月々の支払いが厳しいときなど、広告で見た「債務整理」という言葉が気になっている人もいるかもしれません。しかし債務整理は、借金を減らしたり、ゼロにしたりとメリットも大きい反面、デメリットもあります。そこで今回は、国による借金救済制度のうち、債務整理の仕組みやメリット・デメリットについて解説しましょう。

「借金救済制度」は借金救済を目的にした国の制度

「払い過ぎた返済金が戻ってくる」という過払金請求のCMを見たことがある人も多いのではないでしょうか？この過払金請求や債務整理のことを、借金救済制度といいます。借金救済を目的に制定された、国が認めた制度です。

まず過払金返還請求とは、金融業者から借金をした際に、法律上払い過ぎた利息＝過払金がある場合、その過払金を請求して取り戻すというもの。そして債務整理は、支払いの方法などを変えて借金の悩みを解決しようというものです。今回はこの債務整理について、詳しく見ていきましょう。

債務整理3つの手続き。任意整理、個人再生、自己破産とは？

債務整理には次の3つの手続き方法があります。

・任意整理
・個人再生
・自己破産

任意整理

任意整理とは、返済期間の延長・利息のカットを行い、通常の生活が送れる範囲に月々の支払いを減額して返済しやすくする手続きのこと。借金総額にもよりますが、1/2～1/3程度の減額が可能です。裁判所を介さず、金融業者と直接交渉を行うのが特徴。

個人再生

個人再生は、裁判所へ申し立てをして、借金を減額してもらう手続きのことです。減額後は3～5年かけて返済していきます。任意整理よりも減額の幅が大きく、借金を8割程度減らすことができます。

自己破産

自己破産とは、支払い不可能なことを裁判所に認めてもらい、借金を全額免除してもらう手続きのこと。借金ゼロになる一方、車や家などの財産は手放す必要があります。

ブラックリストに載る？債務整理のメリット・デメリット

それぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

任意整理のメリット・デメリット

メリット
・家族に内緒で手続きできる
・利息カット、さらに長期分割にできる
・ギャンブルなどの借入でも和解が可能

デメリット
・元本はカットされない
・信用情報機関に情報登録される（ブラックリスト掲載）
・和解ができない可能性がある

したがって、任意整理は、月々の返済額さえ減額できれば完済できる人に向いています。

個人再生のメリット・デメリット

メリット
・総額を最大で9割（多くは8割）減らせる
・条件を満たせば住宅を手放さなくてもよい
・ギャンブルなどの借入でも認められる可能性が高い

デメリット
・裁判所を介すため家族に知られる可能性が高い
・「官報」に氏名、住所が掲載される
・信用情報機関に情報登録される（ブラックリスト掲載）

任意整理は難しいものの、自己破産をすると仕事などに影響が出る人、財産を手放したくない人に向いています。

自己破産のメリット・デメリット

メリット
・税金などの非免責債権以外、全ての借金が帳消しになる
・収入がない人も選択できる
・強制執行（差し押さえ）を止めることができる

デメリット
・家族に知られずに手続きすることは不可能
・「官報」に氏名、住所が掲載される
・信用情報機関に情報登録される（ブラックリスト掲載）
・20万円以上の財産は手放さなければならない

借金の総額が大きく返済不可能、無職で収入がない人など向けの手続きです。

今まで見てきた通り「債務整理」には、さまざまなデメリットがあります。気軽に利用せず、本当に借金返済に困ったときは、手続きの前にまずは弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談してください。自分に合った借金返済や借金救済制度を提案してもらいましょう。