつわる手続きなど・注意点を紹介します。

会社都合退職と自己都合退職の違い

会社を「辞めた」のか「辞めさせられた」のかにより、失業手当を受給するまでの期間が異なります。

会社都合退職

一般的には企業の業績の悪化や、人員構成の若返りを図るためなど会社の都合で人員を整理するために従業員に退職してもらうことを会社都合退職といいます。この場合、ハローワークで手続きをすると、7日間の待機期間を経て失業手当を受給することが出来ます。従業員自身には退職の意思がないにもかかわらず退職となるため、受給までの待機期間が短くなっています。

自己都合退職

従業員自身の意思で退職することです。退職理由はさまざまかと思いますが、自己の都合により退職するので、会社都合退職よりも、失業手当の受給開始まで時間がかかります。自己都合退職の場合、待機期間7日間に加え、さらに2カ月間の給付制限期間を経て失業手当の受給がスタートします。(条件により給付制限期間が3カ月の場合もあります)

リストラや倒産で失業した場合の手続き

自己都合での退職とリストラや倒産などにより退職になった場合の手続きに大きな違いはありません。

(1)退職金について

退職金が出るかどうかは企業の退職金規定の有無によります。会社都合・自己都合を問わず、退職金規程が会社で準備されていれば退職金の支給対象になります。そのため「リストラだから退職金を支払わない」ということが万が一あれば、管轄の労働局に相談しましょう。

なお企業が早期退職者を募る場合、金額を上乗せした退職金が支給されることもあります。しかし企業の倒産により退職になった場合は、規程があったとしても、資金の問題で実際に受け取ることは難しいケースが多いようです。なお懲戒解雇の場合、退職金は支給されません。

また企業に退職金規程がなければ、会社都合によるリストラ退職でも退職金を受け取ることは難しいでしょう。

(2)失業保険の申請・手続き・必要な書類

退職して失業保険を受け取るにはハローワークでの申請手続きが必要です。

【失業手当の申請に必要な条件】

  • 失業状態であること=働く意思はあるが仕事に就けていないこと
  • 雇用保険加入期間が条件を満たしていること
    リストラや倒産が原因の場合・・・退職日以前の1年間に、雇用保険通算6カ月以上加入
    自己都合の場合 ・・・退職日以前の2年間に、雇用保険通算12カ月以上加入
  • ハローワークに求職の申し込みをしていること

上記の3つの条件を満たしていることで失業保険の申請ができます。

【退職時に受け取る書類】

  • 雇用保険被保険者証・・・雇用保険に加入していたことを証明する書類です。
  • 年金手帳・・・厚生年金の被保険者であることを証明する手帳です。
  •  源泉徴収票・・・その年に会社から支払われた給与やボーナスなどの合計と、そこから天引きされた所得税の金額が記載された書類です。退職して一カ月程度で渡されます。
  • 離職票・・・失業手当をハローワークに申請する時に必要です。※次の勤務先が決まっていて失業手当の申請が不要であれば離職票は不要です。

 なお離職票には退職理由が記載されます。会社都合・自己都合など記載内容に間違いがないか確認しましょう。

【失業手当の申請】

失業手当は申請者の自宅住所を管轄するハローワークへ、下記の書類を持参して申請します。

  • 離職票
  • 本人確認書類および写真
  • 金融機関の通帳と印鑑

上記の書類を持参し、ハローワークで求職の申し込みと同時に失業手当の申請をします。申請を行うと7日間の待機期間が始まります。待機期間とは退職理由に関係なく適応されます。会社都合で退職した場合は、待機期間が終了すると直ちに失業手当を受給できます。自己都合で退職した場合、待機期間が終了して受給が始まるまでさらに2カ月の制限があります。

また退職理由で失業保険の受給期間も異なります。

  • 自己都合退職で雇用保険の被保険者期間10年未満であれば「最大90日」
  • 会社都合退職 年齢30歳以上35歳未満、被保険者期間5年以上10年未満なら「最大180日」

上記は一例ですが、年齢や雇用保険の被保険者期間により受給期間が変わります。

健康保険・年金の切り替え申請・手続きも必要

年金手帳
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退職したら失業保険以外にも、健康保険や年金などの手続きが必要です。

健康保険

会社を退職すると健康保険を切り替える必要があります。具体的には「国民健康保険・任意継続制度・家族の扶養に入る」の3つの中から選択します。

  • 国民健康保険・・・自宅住所の自治体へ。健康保険資格喪失証明書が必要です。退職した会社の健康保険や国民健康保険組合を辞める場合は、資格喪失証明書を持って住民票を登録している自治体へ申請します
  • 任意継続制度・・・退職した会社の健康保険を継続する場合は、自宅に送られてくる申請書に必要事項を記入して申請します
  • 家族の扶養へ・・・扶養に入る家族の会社へ申告が必要です

年金

厚生年金の加入者で転職先が決まっていなければ、国民年金保険へ切り替える、または家族の扶養に入る手続きのどちらかが必要です。国民年金へ切り替える場合は自治体の年金窓口に申請します。また家族の扶養に入れず国民年金の保険料を納めることが難しい場合は、猶予措置などがありますので、延滞や未納にせず、必ず窓口で相談してください。

まとめ

仕事を探す人
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キャリアアップや待遇向上のために退職し、転職することもあれば、リストラや業績不振などで心ならずも退職せざるを得ないこともあるでしょう。いずれにしても退職は大きな変化です。各種の手続きは面倒でも早めに終わらせましょう。