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“労働所得を増やす”為に必要な自身のスキルの棚卸しの仕方とは?

私達の新しい「お金と生き方」の選択肢「パラレルインカム」のはじめ方 泉 正人

一度しかない人生。“自分らしく”“豊かに”“自由に”生きたいと思いませんか?

この講座「『パラレルインカム』のはじめ方」では、そうした生き方の実現方法を、身近な生活のお金や会計、経済、資産運用などに関して幅広い見識を持つ「ファイナンシャルアカデミー」の代表・泉正人先生が、わかりやすくレクチャーします。

また3講座が終了するごとに、このメソッドを実践し、自分らしい生き方を手に入れた6名の「パラレルインカム・ストーリー」も紹介。

今、話題の「FIRE」の先をゆく新しいメソッド「パラレルインカム」。みなさんもぜひ、このメソッドを活用して、自由で豊かな人生を自らつくってみませんか?

「パラレルインカム」を実現する4つのステップとは?

さて今回の講座からは、パラレルインカム実現に向けたステップについてお話ししていくよ。

いよいよですね。楽しみだなぁ。

パラレルインカムの実現ステップは、「1.労働所得を増やす」「2.資産構築をする」「3.資産所得をつくる」「4.仕事でも自己実現を達成する」の4つに分けられるので、その順番で話をしていくね。順を追ってステップを踏んでいくことで、経済的自由が手に入るだけでなく、時間の自由や仕事の自由といった、本当の意味での人生の自由が得られるようになると思うよ。

よろしくお願いいたします!

ではまずステップ1の「労働所得を増やす」。このステップ1は、次のステップ2で資産を構築するための元手や種銭を稼ぐステップと言えるよ。

労働所得を増やすというと、会社員の場合は「給料を増やす」、自営業の場合は「利益を増やす」ということをイメージしますね。

でも漫然と「がんばって働く」だけでは労働所得は増えていかないよね。そもそも労働所得というものがどのような要素から成り立っているのかを知って、効率的に増やしていかないと、人生の自由はいつまで経っても近づいてきてはくれないんだ。

成り立つための要素を知る、ですか。

そう。まず、労働所得を増やす要素は、大きく「市場」と「自分」に分けることができる。

まず「市場」とは?

たとえば、アメリカの男子プロバスケットボールリーグであるNBAは、野球のNLB、アイスホッケーのNHL、アメリカンフットボールのNFLと並ぶアメリカ4大スポーツの1つとして知られているよね。

はい。

NBAに所属するバスケットボール選手の平均年俸は、イギリスのスポーツ調査会社のデータによると、1選手あたり約10億円 (2019年/20シーズン)。一方、日本では2016年にプロバスケットボールリーグであるBリーグが発足したけれど、このリーグでプレーする日本人選手の平均年俸は1310万円 (2019年)、日本代表選手に限っても、平均年俸は3010万円と発表されているんだ。

平均年俸で比較すると、NBAとBリーグは単純計算で約75倍もの市場格差があるんですね。

NBAの市場がなぜこんなに大きいのか。それは歴史があり、世界的にファンも多く、スポンサー企業やテレビ局などが巨額のお金を出しているから。そう考えると、バスケットボールプレイヤーとして同じスキルを持っているとき、日本でプレーするよりアメリカでプレーしたほうが、年俸が上がるといえるわけなんだ。

なるほど! それで労働所得を増やす要素に「市場」が入ってくるんですね。

そういうこと。そして市場によって所得が変わるというのは、日本の会社員も同じこと。国税庁が発表している「民間給与実態統計調査」(令和4年分)で、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与を業種別に見ると、最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の747万円、次に「金融業、保険業」の656万円。対して、最も低いのは「宿泊業、飲食サービス業」の268万円。僕たちが日常的に利用している電気・ガス・水道などのインフラ関係は、確実に需要があって、将来的に需要がなくなる可能性も低いので、安定して高い給与を得ているよね。

サービス業や飲食業は競争も激しいですし、離職率が高かったりするので、平均給与が低くなる傾向にありそうですね。

『会社四季報』などを見ると、企業単位で従業員の平均年収が掲載されていて、業種によって給与に開きがあることがわかる。この市場の相場を知ると、飲食業界で勤めている人が、飲食業界の同業他社に転職をしても、それほど大きくは給与が上がらない可能性が高いんだ。

もちろん、飲食業界でも多くの収入を得ている人がいないわけではないけれど、パラレルインカムを実現するために労働所得を増やす、ということを最優先に考えるのであれば、市場の違いを踏まえたうえで、転職や独立・起業などの方法を探っていくことが重要と言えるよね。

市場規模もそうですが、もしかして「希少性」とかも関係しますか?

そうだね。たとえば、公認会計士の資格を持ったうえで「大企業専門」といった希少性のある強みを手にしている人は、需要と供給のバランスから高い所得を得られる可能性が高くなる。

転職サイトなんかでリクルート情報を検索していると、大手企業の会計監査や財務デューデリジェンスを担える人材は、最低1000万円以上といった高額の給与で募集が行われていたりしますもんね。

お、Jくん、「財務デューデリジェンス」を知っているんだね。「財務デューデリジェンス」とは、主にM&Aなどの取引で、対象会社の財務や会計に関して、分析やリスク把握などを行う調査のことで、確かに大企業で担える人は希少性が高く、年俸も上がる。対して、一般企業で経理や財務の仕事をしている人は、同じ公認会計士の資格を持っていたとしても、仕事でその知識やスキルを活かせる機会があまりなく、希少性を付加価値に置き換えることが難しいので、高い所得は望みにくいといえるんだ。

同じ職種で働くにしても、付加価値や希少性のあるなしで給与は大きく違ってくるんですね。

そう。労働所得を増やすなら、付加価値や希少性を手に入れて、それを活かすという視点も必要なんだ。

「スキル」と「コンピテンシー」とは?

次に見ていきたいのが「自分」という要素。自分という要素の中には、「スキル」と「コンピテンシー」があることを知っているかな?

スキルはわかりますけど、コンピテンシーは初めて聞きました。

まずこの講座ではスキルを「訓練や学習をすることによって培われる高度な技術」と定義することにするよ。このスキルは、さらに「知識」「生産性」「クオリティ」に分解することができる。

まず「知識」とは、文字どおり仕事を進めていくうえで必要とされる知識のこと。たとえば医師なら、患者さんを診察するために絶対的に必要な医学的知識があって、最新の知識を学んでいれば、より効果的な治療ができ、患者さんからの評価を得ることができるよね。

そうですね。

次に「生産性」というのは、たくさん仕事ができる、仕事が早い、といったこと。そして、「クオリティ」は仕事の質のこと。十分な知識を身につけたうえで、生産性とクオリティの高い仕事をすれば、確実に成果を上げて、所得増に結びつけることができる。

では、コンピテンシーとは?

「ハイパフォーマーに共通する行動特性」などと訳されて、数値化しにくいけれども確実に認められる特性を指すものだよ。これは目標を達成するために必要な能力であり、一部の企業の人事評価などで重視されている。

具体的にはどんなものがありますか?

「コミュニケーション能力」「誠実さ」「リスクテイク」「チャレンジ性」「第一印象度」「プレゼンテーション力」「ムードメーカー性」などがこれにあたるかな。

なるほど!

氷山にたとえるなら、海上に見えている「氷山の一角」といわれる部分がスキルにあたり、海中にあって見えない大きな氷山の部分がコンピテンシーに相当する。コンピテンシーが、その人のスキルを根本で支えているようなイメージだね。

大切なのは、スキルとコンピテンシーの棚卸し

もしも労働所得を増やしたいと思うなら、あらためて、スキルとコンピテンシーを棚卸ししてみよう。Jくんは、自分のスキルを言葉に表すことができるかな?

えっ、自分のスキルを言葉で!? 難しいなぁ。

たとえば経理職の場合だと、知識は「日商簿記2級を取得している」「エクセルの高度な技を知っている」といったことが挙げられるかもしれないね。生産性については、「月次の締めを12営業日から6営業日でできるようにした」「伝票の電子化を進めて残業時間を〇時間削減した」などと表現できる。クオリティに関しては、「ミスを前年比〇%削減した」などが挙げられるんじゃないかな。

わ、それぞれについて細かく言語化し、可視化することで、スキルが自覚しやすくなりますね。

また、コンピテンシーも、「①自分にあって、使っている」「②自分にあるが、使っていない」「③自分にないが、労働所得を上げるために必要」の、3つの視点から整理することが必要だよ。

やってみます。

スキルとコンピテンシーについて整理できたら、今のJくんの仕事がどのようなスキルとコンピテンシーの掛け合わせによって成立しているのかを明らかにしてみよう。

えーっと…。「豊富な商品知識(スキル)と、プレゼンテーション力(コンピテンシー)を掛け合わせて、営業職として成果を出している」という感じですか?

そうそう、そんな感じ。そしてもし、今の仕事であまり活用できていないスキルやコンピテンシーがあることに気づいたなら、それらを使ってどのような価値を生み出せるか、どのような希少性を獲得できるか、どのような市場に入り込めるかを考えていこう。

はい!そして自分が持っていないスキルやコンピテンシーのうち、「これがあれば労働所得が上がる」というものがあれば、どうやってそれを手に入れ、活用するかを考えればいいんですね。

そのとおり!

まずは、ひたすら仕事に集中すること

僕は、労働所得を増やすステップでは、仕事に集中したほうがいいと考えているんだ。

なぜですか?

仕事に集中すると単純に稼ぎやすいということもあるけれど、もっと重要なのは、集中して取り組むと視野が広がって、見える景色が変わってくるからだよ。

なるほど。

それに、集中的に働くと、確実にスキルが上がる。ゴルフで100回スイングをするより、1万回スイングしたほうが上達するのと同じ理屈だね。しかも不思議なことに、本気で仕事のスキルを上げようとすると、人間関係も変化してくるんだ。

えっ、人間関係も!?

うん。なぜなら仕事に集中することで、それまで同僚と会社の愚痴ばかり言っていたのがムダに思えてきて、より生産性を上げるために部長と業務改善について話し合ったり、社長と経営について話し合ったりしたくなるかもしれない。部長や社長にとっても、現場を熟知した社員から建設的な意見をもらえることには大きな意味があるよね。立場は違えど、頼りになる存在として一目置いてかわいがってくれるようになるはずだよ。

なるほどなぁ…。

つき合う人が変われば、当然のように思考も変化していく。思考の変化に伴って、本当にやりがいのある仕事や伸びしろのある仕事に気づいたり、あらためて自分がやっている仕事の価値を知ったりできるんだよ。

話を聞いているとやる気が出てきました。まずは自分の棚卸しからやってみます!

次回は、「パラレルインカムを実現するステップ2、資産構築をする」についてお話ししていきます。お楽しみに!