“異種交創”が新しいビジネスを創る!  若手起業家が語る、未来に必要な財産とは。
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“異種交創”が新しいビジネスを創る! 若手起業家が語る、未来に必要な財産とは。

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10月29・30日に福岡・天神のスカラエスパシオで行われた、クリエイティブとテクノロジーの祭典「明星和楽」。その実行委員長を務め、多種多様なイベントを束ねたのは、株式会社サイノウの松口健司さん。彼は大学在学中に起業し、時代に必要なものを突き詰めながら人と人、企業と企業、人と企業を繋ぎ、ビジネス展開に結びつけている。現在7つの事業を運営し、25歳の若手起業家として注目を集める存在だ。そんな松口さんが今のポジションを切り開いたきっかけや、理念に掲げているものとは? これからの時代を創るキーパーソンの言葉を聞いてみたい。

Q. 学生時代に起業した松口さん。価値観を変えるターニングポイントはいつでしたか?

Q. 学生時代に起業した松口さん。価値観を変えるターニングポイントはいつでしたか?

ぼんやりとですが、大学生の頃から起業したいとか、自分で何か物事を起こしたいなと思っていました。大学2年生の20歳の時に、エンジェル投資家が支援している大学のプログラム「キューレック」で、アメリカ・シリコンバレーに行く機会がありました。その時の経験が今の自分に影響を与えていると思います。
シリコンバレーでは、現地で働いている日本人の起業家や、世界の企業ランキングで上位に入る会社で活躍している方から話を聞く機会があり、自分の指針となる言葉をたくさんもらいましたね。

あと、カリフォルニア州のスタンフォード大学に通う学生たちと交流するプログラムもあり、これが最も記憶に残る出来事でした。彼らから今取り組んでいることや物事の考え方を聞いて、価値観がガラッと変わったんです。僕自身、自分の成績圏内でなんとなく大学や専攻学部を決めましたが、スタンフォードの学生たちは中学や高校時代から将来のビジョンをしっかり描いていて、そのために必要な知識や経験が何かを知った上で、大学を選んでいるんですよ。だから在学中の研究内容や取り組み方のレベルが違う。自分の能力を使って社会に貢献するんだ、という確固たる意志を学生の時点で持っている人が多い。特にスタンフォード大学の学生は、起業を志す意識が高い人たちばかりで、「同い年なのにこんなに考え方が違うのか…!」と衝撃を受けました。

Q. 衝撃的だったシリコンバレーの留学から帰国し、どんな活動をしましたか?

Q. 衝撃的だったシリコンバレーの留学から帰国し、どんな活動をしましたか?

シリコンバレーの学生たちから刺激され、「日本と海外は、なぜこうも違うのだろう」と考えました。行き着いた答えが、教育のあり方の違いですね。語学で言うと、先進国の海外の学生は3〜4ヶ国語を話せるのに対し、日本人は母国語しか話せない人がまだまだ多い。小・中・高で時間をかけて英語を学んでいるのに、なぜでしょう。

学生たちの“意識”にも違いがあって、面白い話を聞きました。アメリカでは、幼い頃から自分自身を見つめ直したり、自分の強み・弱みをしっかり考える教育の場が設けられているそうです。一方日本では、しっかり自己分析に取り組むのは就職活動の時で、20歳前後になって初めて自分と向き合います。どちらがいい・悪いというわけではありませんが、ここにアカデミックな課題があるのではないかと思いました。留学から帰ってからは、僕の中に「教育」のテーマが芽生え、教育系の NPO 法人「Teach For Japan」のインターンシップに参加しました。

そうそう、シリコンバレーで印象的だったことがもう一つあります。
最先端で活躍する人々が口を揃えて言っていたのが、「これからはネットワークが大事だ」ということ。今後ますます技術が発達するし、目まぐるしく世の中が変化していくだろうけど、その中で肝心なのは人間同士の繋がりだと。イノベーション(技術革命)を起こす際も、違う分野の人々が混ざり合うことが重要。だから、シリコンバレーではいろんな業種の人々が集まる交流会が毎日各所で行われているんです。

そして、「H型人材(※)」が重宝されるとも、盛んに言われていました。というわけで帰国後に早速、さまざまな分野の方に直接会いに行き、そのアウトプットの場としてウェブメディア「Loqui(ロクイ)」を立ち上げました。最初は僕ひとりの自主メディアでしたが、続けていると参加したいという後輩や仲間が増えて、結果的に団体組織になりましたね。

Loqui

※H型人材とは、自身に専門性を持ちながらも、人や企業の専門性を繋ぎ合わせて活用できる人材

Q. さまざまな人との出会いを通して、物事の見方も変わりましたか?

Q. さまざまな人との出会いを通して、物事の見方も変わりましたか?

学生時代に抱いていた“オトナ”の印象は、“満員電車に揺られ、平日は仕事に追われて、週末の休みだけが生きがい” みたいなイメージでした(笑)。そんな風に生きていくのはイヤだ、“オトナ”になりたくない、なんて思う時期もありましたが、シリコンバレーで目にした最先端の現場や意識の高い人々、そして帰国後の出会いを通して、“オトナ”に対する見方が大きく変わりました。
特に、「Loqui(ロクイ)」の取材活動で各業界のパイオニアの方々に出会い、同世代の仲間も増えるにつれて、日本の社会は思ってた以上に面白い! と思い直すようになりました。「九州や福岡に、こんなにスゴイ人たちがいるんだ!」と知ったことは、僕自身のモチベーションにも繋がりましたね。大学3年生の終わりに休学し、“才能を想像し、創造しよう”と有志3人で「株式会社サイノウ」を立ち上げることに。

Q. 実行委員長を務めるイベント、「明星和楽」について教えてください。

「明星和楽」は、福岡のクリエイティブとテクノロジーの祭典として、2011年に始まったイベントです。これは、アメリカで開催されている最先端テクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」がモデルとなっていて、SXSWは音楽フェスや映画祭、インタラクティブコンテンツ、ビジネスカンファレンスなど多ジャンルが融合している世界的イベント。そのように、異なるものが交わり合うイベントを福岡で行おうと始まったのが「明星和楽」です。

明星和楽 HP

僕が実行委員会に入ったのは2016年。自分が目指すべき「H型人材」や「ネットワーク」を築ける場になるだろうし、僕自身もムーブメントを起こす側になりたいと思いました。そして、2年前にイベントのコンセプトを「異種交創」とリメイク。いろんなコンテンツを設けることで、普段交わらないような人々が交わり、何かを創り出す機会になることを目指しています。今回は海外の起業家らが約50名参加し、ブースを構えたり、ピッチコンテストをしたり、グローバルな出会いの場にもなりました。

【明星和楽の前夜祭を「Fukuoka Growth Next」で開催。】

Q. 今後チャレンジしたいことはなんですか?

これからも「異種交創」「H型人材」をテーマに活動していきたいですね。起業家同士や、人と企業のマッチング、キャリア教育に興味があります。例えば、新卒採用や人材募集の面で、日本には独特の文化がありますが、「それって本当に本質的なの?」と疑問を抱くような採用プログラムも多々。その違和感を少しでも変えられる新しい動きを作れたらと思っています。

出会いやきっかけの場となるイベント「明星和楽」、官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」、そして僕自身も誰かと何かを繋げる役割を担うことで、「ここのおかげで新しいビジネス展開ができました」「あなたのおかげで新しい繋がりができて、なにか形になりそうです」という言葉をもらう時が一番うれしいです。まさにH型人材になれたことを実感できる瞬間。それが異種の出会いと創造だと、もっとやりがいを感じますね。

Q. 仕事や将来について迷っている人に、伝えたいことはありますか?

Q. 仕事や将来について迷っている人に、伝えたいことはありますか?

今はどこにいても情報を得られる時代。たくさんの情報を仕入れることで解決したり、満足しがちですが、逆に“リアル”な場や、人との繋がりを求めて行動に移してみてはどうでしょうか。これからはリアルなネットワークが大事になると言われています。そのためには自分で動いて、誰かと会って話して、身を以て体験をしてほしいですね。そういう機会は、じっと待っていても訪れませんが、行動すれば出会いや経験は得られるはずです。
と言っても、人にはそれぞれ“タイミング”がありますよね。今すぐ動かなくても、ここぞという“タイミング”が来た時は一歩踏み出してがんばりましょう!

情報のインプットや何か動き出す際のサポートが欲しい場合は、「Fukuoka Growth Next」の施設を大いに利用して、次回の「明星和楽」のイベントにも足を運んでみてください。

Q. 松口さんにとってお金とはどういう存在ですか?

コミュニティー関係の仕事をしていると、「お金にこだわらないんでしょ?」という見方をされますが、大きいことをやりたいなら、お金は必要だと思います。何か事業をしたいとき、投資が必要になったときのことを見据えて、ある程度はしっかり稼ぐべきだと思います。僕も会社経営をしている立場で、ちゃんと利益を残さないと継続できませんし、大きいことだって言えませんから(笑)。あと、自己成長のためにはお金を惜しみなく使いたいと思っています。いろんな国を訪れて広い世界を見てみるとか、 勉強会やセミナーに参加するなど、何かやりたいときに「お金がないからできない」を言い訳にしたくないです。
ただ、お金がなくても面白いことや大きいことがしやすい世の中になってきていますよね。そういう意味では、お金が全てじゃない“繋がり”や“シーン”がもっと増えてくる予感。今はクラウドファンディングもあり、自分の技能や価値でリターンする方法もあるので、今後もお金の価値観は変わってくると思います。

株式会社サイノウ  取締役  松口 健司

株式会社サイノウ  取締役  松口 健司

1994年生まれ、長崎県佐世保市出身。九州大学在学中の20歳の時にシリコンバレーに短期留学し、それをきっかけに帰国後、ウェブメディア「Loqui(ロクイ)」を設立。大学休学中に「株式会社サイノウ」を立ち上げ、異種交創をコンセプトに掲げるイベント「明星和楽」や、廃校を創業支援施設に利活用した「Fukuoka Growth Next」内の「awabar fukuoka」などのオーガナイザーを務める。また九州のHR市場を盛り上げるマッチングサービス「SUKIMA(スキマ)」、若者向けコワーキングスペース「cenco」など7つの事業を展開している。

サイノウ HP
Loqui HP
スキマ HP

「Fukuoka Growth Next」
スタートアップを支援する福岡市の官民共働型の施設。
松口さんが運営するスタンディングバー「awabar fukuoka」も入居。
住所:福岡県福岡市中央区大名2-6-11(旧大名小学校)
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