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ひっつめ髪に葉っぱを挿した個性的なルックスのKANAMEさんは、糸島を拠点に活動する“ハーブアーティスト”。女性の心を鷲掴みする見た目も味わいも胸キュンのハーブティーや、何層ものカラフルなハーブドリンクを作り出し、その話題がSNSや口コミで拡散! 今や県外だけでなく、海外の旅行客もわざわざ糸島のカフェに訪れるほど人気を集めている。
そんなKANAMEさんの独特の世界観を探るべく質問を投げかけてみたら、過去の意外なキャリアやハーブティーへの強い思いが返ってきた。
Q. KANAMEさんは異色の経歴をお持ちだそうですね?
今までいろんな仕事を経験してきました。学生生活がおもしろくなくて、実家を飛び出し、住み込みのアルバイトで板前の見習い、屋台のスタッフ、土木の現場作業員もやりました。その後、バイク好きが高じて二輪自動車整備士に。勤務先の整備工場のオーナーがレーサーだったので、バイクレースのメカニック(整備・調整)をさせてもらっていましたよ。工場ではエンジンの解体・組み立て、パーツを自作するなど没頭していましたね〜。
Q. 業種がまったく異なる二輪自動車整備士から、何をきっかけに今の道に?
バイクの整備をしながら、「もっとゼロから自分でモノ作りしたい」と思い始めて……。
ちょうど当時、オーナーのお母さんが工場の隅っこで、植木鉢に花の苗を植えて育てていたんです。ある日きれいな花を咲かせて、自分を含めいろんな人が心癒されていたと思います。普段話さないような人とも「きれいですね」「何の花だろう?」なんて会話が生まれて、植物ってすごいなと興味を抱き始めました。
機械と違って、植物は自然界のもの。いきなりアスファルトのすき間から大根が出てくるなど、想像を超えるものがあってワクワクします!
このタイミングでハーブカフェを立ち上げる決意をし、整備工場を退職。日本中のカフェを片っ端から視察して回りました。
Q. 「ハーブアーティスト」ってユニークな肩書きですね。どういう活動ですか?
着色料や香料などを使わず、ハーブ本来の色、形、香りを生かして「Flower Tea」というハーブドリンクを開発しています(Flower Tea いつでもシリーズ 350円・税込)。これらの商品は、糸島の店舗「Flower Tea + Cafe」と、ウェブショップで販売しています。看板商品の「絵本みたいなハーブティー(Ⓢ800円、Ⓛ1500円・税込)」は、お湯を注ぐとポットの中が植物やドライフルーツで彩られ、かわいらしくて人気です。
Q. 発想も佇まいも個性的! ブランディングのこだわりを知りたいです。
ブランディングというわけじゃありませんが、髪に挿しているのは、僕の名前と同じ「ベニカナメ」という植物です(笑)。ピンッと元気で日持ちするし、このルックスだと覚えてもらいやすいので、営業中は挿しています。
ハーブティーのコンセプトは、「人と人を繋ぐお茶」。これはお客さんの姿を見て、僕の中で明確になったこと。例えばお客さんが、デトックスにいいハーブを使った「うんティー」を見つけた瞬間、「あの人が便秘に悩んでたからあげよう!」と手に取ったり、猫も人間も飲める「にゃんティー」を見つけたら「猫好きの友達のお土産にしよう♪」と楽しんでもらえたりして……。商品をきっかけに、誰かが誰かを思う行為が生まれているので、その派生を大事に商品開発しています。
Q. やりたいことを続けるために、経済的体力をどうやってつけていますか?
店舗の内装はほとんどDIY。ジブリのような空間にしたいなと思い、あれやこれやと(笑)。
商品については、開発時から原価率をしっかり決めて、定番商品や看板商品にもマイルールを設けています。だいたい10〜11月が店舗の動きが緩やかなので、この期間にイベント出店やワークショップを積極的に行って、運営調整を図っていますよ。今年からパッケージデザインをリニューアルし、卸営業も始めました。
また、お客さんに適正価格で提供できるように、自分で育てるハーブを増やしています。特にフレッシュのハーブティー(600円~・税込)になると、材料を仕入れることで無駄な部分ができたり、輸送費もかかったりしますから。
Q. もしも、自由に使えるお金100万円を手に入れたら、何に使いますか?
世界各国へハーブハンティングしに行く旅費に使うかな。あと、国ごとにいろんなお茶があるので、気になるものを自分の目で見て、飲んで、確かめてみたい! ベトナムの蓮茶、チベットのバター茶、 モロッコの激甘ミントティーをいつか現地で体感してみたいんですよ!
ハーブアーティスト KANAME(カナメ)
1985年生まれ、北九州市出身。数々の職を経験し、2015年からハーブアーティストとして活動開始。代表作「フラワーティー」「魔法のハーブソーダ」など、見た目も美しいオリジナルティーを開発。糸島に工房兼カフェ「Flower Tea + Café」を構え、イベント出店や出張カフェ、ワークショップも精力的に行う。