2025年3月24日から、新たな取り組みとして「マイナ免許証」の導入が始まります。マイナンバーカードと運転免許証が一体化されることで、私たちの生活にどのような変化が訪れるのでしょうか。

この記事では、マイナ免許証の発行方法や更新方法といった基本的な情報や、メリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。運転免許証を持っている方、またこれから取得を考えている方にとって、このマイナ免許証がどのような意味を持つのか確認していきましょう。

2025年3月導入開始の「マイナ免許証」とは

マイナ免許証は、マイナンバーカードのICチップに「運転免許証の番号」「有効期限」「免許の種類」「眼鏡が必要などの条件」「顔写真」などの免許情報を記録して、マイナンバーカードが運転免許証として使用できるようになる制度です。見た目は現在のマイナンバーカードと変わりませんが、運転免許証の情報を統合する新しい取り組みです。

マイナンバーカードのICチップに免許情報を記録するだけなので、券面には運転免許証の番号や有効期間などは一切記載されません。運転免許証の情報を確認する方法は、専用のスマホアプリを使ってカードのICチップ内部の情報を読み取るようになります。

運転免許証としての役割をマイナンバーカードに持たせることで、カード1枚で幅広いサービスが利用可能になります。これにより、従来の運転免許証を携帯する必要もなくなります。

マイナ免許証として使えるのは、2025年3月24日以降とされています。この日から新規発行や更新の際に希望すれば、マイナ免許証として登録が可能です。

現行の運転免許証はどうなる？2枚持ちが必要？ 

2024年12月2日から健康保険証とマイナンバーカードを一体化した「マイナ保険証」が導入されましたが、マイナ保険証に切り替わるタイミングで健康保険証の新規発行は廃止となりました。しかしマイナ免許証の場合は、導入後も現行の運転免許証は引き続き有効です。

なぜ2枚持ちの選択肢が残るのかというと、一部の外国では運転する際に日本の従来の運転免許証が必要なところがあるためです。

また切り替えも義務ではなく、利用者の判断で選択が可能となっています。つまり、以下の3つの選択肢から選ぶことができます。

現行の運転免許証は廃止されることはなく、引き続き使用することが可能です。ただし、手数料に違いがあるためこの点については後述します。

マイナ免許証のメリット・デメリットは？

次に、マイナ免許証を選択する際に知っておきたいメリットとデメリットについてポイントを紹介します。

マイナ免許証のメリット5つ

1．カードの一体化による利便性向上
運転免許証とマイナンバーカードを統合することで、複数のカードを持ち歩く必要がなくなります。1枚に集約できるため、財布の中身がすっきりします。また自治体や医療機関、金融機関などでの本人確認がスムーズになります。

2．住所・氏名変更の手続きが簡略化
引っ越しや婚姻による住所・氏名の変更があった場合、これまでは免許証とマイナンバーカードそれぞれに変更手続きが必要でした。しかしマイナ免許証であれば、変更手続きは市区町村の役場で変更手続きをすればその情報はマイナ免許証に共有されるので、運転免許センターや警察署に赴く必要がありません。

3．新規発行、更新手数料が安い
マイナ免許証の新規発行・更新手数料は従来の運転免許証より安く設定されています。マイナ免許証の新規発行手数料は1550円で、従来の運転免許証の交付手数料2050円から500円値下げとなります。一方、従来の運転免許証については2350円となり、300円値上がりします。詳細は下表の通りです。

＜マイナ免許証と従来の運転免許証の発行手数料一覧＞

※（　）内は今までの手数料との比較

4．デジタル化による利便性向上
マイナポータルを活用することで、自分の免許証情報や更新期限をオンラインで確認できるようになります。

5．更新時のオンライン講習が可能
優良運転者（ゴールド免許のドライバー）や更新までの5年間で軽微な違反が1回だけの場合、免許更新の講習をオンラインで受講することができます。従来は運転免許センターや警察署にて1時間程度の講習を受ける必要がありましたが、マイナ免許証を取得すればパソコンやスマートフォンなどでオンライン講習を受けることができるようになります。

オンライン更新講習は現在、北海道、京都府、千葉県、山口県の4道府県で試験的にモデル事業を実施しており、今後実施地域が拡大される予定です。

ただし、オンラインでできるのは講習のみで、視力検査や写真撮影、免許情報の書き換えなどは従来通り運転免許センターや警察署で行う必要があります。

一方で、マイナ免許証には、いくつかのデメリットも存在します。

マイナ免許証のデメリット3つ

1．紛失時の煩雑さ
マイナ免許証は運転免許証とマイナンバーカードが一体化していることがメリットですが、紛失すると両方を再発行する必要がありますので、逆にデメリットにもなります。紛失した際はまずマイナンバーカードを再発行し、その後マイナ免許証の手続きが必要となります。

2．ICチップの故障と情報管理
ICチップが故障した場合、両方の機能が使えなくなる可能性があります。物理的な衝撃や水濡れには特に注意が必要です。またICチップ内の情報は暗号化されていますが、データ流出や不正アクセスの可能性を完全に排除することは難しいと言われています。またマイナンバーカードに他人の健康保険証や年金記録が紐づけられるというミスも過去に散見されました。同じようなミスがマイナ免許証でもないとも言い切れません。情報管理やセキュリティの面でも課題が残りそうです。

3．それぞれの有効期限が違う
マイナンバーカードの有効期限は10年（未成年の場合は5年）です。一方で運転免許証の有効期限は5年か3年です（※違反歴で変動）。それぞれ有効期限が違うため、立て続けに更新手続きをしないといけないというタイミングが来るかもしれません。マイナンバーカードを更新しても自動的にマイナ免許証が更新されるわけではないので注意が必要です。

マイナ免許証の発行方法

マイナンバーカードをまだ持っていない人は、まずマイナンバーカードを取得する必要があります。マイナンバーカードの申請は市区町村の窓口かオンラインで可能です。

マイナンバーカードを既に取得している人は、運転免許センターかシステムが整備された警察署にマイナンバーカードと運転免許証を持って行くと、マイナ免許証を作ることができます。この場合の手数料は前述した通りです。

マイナ免許証の紛失時・免許更新時の必要な手続きは？

マイナ免許証を紛失してしまった場合にどうするか、また免許更新についての手続きについては下記の通りです。詳しく触れておきます。

もしもマイナ免許証を紛失してしまった場合、マイナンバー総合フリーダイヤル（0120-95-0178）に電話をして、マイナンバーカードの機能停止手続きを行う必要があります。マイナンバーカードを紛失しても、他人が悪用することはできませんが、念のため機能停止手続きを行う方が無難でしょう。24時間365日体制で一時利用停止を受け付けています。

もちろん最寄りの警察署や交番に遺失物届も提出しておきましょう。遺失物届を提出すると、見つかった場合に警察から連絡がもらえます。また、悪用された場合に不正利用であることを証明しやすくなります。

続いて市町村の窓口でマイナンバーカードの再発行の手続きを行いましょう。再発行された後、運転免許センターか警察署へ行きマイナ免許証の登録をしてもらう流れです。

しかしマイナンバーカードの再発行には時間を要するので、仕事で車を使うなど再発行を急いでいる人は、運転免許試験場や運転免許センターで運転免許証の再発行をしてもらいましょう。この場合、即日再発行が可能です。警察署でも運転免許証の再発行はできますが、約2週間かかることがあります。 

続いて免許更新について注意すべき点をいくつか紹介します。マイナ免許証は、従来の運転免許証のように有効期限などの記載がありません。よってマイナ免許証だけでは免許の更新時期が分からないので、警察庁は専用の読み取りアプリを開発中です。そのアプリを使い自分のマイナ免許証を読み取れば、有効期限を確認できたり更新時期が近づくとアプリが知らせてくれたりするサービスが始まる予定です。

従来通り更新が近づいた際には、はがきで通知が届くことには変わりはありませんので安心してください。

まとめ

マイナ免許証の導入により、運転免許証とマイナンバーカードが一体化される便利な時代が始まります。メリットとデメリットをしっかり理解し、自分の生活スタイルに合った選択をすることが重要です。

デジタル化が進む中で、新しい仕組みに慣れることが求められます。これを機に、マイナ免許証を活用して日常生活をより便利にしてみてはいかがでしょうか？