世界初(?)のファンシークリエイターは、いかにして生まれたか?
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世界初(?)のファンシークリエイターは、いかにして生まれたか?

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名刺の肩書きは、「ファンシークリエイター」。いま働いている会社は、28社め。いったいどんなことをやっている、どんな人なのだろう?と取材に伺った末永禎治さんは、「楽しい考えを仕事にする」ことに取り組んでいる人だった。ユニークなアウトプットの根っこにある人となりを垣間見るインタビューとなった。

Q.「ファンシークリエイター」ってなんですか?

ファンシーには、「空想」とか「理由のない」という意味があります。僕が働いているカラクリワークス株式会社は、「あたらしいたのしいをつくる」をテーマにしていて、僕はその一環として「ファンシーグッズネオ」というプロジェクトなどをやっています。小さい頃にファンシーグッズに感じていたワクワク感を、大人になった今も感じられるモノをつくるというものです。

例えば、小さい頃、いちごやぶどうの香りなどがついた「香り玉」ってありましたよね? 別に役に立つわけじゃないのに、大切にしたりして。その大人バージョンはできないかと企画しました。「ガソリンの香り」の香り玉を作りたかったんですけど、香料屋さんからNGが出て。「夕立のあとのアスファルトの香り」や「新しいスニーカーの香り」などの候補の中から「本屋の香り」になりました。インクや木の香りが混じった、どこか懐かしい香りです。

0を1にすることや、余計なひと手間を加えて知っていたことが違って見えることに、すごく面白みを感じるんです。

例えば、電線だらけの風景がなんだか味気なくて圧迫感があるなと思ったので、ピンクとブルーの電線を取り入れると、とたんに景色が涼しげになる「そうめんシステム」というものを考えたり。

Q.子どもの頃に面白がっていたことを、そのまま今形にしようとしているんですね。末永さんは、どんな子どもだったのですか?

自分たちでルールを作って遊んでいました。よく覚えているのは、「かいだんのぼり」という遊び。階段の低いところから、キン肉マン消しゴムを指で弾いて、誰が一番はやく頂上にたどり着けるかを競います。すごくくだらないのですが、最後の最後に階段に弾き飛ばされて、一番下まで転落したりして、面白いんですよ。昔から、自分で考えたことをするのが好きですね。

Q.ファンシークリエイターになるまでに、どんな仕事をして来たのですか?

実はカラクリワークスが28社めの会社です。高校卒業して最初に入った会社は、とある中華料理のチェーン店でした。その頃「アメリカに行きたい」と思っていて、その会社は入社式がアメリカであると聞いて入社、という安易な理由。確かに入社式でハワイに行けましたが、勤務時間の長さと給料の安さ、上下関係の厳しさですぐに辞めました。

洋服が好きだったので、その後親戚がやっていた岡山のデニムショップで働きました。岡山は日本でもデニム生産がめっちゃ盛んな地域なんですよね。その後も、スーパー銭湯の立ち上げに携わったり、草染めの染色家に弟子入りして年収8万円で働いたり、富山で期間工として働いたり。

当時、藤原ヒロシさんがやっていたレディメイドというショップが大好きで、日本にいくつかショップがある中で、一番給料を稼げそうな土地に住もうと考えました。福岡にも店があったのですが、給料が安かった(笑)。その点、富山は期間工の仕事がたくさんあって、手取りで月に40万円くらい稼ぐことができました。富山に住んで、稼いだお金のほとんどを洋服に費やしていました。

非常に未熟で協調性や責任感がなく、自分さえよければよかったので、その都度デタラメな働き方をしてきましたね。ある時、公務員の友人に「もうちょっとまじめに考えたほうがいい」と言われたのですが、「オレは転職の度にスキルをどんどん身につけている。それに引き換え、お前は公務員を辞めて、できることはあるのか?」と言い返しました。当時はただの悔し紛れでしたが、だんだんそのとおりになってきた感はあります。

Q.まだまだファンシークリエイターにたどり着きませんね。

その後福岡で仕事をするようになり、自分で考えた遊びをFacebookにアップしていました。ある時、バーの一日マスターとして、「筆談バー」をやってみました。しゃべるのは禁止で、オーダーも会話もホワイトボードでのやりとりのみ。店内には鳩の「ポッポー」という鳴き声のみが響くという、シュールな空間を作るという試み。いま考えると、富山の期間工時代にろうあのおじちゃんに、ずっと飲みに誘われていたのを断っていたのが引っかかっていて、「あの時どうすればよかったのかなぁ」というのが出発点だったのかも。

他にも宝探しをする「タツノオトシゴ団」というチームを結成して、海辺で金属探知機を使ってお宝探索をしたり、歩くチーム「ウェンディ―ズ」では、焼き鳥を食べるために久留米まで歩いていったり。

そういう僕の遊びを見ていて、カラクリワークスの代表である後原が「遊びを仕事にしてみたら?」と声をかけてくれました。まだ全然恩返しできてないのですが、本当に感謝しています。

Q.具体的にどんな仕事をしているのですか?

それが難しいところです。一応企画だと言っているのですが、僕に求められているのは、「遊びを仕事にすること」。これが難しい。

以前ペナントとプランターをかけ合わせた「ペナンター」という商品を企画しました。サントリーが研究開発した技術を使って、壁に垂直に掛けても、まんべんなく植物全体に水が行き渡るプランターです。僕はアビスパ福岡のファンなので、このペナンターでスタジアムの芝が育てられたらうれしいな、と思ったのです。Jリーグにも連絡を取っていたのですが、商品化には資本力が必要で…。胃薬で有名な某社が、その技術を使ってキャベツを作っていると聞いています。資本力の差で、残念です…。

「好きなことができていいね」と言われるのですが、自由というのは恐ろしいものです。結果が出なければ、僕はただ遊んでいるのと同じですから。実際分かりやすい結果は出てないんですけど(笑)。そして白髪が増えました。

あまりに成果が出ないプレッシャーのあまり、ライターの業務や4コマ漫画の連載をやらせていただきました。すると心の重荷は軽くなるのですが、はたと「会社が自分に期待していることは、絶対に原稿ではない。漫画でもない。もっと上手に書ける人はいる」と気づいてしまったので、それ以来ライターも漫画もやっていません。打ち切りとも言います(笑)。

今回新しくお店を始めることができたので、ここから、「カラクリワークスは面白い企画ができるんだ」ということを広めていきたいですね。

Q.新しくオープンされた「君の好きな花」とはどんなお店ですか?

僕が面白いと思ったものだけを扱う店です。既存のものから選んだアイテムと、自分で企画して作ったアイテムの両方があります。これからどんどん企画したものを増やしていく予定です。

写真下は、エストニア人のコミュニケーションデザイナーがつくるcarmen kuikというブランドのものですが、彼女が日本に来ておいしいと思ったものやお店とコラボした《Väga maitsev》シリーズです。直訳すると「とても美味しい」となります。「味カレー」で知られる大和製菓さん(長崎県佐世保市)のやまとくんをフィーチャーしたものや、一膳めし青木堂さん(福岡県福岡市)の63年前の開業当初の写真を使ったものなどを作りました。

現在進行中の企画では、120年、6代続く隈本コマさん(福岡県八女市)と一緒に商品を作っている最中です。ものを作っている人や会社と、どんどん協業したいと考えています。アイディアは常に出てくるので、いろんな会社に「こういうものをつくれませんか?」と持ちかけています。必ずしも100%の人に受け入れられるわけではないので、「面白そうですね!」と乗ってくれるところと一緒にやっています。

Q.お金について思うことはありますか?

Q.お金について思うことはありますか?

個人的には、不労所得が欲しいとは思いますが(笑)、アイディアや企画にお金が生まれる状況になったらいいなと思います。うちの会社の名前は「カラクリワークス」と言いますが、「ワークス」だけではなく、「カラクリ(企画)」が絡む楽しい仕事をしていきたいと思っています。企画のご依頼、お待ちしています!

カラクリワークス株式会社 末永禎治

カラクリワークス株式会社 末永禎治

「あたらしいたのしいをつくる」という社是を実現すべく、日々企画に励むファンシークリエイター。2019年12月にオープンした「君の好きな花」を拠点に、面白いを形にする仕事を行っている。

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