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【所得別】会社員の副業、どこまで経費で落とせる?注意点も

ためる 中村 賢司

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近年、副業をしている会社員が増加しています。技術の進歩と働き方の多様化により、副業を通じて新たな収入源を得る機会が拡大しているのです。また、副業を容認する企業も増えてきたことや物価高騰の影響も副業を後押ししているといえるでしょう。

しかし、副業を行う際には、税金の計算や経費計上の知識が不可欠です。そこでこの記事では、副業における所得の区分、経費計上の基本、そして税務上注意すべき点について解説します。

あなたの副業収入はどの所得区分?

副業で得た所得は、その性質に応じて「雑所得」「事業所得」「不動産所得」のいずれかに分類されます。この区分は、副業からの収入がどのような活動によって生じたかに基づきます。

例えば、プロジェクトの受託やフリーランスとしての業務など、継続して事業を営む場合は通常「事業所得」とみなされます。一方、たまに行う単発のアルバイトといった一時的な収入は「雑所得」となることが多いです。ただし、パートやアルバイトの収入でも企業と雇用契約を結んでいる場合は「給与所得」とみなされます。さらに、賃貸物件など不動産から得る家賃収入は「不動産所得」に分類されます。

次に、それぞれの区分について詳しく説明します。

「事業所得」

事業所得は、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。例えば、定期的な事業活動や自営業から得られる収入などがこれにあたり、フリーランスのデザイナー、コンサルタント、ウェブ開発者などがこのカテゴリーに属します。事業所得は継続的な収入源であり、確定申告で青色申告を選択すると事業に関連する経費を控除できるだけでなく、さまざまなメリットを受けることができます。

「雑所得」

雑所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにもあたらない所得で、定期的でない収入や一時的な業務から得られる収入を指します。例えば、講演会の講師料や執筆活動に対する報酬などが含まれます。フリマアプリやネットオークションなどで得た収入も一時的なものであれば雑所得となります。

「不動産所得」

不動産所得は、土地や建物などの不動産の貸し付け、借地権など不動産の上に存する権利の設定および貸し付け、船舶や航空機の貸し付けなどから得られた所得のことをいいます。例えば、マンションやアパートといった賃貸物件からの家賃収入がこれにあたります。不動産所得では、物件の維持管理費用や修理費などを経費として計上することが可能です。

副業で経費に計上できる費用は?

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副業に関連する費用の中で、直接的に事業活動に結びつくものは経費として計上できます。これには、事務用品の購入費、通信費(インターネットや携帯電話)、旅費交通費、広告宣伝費などが含まれます。

また、事業に活かせる特定のスキルを学ぶための教育費や研修費、教材費なども経費計上の対象となり得ます。これらにかかる費用は事業の収益を増やすために必要なものとみなされ、適切に管理・記録しておくことで経費として認められます。

さらに自宅を事務所として使用している場合は、家賃や水道光熱費も経費として計上することが可能です。しかしその金額は全額ではなく、プライベートと副業の割合で按分し経費計上することとなります。詳しくは後述します。

それぞれの所得区分に応じて経費として計上できるものは具体的に次の通りです。

雑所得の経費

交通費:講演のための移動にかかる交通費
材料費:成果物作成に必要な材料
通信費:インターネットや携帯電話の使用料
事務用品:筆記用具やノート、プリンター用紙など
専門書や参考資料の購入費:情報収集やスキル向上に関連する書籍の購入費
研修やセミナー参加費:職業能力向上のためのセミナーや研修にかかる費用

事業所得の経費

仕入れ費:商品や原材料の購入費
人件費:従業員やアルバイトへの給与や賞与
家賃・水道光熱費:事業用のオフィスや店舗の家賃、電気・ガス・水道などの水道光熱費
交通費:営業活動や仕入れのための移動費
広告宣伝費:マーケティングや広告活動に関連する費用
機器・設備の購入費:10万円以下のパソコンやカメラなどの機器購入費
減価償却費:10万円以上の設備や機械(詳しくは後述します)
通信費:インターネットや電話の使用料

不動産所得の経費

建物の修繕費:賃貸物件の修理や改装にかかる費用
管理費:物件管理の会社への支払いや共益費
固定資産税・都市計画税:不動産にかかる税金
保険料:火災保険や地震保険などの保険料
ローン利息:物件購入のためのローンの利息部分(元本部分の返済は経費とはなりません)
減価償却費:建物の経年減価に基づく費用

副業で経費に計上できない費用

副業に関連する費用の中で、個人的な利用が主なものや事業活動と直接関連しないものは経費として認められません。例えば、個人的な嗜好品や趣味に関連する費用、家族との食事やレジャー費用、個人的な衣類購入費などが含まれます。

経費はいくらまで認められる?

経費の計上には上限が設定されていないため、実際に発生した合理的な費用は全て計上することができます。しかし、不当に高い経費や事業と関連性の低い経費を計上すると、税務調査の対象となる可能性がある点には注意が必要です。

過度な経費計上をしたことで、税務署の調査を受けて修正申告が必要になったり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかる可能性もあります。経費の計上は慎重に行い、もし誤りに気がついたらできるだけ早く修正申告をするようにしましょう。

副業の経費で注意すべき点

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経費の計上にあたり、自宅を事務所として使用している場合や10万円以上の備品を購入した場合は、以下の点に注意してください。

按分計算

個人と事業で共用するもの(例えば自宅の一部をオフィスとして使用する場合)に関しては、使用割合に応じた按分計算を行う必要があります。これには家賃や水道光熱費などが含まれます。

例えば、自宅全体の面積が100平米で仕事に使うスペースが20平米の場合、支払う家賃の20%を経費に計上できます。水道光熱費に関しても同様に按分計算し、仮に一人暮らしで仕事をしている時間が1日8時間、睡眠時間が8時間とすると、50%が妥当な割合となります。家族と暮らしている場合はどのくらいの按分比率が妥当か計算するのは難しいので、税理士や税務署に相談することをおすすめします。

購入費用が10万円以上の備品など

設備投資や高価な機器の購入など、10万円以上の備品の購入費用は耐用年数に応じて経費計上する必要があります。これを減価償却費といい、一度に全額を経費として計上するのではなく耐用年数に応じて複数年にわたり経費計上することとなります。

まとめ

副業における経費計上は、事業者としての収支管理を効果的に行うために非常に重要です。確定申告時には、税務上の問題を避けるためにも、適切に経費を計上し、事業に関連する費用と個人的な費用を明確に区別することが求められます。

たまに家族との食事代を接待交際費として経費計上できると思っている方もおられますが、個人的な娯楽や旅行費、食事代は経費計上の対象外です。

確定申告時には、全ての収入と支出を正確に申告することが求められますので、税務に関して不明点がある場合は、税理士や税務署に相談することをおすすめします。