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Q.ダンスを始めたきっかけは?
音楽好きの両親のもとで育ったせいか、物心着いた頃には音楽に合わせて体を動かしていました。マイケル・ジャクソンのMVを見ながら真似をしたり、妹と手や首を動かして遊んでみたり。
でも中学生の頃、あるテレビ番組で自分と同じくらいの子たちがダンススクールでレッスンを受けている様子を見て、『仲間と踊るって、楽しそう』と、地元のスクールに入ったんです。
その先生の専門が、ジャンルに縛られないコンテンポラリーダンスで、「好きな音楽に合わせて自由に動きを付けていきましょう」というスタイル。それが面白くて夢中になって、スクールに入った数ヶ月後には、レッスンの指導を任せてもらえるようになっていました。
Q.ダンサーになるまでのプロセスは?
自分で踊りながら、同世代の子たちにもその楽しさを伝えるうちに、将来の仕事として考えるようになりました。
そこで高校は、生徒の個性を伸ばすことを第一にした単位制の高校へ。
カリキュラムもバラエティに富んでいて、中でもプレゼンテーションについての授業は、自分に価値を見出し、ダンサーとしての道を切り開いていく上でとても役に立ちました。
同時に、ダンサーとしてのポジションを上げるため、いろんな大会にエントリーしてはタイトルを得ることに夢中でしたね。参加者の多くがダンスの名門校やスクールの出身者だったりする中、一匹狼的な存在だった私はいい意味で注目され、それが自分のモチベーションにもなっていたような気がします。
大会出場で大阪や東京に行く際は行った先々でレッスンを受けて、そこで得たものを自分のレッスンに還元したり。そのうち全国にたくさんの仲間ができ、ダンスを通じてできることが広がっていったんです。
Q.夫婦でダンスを生業にすることのメリットは?
高校卒業後もスタジオでの指導をしながら、22歳の時に、同じくダンサーのayumugugu(アユムググ)と結婚しました。
彼とはダンスのジャンルは異なりますが、例えば常に進化を忘れないところ、音楽を解釈した上で体で表現することなど、自分がダンサーとして大切にしたいと思っているところが同じ。
出会ってからは、それぞれがソロで活動する以外に、2人のユニット「botanic(ボタニック)」で活動することも増えました。
結婚して5年になりますが、今も家にいながら、ドライブしながら、常にダンスに関することやふたりの現状みたいなものを、ずーっと話しています。1人でダンスをやっていた頃よりも、数段心強いです。
今、5万人の方にフォローいただいている私のInstagramや、チャンネル登録者数が1万人を超えたYouTubeで見ていただけるyurinasiaのダンス動画も、そもそも2人の週末の楽しみだったというか、2人で運営している水巻のダンススクール「jABB KLAB」で、私が受け持つクラスの『まとめ』として始めたものだったんです。
毎週金曜日に、私が生徒と踊る姿を彼が撮影。家に帰ると私がタイトルロゴを書き、彼が動画編集をしてすぐにアップ。
それを2人で晩酌しつつ、「クリエイティブだね〜!」と惚れ惚れしながら観る、みたいな(笑)。
でも少しずつ再生回数が増えて、反応をいただくようになって、さらにはアーティストの方から『この曲使ってみませんか』 とか『MVに出て欲しい』 というオファーもいただくようになりました。
今年に入ってからは、「サンセットライヴ2019」にも出演したアーティスト「TENDRE」のMVや、高品質イヤホンを開発する「オーディオテクニカ」のCMにも出演。特に4月、5月には毎週のように大阪・東京ほか、県外への出張が続きました。
ハードでしたけど、もしもダンスをやっていなければ、ミュージシャンを目指しただろうと思うくらい音楽が好きなので、ダンスを通じてたくさんのアーティストの方と繋がることができて本当に幸せです。
先日も「TENDRE」の東京でのライヴにシークレットゲストとして呼んでもらったのですが、ステージ上で、まるで自分が楽器のひとつになったかのような感覚を味わえて感激しました。
Q.良質な仕事を続けていく上でのこだわりは?
例えば、レッスンとは別のお仕事のオファーをいただく場合、私たちらしさを尊重していただけるかどうかは大切なポイントにしています。
“踊り手” としてだけでなく、ダンスに求めるもの、共感するものが感じられたら時には積極的に参加しようと。
そこがブレるとこれまで築き上げてきたものが崩れていきそうで…。
あと遠征などの場合は、家族分の交通費・宿泊代まで考えていただけるかも重要。実はわが家には4歳と2歳の子どもがいるのですが、彼らは私たちにとって、何よりもかけがえのない存在。
彼らの存在を含めてyurinasia、botanic、と思っていただける方と繋がっていきたいと思っているんです。
Q.今、描いている夢はありますか?
夫婦でスタジオを持つことですね。
今、私は子育て中ということもあり、週に1度、金曜日にだけレッスンを担当しているのですが、毎回公民館を借りているんです。
専用のスタジオがあればより多くのレッスンができるようになりますし、生徒たちにもダンスでお金を生み出せる場所を作ることができます。ダンスを続けたいがために、あえて正社員ではなく、時間の自由がきくアルバイトをしながら生計を立てている子も多いのですが、自分の好きなこと、持っているスキルを早く活かして仕事にする方法がもっとあってもいいのではないかと思うんです。
自ら先生になって下を育て、お金を得ることができれば、自信や責任を持ってダンスにももっと向き合えるのかなと。yurinasiaの動画を始めたことで、たくさんの方にダンスを見てもらえるようになり、反応をいただき、そこから単発的にであれ仕事としてダンスを経験できた生徒もいて、彼女たちには、好きなことに全力で向き合うとそれが仕事になるということを実感してもらえるいい機会にもなったんじゃないかと思っています。それをもっと形にしたい。
Q.いつも心がけていることはありますか?
私にとって、ダンスはとても大切で人生に欠かせないものですが、 それ以上に家族を持つこと、子供を持つことも大切で、そこも彼と考えが同じでした。
周りに比べると早かったかなと思うのですが、今、こんな風に活躍できているのも、見た目は高校生みたいなダンサーが、実は結婚していて、子供も2人いて、そのちょっとマイノリティなところが注目されて、動画がハネたということもあるんじゃないかなと思うんです。
ということもあり、欲しいものは絶対に早く手に入れたほうがいいと思うようになりました。
まずは手に入れてみて、どうするかはそこから考えればいい。
何事もがんばれば、きっとなんとかなると思うから。スタジオを持つこともそのひとつ。コツコツと貯金も始めていますが、「ここだ」と思ったらすぐに動くつもりです。
Q.ダンサーとしてのこれからは?
一般の方には、純粋に「カッコイイ」と感じてもらいながら、同業者には、「そう来たか」というような、玄人的なテクニックが盛り込まれているパフォーマンスの発信は続けていきたいですね。
あとは常にメリハリをもっていたいというか、yurinasiaの時は、講師という立場だったり、オファーを受けて仕事をしている立場だったりすることも多いので、「期待に応えたい」という気持ちを持ちながら体を動かしていることも多いのですが、botanicの時は、もう純粋に、「イエーーーイ!」みたいな、時に、隣に旦那がいることさえも忘れて、ただただ自分のため、音楽と自分が一体となる瞬間を楽しんでいて(笑)。
でもそれは、ダンスを心から愛する私にとって、とても大切なこと。これからもいろんなものを糧に、自分なりのベストなバランスを模索しながらダンサーとしての人生を深めていけたらと思っています。
ダンサー yurinasia
1992年、福岡県生まれ。
中学生より本格的にダンスを始め、15歳からインストラクターに
。以降、県内外のダンスバトル・イベントなどで注目を集める。現在は福岡・水巻で夫のayumuguguとダンススクール「jABB KLAB」を運営する一方、MVやCMに出演。毎週金曜日にアップしているダンス動画も話題を呼んでいる。2児の母。