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投資初心者・お金が苦手な人には「ほったらかし投資信託」がおすすめ

ふやす 中村 賢司

投資初心者・お金が苦手な人には「ほったらかし投資信託」がおすすめ

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 投資初心者にとって最もおすすめの資産運用は、ズバリ「投資信託」です。投資と聞くとなんだか難しそうで、 リスクや失敗という言葉が頭をよぎり、初心者の方はやや尻込みしてしまうかもしれません。 けれども、自分で資金を決めて銘柄を選んだり、売買のタイミングやマーケットの動きを気にしながら考えたりしなければならない 株式投資に比べると「投資信託」はさほど難しくない運用方法で、投資初心者の方におすすめです。

誤解を恐れず少し乱暴な言い方をすると、「ほったらかしでも大丈夫」なのが投資信託による資産運用です。今回は投資信託の初心者さんにわかりやすいように始め方から口座の開設方法、種類、おすすめの投資信託の選び方まで紹介していきます。

今回は投資が初めての皆さまに、まず投資信託はどのようなものかを理解してもらい、次にその投資信託の選び方を具体的に学んで、最後には実際にその投資信託をどうすれば購入できるのかということを伝授いたします。

最後までお読みいただければ、投資信託の賢い選び方がわかるようになり、普段マーケットの動きを気にすることなくお任せで資産運用ができるような方法を理解することができるでしょう。

1. 投資初心者におすすめ!「投資信託」ってどんなもの?

投資信託とは
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投資信託とは、投資のプロ(ファンドマネージャー)に自分の資産を託して、資産運用をお任せするという運用方法です。

自分で銘柄や売買のタイミングを選ばなければいけない株式投資と違い、それらを全てプロにお任せすることができるので、投資初心者にはとてもおすすめの運用方法です。

一人ひとりの投資額は小額でも、たくさんの個人投資家からお金を集めれば、たくさんの会社に分散して投資をすることができます。一人で複数の会社の株を買おうと思うと、かなりまとまった資金がないとできませんが、投資信託ならそれが可能。

ファンドマネージャーがプロの目で選んだ会社に分散して投資してくれるので、とても心強い運用方法です。

また、株式投資は投資先の企業が破綻すれば、自分の資産もゼロとなってしまいますが、投資信託は数十社~数千社の企業へ分散投資しているので、どこか一社の企業が破綻しても皆さんが買った投資信託の残高がゼロになることはありません。

投資信託をおすすめする理由は他にもあります。

投資信託は、販売する会社と、運用を指示する会社と、資産を保管する会社がそれぞれ別々なので、このいずれかの会社が万一潰れたとしても、皆さんの資産はキチンと保全されます。

2. 何から選べば良いの?「投資信託」の種類と選び方

投資ファンド
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日本国内には6000本ほどの投資信託があり、どれを選んでいいかきっと皆さんも悩むことでしょう。そこでこの章では投資初心者の方が、どういう判断基準で投資信託を選べば良いかをわかりやすく説明していきます。

2-1. 信託報酬

投資信託にかかる手数料は3種類あります。まず買うとき、そして保有している間、最後に売るときです。その中でも1番気にしなければいけないのが、保有している間にかかる「信託報酬」です。

この信託報酬とは、皆さんが投資した投資信託の残高から毎日少しずつ払う手数料のことをいい、安いもので年間0.2%程度のものから、高いもので年間2%程度というものまであります。

しかし、この信託報酬はいくら払っているか目に見えて分かりません。投資信託は、毎日価格が変動するのですが、その基準となる価格に差し引かれて反映されています。

投資信託を購入する際、自分が投資しようとしている投資信託の信託報酬が何%なのか必ずチェックしておきましょう。数%の差でも10年、20年と投資期間が長くなると投資する金額が少額でも、その影響は大きくなります。

2-2. 購入時手数料

次に気にしなければいけないのが買うときの手数料、「購入時手数料」です。この手数料は、低いものはゼロ(無料)というものから、高いものでは3%ほどのものまでいろいろあります

購入時手数料がゼロの投資信託のことを「ノーロード」といい、投資初心者が運用をスタートするにはこのノーロードの投資信託がおすすめです。インデックスファンドと呼ばれ、さまざまな指標に連動する投資信託は、ほとんどのものが手数料0円です。

逆に3%ほど手数料を取っている投資信託はアクティブファンドといい、インデックスファンドと運用方法が違い、マーケットの指標以上の運用を目指しています。でも、3%というと100万円投資した場合、3万円(+消費税)が手数料として差し引かれ残った金額が投資に回ります。ということは、いきなりマイナススタートになってしまいますね。

投資信託を選ぶ際、この購入時手数料もよくチェックしておきましょう。

2-3. 投資配分

投資信託の種類はさまざまで、いろんなマーケットに投資をしているものがたくさんあります。例えば、国内の株や債券、海外の株や債券、国内外の不動産や、他にも金や原油といった現物資産まで、その投資対象はさまざまです。

1人でこれだけのマーケットに分散投資をしようと思うと少額では絶対にできません。しかし、投資信託の良いところは少額でも上記のような分散投資ができることです。

投資配分は、国内の株にしか投資をしない投資信託もあれば、国内の株も海外の株も両方バランス良く投資している投資信託もあります。中には、株だけではなく債券も一緒に組み入れて運用しているバランスファンドというものもあります。

投資の基本は分散投資。こういったバランスファンドを買えば、それ1本で分散投資ができます。また、国内株、海外株、国内債券、海外債券のものをそれぞれ1本ずつといったように自分でマーケットを分散して、それぞれ好きな投資信託を選ぶのも良いかもしれません。

3. リスクは大丈夫?投資初心者がほったらかししても大丈夫な投資信託の種類

スマホで投資信託
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ちょっと乱暴な言い方ですが、私がおすすめする投資信託の投資はほったらかしでも大丈夫です。どういう意味かというと、日々マーケットの動きを気にしなくてもいいということです。

投資をすると、毎日の株価だけではなく、ドルやユーロなど外貨の値動きも気になるものです。円安になれば資産価値が増えますし、円高になれば資産価値が減ります。そこで、この章では少額でもマーケットを気にせず、国内にとどまらず、外貨建ての資産を持つことができる種類の投資信託などを紹介していきます。

3-1. 積立投資信託

先にも触れたようにマーケットを分散することは基本中の基本ですが、時間を分散させることもとても良いといわれています。

日々の値動きを見ながら投資しようとすると、いつどのタイミングで投資をするか悩むところです。しかし、価格が高いときも安いときも毎月決まった金額を購入すると、投資方法は購入単価を下げることができ利益が出やすくなるという効果があります。

この投資方法を「ドルコスト平均法」といい、大きな金額を一度に投資するのではなく、少額でもいいので、毎月コツコツ同じ金額を積み立てていく投資方法です。

これを1年や2年ではなく、10年や20年と長く続けてみてください。過去10年以上、この積立投資信託をしてきた人は、ほとんどの方が利益を出しています。さらに、この積立投資信託は証券会社にもよりますが、500円や1000円といった少額での積立設定ができるので、まとまったお金がなくても分散投資をすることができます。

3-2. ロボアドバイザーの活用

そうはいってもご自分でどの種類の投資信託を選べばいいのか、なかなか決心がつかない人もいるでしょう。そんな人には、さらに“お任せ”ができる「ロボアドバイザー」がおすすめです。

このロボアドバイザーは、自分の年齢や資産状況、そしてリスク許容度など5つ前後の質問に答えるだけで、人工知能(AI)があなたに合った分散方法や売買のタイミングなどを考えてくれます。

積立投資信託よりもさらにお任せ(ほったらかし)ができるのが、このロボアドバイザーです。ロボアドバイザーにもいろいろ種類があり、まとまった金額で始めるものや、毎月少額でも積立ができるものまであります。

どの投資信託を買えばいいのか判断がつかない人は、ロボアドバイザーをぜひ活用してみてください。

3-3. 海外ETF

ETFとは、そのマーケットの指標に連動する動きをする投資信託のことをいいます。前項で紹介したインデックスファンドよりも、手数料が低めに設定されている商品が多いようです。投資初心者にはとてもおすすめの商品です。

安定した成長が期待できる欧米市場や、これから人口が爆発的に増えマーケットの拡大が期待できる新興国市場など、それぞれのマーケットの値動きに連動するようにできています。

将来のインフレに備えて外貨投資をしたいという相談をよく受けますが、ドルやユーロで外貨預金を持つのではなく、こういった海外ETFを持つ方がインフレにも対応するのでさらに良い方法だと思います。

4. 「商品を決めたらどうするの?」株初心者でも簡単!投資信託購入の方法

投資信託の購入
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この章では、いよいよ証券口座を開設して、具体的に投資信託を購入して資産運用を始める方法を紹介します。
証券口座といっても、一般口座、特定口座、NISA口座などその種類はいろいろあります。それぞれどのような口座か解説しますので、自分の運用のスタイルに合った口座を選ぶようにしてください。

4-1. 投資の方針を決める

まず、自分が投資をしたい期間(年数)や、マーケットを考えましょう。投資したい期間が短い方は、あまりリスクは取れないので国内のマーケットや、株式に比べてリスクが低い債券などの投資信託が良いでしょう。

逆に、投資期間を長く持てる方は、大きくリスクを取って、国内の株式や海外の株式などで運用している投資信託がおすすめです。

4-2. 購入窓口を決める

投資方針が決まったら、次に購入窓口を決めましょう。皆さんがお住まいの地域の銀行や証券会社で証券口座を開設すれば、投資信託を買うことができます。

しかし、日中仕事をしていてなかなか窓口に行けないという方は、24時間いつでも口座開設ができるインターネット証券がおすすめです。自分の好きな時間帯にログインして買ったり売ったりできるので、時間を気にしたくないという方にもおすすめです。最近ではスマホで売買の注文を入れたり残高や値動きをチェックしたりもできるので、便利になりましたね。

4-3. 証券口座を開設

証券口座には、一般口座、特定口座、NISA口座と3種類の口座があります。

一般口座とは、投資信託を売却して利益が出た場合、その書類作成から確定申告まで自分で行う必要があります。

一般的に多くの方が開設する「特定口座」とは、1年間の年間取引報告書を証券会社が作成してくれるので、とても便利です。さらに、源泉徴収「あり」か「なし」かを選ぶことができます。売却して利益が出た場合、その利益から税金を源泉徴収してくれるので、確定申告をしなくても良いというメリットがあります。

さらに最近では、NISA(ニーサ)口座という少額投資非課税制度もあります。まだ開設していない人は、まずNISA口座を開設しましょう。

通常運用益が出た場合、20% (+復興税0.315%)を税金として納めなければいけません。しかし、NISA口座で購入した投資信託などは、売却して利益が出ても税金は免除されます。このNISAには3種類あり、一般NISAは年間投資額が120万円まで、ジュニアNISAは80万円まで、つみたてNISAは40万円までとなっていますので、自分に合った口座を選んでください。

4-4. 投資信託を購入

さあ、いよいよ次は投資信託を購入する注文を入れます。

銀行や証券会社の窓口で開設された方は、支店へ行き対面で注文を入れたり、電話で注文を入れることができます。

インターネット証券で開設された方は、日中であれば電話で注文ができますが、ご自身でいつでもインターネットを繋いで注文を入れることができます。

5. 投資初心者におすすめの「ほったらかし投資信託」まとめ

これまでみてきたように、投資初心者が資産運用を始めるには投資信託、なかでも積立投資信託が一番適しているといえるでしょう。

100万円や200万円といったまとまった資金がなくても、毎月1000円からでも積立ができるので、初心者には始めやすいでしょう。また、高額投資でなければマーケットが暴落しても、そこまで気持ちも落ち込まないのではないでしょうか。

でも、実はこの値下がりしているときこそ積立投資信託をしている人は喜ぶべきなんです。価格が下がっているのでたくさん買えますからね。誰もが安いときにたくさん買いたいものですが、現実にマーケットが値下がりしているときは怖くてなかなか買えません。しかし、プロはこういったタイミングで買っています。

積立投資信託をしている人は毎月一定の金額で購入しているので、価格が下がったときにはたくさん購入し、上がったときには少なめに購入することになります。こうした方法(ドルコスト平均法)なら長い目で見ると利益が出やすくなるからです。

それが、すなわち「ほったらかし投資」です。そしてこの投資は、10年先20年先を見据えて長期保有がおすすめです。

短期的な利益を楽しみたい方は株式投資などが向いていますが、投資信託はこういった長期保有に適しています。

投資初心者のみなさん、毎月少額でもいいので、投資信託で積立を始めてみてはいかがですか。証券会社で口座を開設したり、注文を入れたり面倒だと思われるかもしれませんが、10年先、20年先、きっとやってて良かったと思える日が来るでしょう。