お金

支出をコントロールし、投資で資産を増やしていくために大切なこと

私達の新しい「お金と生き方」の選択肢「パラレルインカム」のはじめ方 泉 正人

一度しかない人生。“自分らしく”“豊かに”“自由に”生きたいと思いませんか?

この講座「『パラレルインカム』のはじめ方」では、そうした生き方の実現方法を、身近な生活のお金や会計、経済、資産運用などに関して幅広い見識を持つ「ファイナンシャルアカデミー」の代表・泉正人先生が、わかりやすくレクチャーします。

また3講座が終了するごとに、このメソッドを実践し、自分らしい生き方を手に入れた6名の「パラレルインカム・ストーリー」も紹介。

今、話題の「FIRE」の先をゆく新しいメソッド「パラレルインカム」。みなさんもぜひ、このメソッドを活用して、自由で豊かな人生を自らつくってみませんか?

ライフスタイル・インフレーションを知っていますか?

前回の講座では、パラレルインカムを実現するには4つのステップがあること、そしてそのうちのステップ1について話してきたので、今回はステップ2について話していくね。

ステップ1は「労働所得を増やす」でしたよね。ステップ2は?

「資産構築をする」。その方法には2つあって、第1の方法が「支出をコントロールすること」。第2の方法が「投資によって資産を増やすこと」。順に話していくね。

よろしくお願いします!

まず第1の方法について。支出をコントロールする理由は2つあるんだ。1つは資産構築が早くなるから。そしてもう1つは経済的自由のハードルが下がる効果があるから。

支出を減らすと資産構築が早くなるというのは、単純に日々の支出が減れば、その分のお金を貯蓄に回せるということですか?

その通り。そして経済的自由のハードルが下がるというのは、生活コストの総額が減ることで、資産からの所得が生活に必要な支出を上回る状態(経済的自由)を達成しやすくなるということ。

支出をコントロールすることの重要性がわかってきました。

そして、支出をコントロールしていくうえで最初に知って欲しいのが、「ライフスタイル・インフレーション」という言葉なんだ。

ライフスタイル・インフレーションとは?

簡単に言うと、自分の収入が上がるにつれて、生活レベルが上がり、支出が増えていくということ。日本では消費の仕方の変化に伴って、ライフスタイル・インフレーションの傾向が強くなっているといわれているんだ。今は、一昔前と比べてクレジットカードを使って食事や買い物をする機会が増えているよね。クレジットカードはいわば、先払いのシステムであり、稼ぐ前にお金が使えてしまう状態ともいえるんだ。

なるほど…。こうした消費文化の広まりによって、いつの間にかライフスタイル・インフレーションに陥ることが多くなっているんですね。

もちろん、増えた収入に応じて生活レベルを上げて豊かに暮らすこと自体、一概に悪いわけではないのだけど、日本では、年次が上がっていくにつれて給与やボーナスが右肩上がりになる時代は終わっているよね。会社に勤務して収入を上げ続けるのは、ステップ1で紹介したように、よほど高い意識で労働所得を増やしていかない限りは、現実的に難しい状況なんだ。

だから、確実に資産構築をするためには、ライフスタイル・インフレーションに注意することが大切なんですね。

人がライフスタイル・インフレーションに陥る理由に、イギリスの政治学者であるパーキンソンという人が提唱した「パーキンソンの法則」というものがある。この法則には第1法則と第2法則があって、まず第1法則は、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」。

たとえば、夏休みの宿題みたいなものですか?締め切りが9月1日と言われると、ついつい宿題に手をつけるのを後回しにして、8月最終週になってからあわててドリルをこなす、というような。

そういうこと。そして第2法則が、「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」。これはまさにお金にかかわる法則で、放っておくと人は収入の額までお金を使い切ってしまうというものだよ。毎月の収入を当たり前のように使い切っていたら、予想外の出費があったときに、一気に赤字に転落することにもなりかねないよね。

“仕組み”で貯蓄をつくる方法とは?

先生、では僕たちはライフスタイル・インフレーションをどのようにコントロールしていくべきなのでしょうか?

次の3つの方法を伝えよう。①仕組みで貯蓄をつくる、②生活コストを抑える、③お金に対して長期視点を持つ。まず①の「仕組みで貯蓄をつくる」から話していこう。突然だけど、クイズ。貯蓄をするとき、一番やってはいけないのはどんなことだと思う?

えっ、無理に貯金しすぎて手元にお金がなくなった…とかですか?

「余ったお金を貯める」というやり方だよ。先ほど話したパーキンソンの法則でも示されているように、人は放っておくと収入額までお金を使い切ってしまう傾向がある。「余ったら貯める」では、なかなか貯まらないんだ。そこで、仕組みに頼ることにするんだ。仕組み化するときに使うのは「2対6対2の法則」。

2対6対2。何の割合ですか?

毎月の給料を2割・6割・2割に分けて使うというものだよ。まず、2割は「貯蓄」に回す。財形貯蓄や銀行の自動送金のサービスなどを利用すれば、毎月決まった額を自動的に貯蓄できるようになるよね。この2割の貯蓄は、ステップ3で資産所得を生み出すための原資、つまり雪だるまの芯になるので、きちんと確保することが大切だよ。

では、もう1つの2割は?

自己投資。投資は、「投じたお金がそれ以上の価値になって自分に返ってくるもの」を意味するよね。株や不動産に限った話ではなく、「自分」に対してでも同じなんだ。パラレルインカムの最終的な目標は、自分が好きなことだけで生きていくことであり、生きがいを感じられるような仕事をすること、というのを覚えているかな?

はい。ただ、現時点では、生きがいと思えるような取り組みが見つかっておらず…。

焦る必要はないよ。これからステップ2、ステップ3と進んでいく間に見つけていけばいい。そのためにも重要なのが、この自己投資なんだ。たとえば、コーヒーが好きな人は、休日にひたすらカフェめぐりをしてみるといったことに、自覚的にお金を使うことが大切。そこから何かコーヒーにかかわる仕事=生きがいにつながるヒントが見つかる可能性が高くなるから。

わかりやすいです。そして、6割は?

残った6割のお金で生活をしていきましょう、ということだよ。

生活コストを抑えるための3つのポイント

次は、②「生活コストを抑える」ですね。

これは、「無自覚な出費を減らすためにお金を自覚的に使っていく」とも言い換えられる。ステップ1で、労働所得を上げる方法について話したけれど、労働所得を上げるよりも生活コストを抑えるほうが比較的取り組みやすいというメリットがあるんだ。

そうなんですね。

生活コストを抑える方法は、次の3点から考えていくよ。(a)消費と浪費を混同しない、(b)数字と感情を分けて考える、(c)リセールバリュー(売るときの価格)を考えて買い物をする。

まず1つ目の「消費と浪費を混同しない」とは?

「消費」とは生活に必要不可欠な衣食住などにお金を使うことであり、「浪費」は必要以上の贅沢。何かにお金を使おうとするとき、それが自分にとって消費なのか、浪費なのか、それとも投資なのかを意識するだけでも、お金の使い方が変わってくるよ。浪費にあたると感じたものは、極力減らしていこう。

はい、意識します!

生活コストを抑える2つ目の方法は、「数字と感情を分けて考える」。僕たちが買い物に行くと、店の人たちはいろいろな感情をかきたてながら商品をおすすめしてくるよね。

その通りです!「限定〇台」「〇日まで20%OFF」といった情報を耳にすると、急にその商品が欲しくなることがありますし、感情が揺さぶられて「絶対にお得だ!」「今買わないと損!」という気分になります。

でも、そこで一呼吸おいて「これって本当に買って得するのかな?」と考えると、少し冷静になることができる。「限定品だからテンションが上がっただけなのかも」などと自覚すると、あえて買わなくてもいいという結論が出せるようになる。つまり、ムダな出費を減らせるというわけ。

感情が揺さぶられそうになったときには、「それって本当に必要?」と自分の心に問いかけてみます。

そして3つ目の方法は「リセールバリュー(売るときの価格)を考えて買い物をする」。これは、すでに意識して取り組んでいる方が多いかもしれない。今は、メルカリなどのフリマアプリを利用して、気軽にモノを売り買いする機会が増えているよね。

そうですね。僕も時々利用しています。

メルカリに頻繁に出品をする人の中には、何か新しいモノを買うときに「これを売るとしたらいくらくらいになるんだろう」などと、おおよその売却額をチェックしてから買ったりしている人もいるよね。当然、リセールバリューが購入時の価格に近ければ近いほどいいということ。

リセールバリューが高いものを中心に買うことを意識すれば、ムダな買い物を減らせるということですね。

その通り!

お金に対して長期的な視点を持とう

ライフスタイル・インフレーションをコントロールする方法にはもう1つありましたよね。

そうだね。③「お金に対して長期視点を持つ」。長期視点を持つとは、10年後、20年後、30年後といった長期的な視点でお金について考えるということだよ。ここで覚えて欲しいのが、「200倍の法則」と「7割の法則」という2つの法則。

今日は覚えるべき法則がたくさんありますね。

まず「200倍の法則」とは、物件の価格が適正なのか、もしくは割安なのかを測ることができるルールであり、特にこれから不動産を買おうという方には知っておいて欲しい法則。たとえば、Jくんが3,500万円の不動産を買おうとしたとき、近隣の同じようなマンションの平均家賃が20万円だったとしよう。平均家賃20万円とは、購入したマンションを平均20万円の家賃で人に貸すことができるということだよ。

ここに「200倍の法則」を当てはめると、20万円×200倍=4,000万円となる。この200倍の金額と比較して、購入しようとする物件が高いか安いかを判定するんだ。

購入を検討しているマンションが3,500万円だったら、4,000万円よりも価格が下なので、「200倍の法則」に当てはめるとお買い得といえる、ということですか?

そうそう。近隣で、欲しい物件と同じくらいの築年数で、同じくらいの広さの物件がいくらくらいで貸し出されているのかは、不動産サイトで検索すれば、すぐに調べられる。そこで出てきた家賃に200をかけて判断すればいいよ。ちなみに、日本の場合、新築のマンションは300倍を超えるケースがほとんどなんだ。

えっ、全然お得じゃないですね。

お金的に得とは言えないけれど、200倍を超えたから買ってはいけないというわけではないんだ。得とは言えないと知ったうえで、自覚的にお金を使えるかどうかを考えることが大切なんだよ。

おぉ、何か試される感じですね…。

次に「7割の法則」。これは、30年後の資産価値が、購入価格の7割以上かどうかをチェックするというもの。たとえば、AとBという2つの物件があったとする。Aは都心にあり、購入時の価格は5,000万円。これに対してBの物件は郊外にあり、購入時の価格は3,000万円。

Aは都心にあって便利ですが、Bは広さもあって安さに魅力を感じますね。

結果的に30年後を見ると、Aの価格は3,500万円、Bは500万円になった。見方を変えれば、Aの物件は30年間の住居費が1,500万円、Bは2,500万円だったといえる。どっちがお得かというと、Aであると判断できるよね。このように、30年後の資産価値を見て、7割残っているかどうかを目安にすることがポイントなんだ。

30年後に7割の価値があるかどうかを測る方法としては、インターネットの物件検索などで自分が買いたいと思う物件の周りにある物件について、築10年、築20年、築30年それぞれの平均坪単価を見ていく方法がある。これによって、おおよそ30年後の資産価値を予想できるよ。

「7割の法則」を意識すれば、「安物買いの銭失い」になるのを避けられるというわけですね!

「資産保全」ではなく「資産形成」をすべき理由とは?

資産構築の第2の方法は、投資によって資産を増やしていくというもの。なぜ資産を増やす必要があるのかというと、資産所得を生んでくれる「2本目の木」の実りを大きくするうえで、木そのものを大きくすることが有効だからなんだ。

「大きなりんごの木を持てば、たくさんのりんごを収穫できる」という理屈なのでしょうか。

そうなんだ。ところで、世の中の資産運用の手法は大きく2つに分けられるけど知っているかな?

株と投資信託、とかですか?

う~ん、もう少し広い考え方で、「資産保全」と「資産形成」の2つ。「資産保全」とは、資産を減らさないように守る運用方法であり、「資産形成」は資産を大きく増やすための運用方法を意味する。つまり、資産保全はお金を減らしたくない人が取り組むべき手法であり、資産形成はお金を増やしたい人が取り組むべき手法といえる。

なぜこの2つについて知る必要があるのですか?

資産形成をしているつもりでも、たとえばインデックス投信など、実は資産保全に意識が向いているケースが多いからだよ。いま僕たちが取り組もうとしているのは、資産を短期間で大きく増やすこと。であるならば、取り組むべきは資産保全ではなく、資産形成となるはずなんだ。さぁ、ステップ2では「資産形成」に取り組むということを、しっかり押さえられたかな?

そうですね。すぐに実践できそうなこともいろいろありました。次回も楽しみにしています!

次回は、「PECDメソッドで効率的に資産を増やす方法とは?」についてお話ししていきます。お楽しみに!