ミッションは「食べるコーヒーを拡散せよ」コーヒースタンドseedvillage
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ミッションは「食べるコーヒーを拡散せよ」コーヒースタンドseedvillage

種村拓哉さんは、ゆかりのなかった福岡に5年前「COFFEESTAND seedvillage(コーヒースタンド シードビレッジ)」を開店以来、いろいろなことを考え実行しながら、「人と人とをつなぐ、コーヒーのある空間」づくりに取り組んでいる。

これまでに実行したクラウドファンディングは2回。いずれも目的にあわせてやり方を変えたと聞き、興味津々で取材に向かった。

看板メニューを大胆に変更した理由

看板メニューを大胆に変更した理由

もともと東京でコーヒー&ワイン修行をしていた種村さん。イタリアンバールのようなコーヒー店を立ち上げたいと、これまで全くゆかりのなかった福岡へやって来ました。

「土地勘もないため、実はリサーチしたのはスターバックスコーヒーが出店している場所。大企業はきっと、コーヒーを飲む人が多い場所をマーケティングして出店しているに違いない!と思ったんです」。なんとも大胆な仮説に基づき、福岡市営地下鉄赤坂駅近くにお店をオープン。

実際近くのオフィス街で働く人を中心に、朝の通勤前、お昼のランチ後に賑わい、他の時間帯はゆっくりとコーヒーを楽しむスタンドになりました。

ところが想定外なことが一つ。開店当初の看板メニューは、フレンチプレスでコーヒーの旨みを余すことなく抽出したコーヒー(200円。モーニング価格)。しかしオフィス街のせわしない通勤時は、その4分の抽出時間が機会損失につながることに気がついたのだそう。

そこで思い切って朝の主力メニューをイタリアのマシンで抽出したエスプレッソ(100円)と、それを湯で割ったアメリカーノ(200円)にメニューチェンジ! 多くのビジネスパーソンが立ち寄ってコーヒーをテイクアウトする人気店になりました。

「珈琲羊羹」を実現するのに、ピッタリのクラウドファンディングとは?

「珈琲羊羹」を実現するのに、ピッタリのクラウドファンディングとは?

種村さんが最初にクラウドファンディングを行ったのは、2018年3月のこと。佐賀の和菓子屋で作られていた珈琲羊羹をヒントに、これを自分の店の薫り高いコーヒーで作り、新しい手土産にしたい!と考えたのが始まりでした。

この商品で行ったクラウドファンディングは、「本来1000円の羊羹を、試作品として800円で購入してくれる人を募集」というもの。「味をととのえるために、2回クラウドファンディングを行いました。資金調達というより、負担を少なく商品開発をしたいという目的。おいしくなるのを一緒に見届けて欲しいという気持ちもありました」。

初回の募集は店のFacebookで。不特定多数の人よりは、普段から自分を知っている人たちからの協力を得たいという気持ちが強かったからです。2回目の募集は、店頭の看板で。Facebookとは違った顧客に訴えかけるのが目的でした。

「結果は、いずれも短期間で達成。店が支持を受けている手応えを感じました」と種村さん。

珈琲羊羹は無事商品化され、現在店頭で販売されています。

画期的な「食べるコーヒー」を拡散せよ!

2度目のクラウドファンディングは、ラトビアのスタートアップ企業が作った、コーヒーをバー状にした食べるコーヒーこと「コーヒーピクセル」。

福岡市はスタートアップ同士をつなぐ取り組みを行っており、コーヒー店でなおかつ普段から輸入を行っていて通関業務に慣れているシードヴィレッジに、これを日本に紹介する役割をしてほしいと白羽の矢が立ちました。

まるでチョコレートのようなバーをひとかけ割って口に含むと、確かに濃厚なコーヒーの風味。一袋でエスプレッソ1杯と同じ量のカフェインが含まれているそうです。

「新感覚でしょう? 酒のおともに、車の運転時、受験生のデスクに、など、いろいろなシチュエーションを想定できますよね」と種村さんは話します。

今回は、国内最大級のクラウドファンディングのサイト「Makuake」を利用。より多くの人の目に触れて、卸先の開拓を目指すのが目的だったからです。目標金額30万円に対して、202人から70万円強の支援が集まり、プロジェクトは無事成功しました。

「商品は、継続的な販売先が見つかって、売れてこそ成功といえます。これからさらに販路の拡大を目指したいですね」と話してくれました。

「珈琲羊羹」のクラウドファンディングの内容はこちら

「コーヒーピクセル」のクラウドファンディングの内容はこちら

人が集まる、オリジナルな店に

人が集まる、オリジナルな店に

シードヴィレッジでは、日々新たな取り組みが続いています。毎月末の金曜には21時まで店を開け、「プレミアムフライデー」と称したイベントを開催。お客さんとともに、これまでに麻婆豆腐やたこ焼き、流しそうめんなどを楽しんだそう。

「新しいことを始めると、『また!?』という人と、『おもしろそう!』という人に分かれます。僕自身は、お店をもっともっとオリジナルな場所にしていきたいので、チャレンジは続けたいと思っています」

その際気をつけているのは、店の核となるコーヒーのおいしさにブレがないようにすること。

顔なじみのお客さんには、注文するまでもなくいつも愛飲しているコーヒーが提供されます。「おはようございます!」店の中から、通りを過ぎる人と挨拶を交わすことも頻繁です。

シードヴィレッジは、小さいながらもアイディアとコミュニケーションがたっぷり詰まった店として、今日も街のみんなに愛されています。

 COFFEESTAND seedvillage 種村拓哉

COFFEESTAND seedvillage 種村拓哉

高校までを長崎、沖縄で過ごし、防衛大学校進学と同時に上京。卒業後はバリスタを目指し、都内の有名カフェで修業を積んだ。バリスタの大会で入賞した経験も。30歳の時、福岡に移住して4坪のコーヒーショップ「seed village」を開業。
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