猫にはお金を惜しまない。「書肆 吾輩堂」大久保 京さんに聞く、10の質問。
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猫にはお金を惜しまない。「書肆 吾輩堂」大久保 京さんに聞く、10の質問。

お金にまつわる10の質問

「お金」について、毎回決まった質問にさまざまな分野で活躍する方々に答えていただくmymo人気企画「お金にまつわる10の質問」。

第10回は、2018年12月、中央区六本松にオープンした猫本専門書店「書肆(しょし)吾輩堂」の店主・大久保 京さん。大好きな猫、本に関してだけでなく、旅行、アート、食、茶道、和歌、器など趣味多数。「人生で今が一番楽しい!」と語る好奇心旺盛な大久保さんの、10の質問に対する答えとは?

①いま一番欲しいものと、その価格、理由を教えてください

①いま一番欲しいものと、その価格、理由を教えてください

猫の古本ですね。世の中には本当にたくさんの猫にまつわる本があって、私でもまだ全然把握しきれていないくらいなんです。特に絶版になったものなどは、お客様から買い取るか、古書組合の市などに出向かなければなかなか出会えません。WEBショップを開いて以降は、「家に猫の本があるのだけれど、良かったら…」とお声がけいただくことも。ありがたいですよね。

個人的に手に入れたいのは、江戸時代の草紙本です。とても貴重で、博物館や研究者の方が所蔵するようなレベルのものなのでなかなか手に入りませんし、価格の見当もつかないのですが…。

例えば私が持っている「吾輩ハ猫デアル」初版本の3冊揃いは今、東京神田の神保町で300万円以上の値が付いているようです。いくらまで出すかは本の内容と状態によりますが、「何でこんな本を作ったんだろう?」と、興味をそそられる一冊に出会えたら嬉しいですね。

②いまどんなお財布を使っていますか?

ステンドグラスみたいなデザインが気に入っている、「ATAO」の財布です。長財布で、カードがたっぷり入るのにかさばらないものを探していた時に、偶然インターネットで見つけました。使い始めて4、5年になりますが全くヘタらないし、濡れてもサッと吹けば大丈夫なんです。

ファスナーには、落とした時にわかるように、猫友からいただいた猫の鈴付きキーホルダーを付けています。

③いま1万円渡されたら、何に使いますか?

美味しいお鮨を食べに行きます! 実は友人と、“大人の部活”と称して「鮨部」を作り、ランチですけど、月に1回ほどのペースでいろんなお店に出かけているんです。最近はちょっとお休みしていますが、せっかく福岡に住んでいますし、いつ何が起こるかわからないので、美味しいものを食べていたいです。

④これまでに一番有意義だったと思うお金の使い方はなんですか?

この店を作ったことですね。私は大学卒業後に東京で旅行会社に勤めて、その後、北九州市立美術館の学芸員をしていたんです。でも20代の初めて猫を飼った頃から「猫本の専門店があったらいいな」と考えていて。2010年に仕事を辞めて準備に取り掛かり、2013年にまずはWEBショップをオープン。そして5年後に、貯金と、足りない分を公庫にお借りしてこの店を開きました。

ずっと「六本松あたりでいい物件が出たら」と不動産屋さんにお願いしていて、出てきたのがこの路地裏の古民家。静かですし、いらっしゃる方々が「猫になった気分」とおっしゃるのが嬉しいです。

ちなみに店内の本棚やテーブルは、「九大什器保全活用プロジェクト」に賛同し、在野保存モニターとなってお借りしているものなんですよ。

⑤反対に、一番失敗したと思うお金の使い方はなんですか?

⑤反対に、一番失敗したと思うお金の使い方はなんですか?

足に合わない靴たち(笑)。デザインや色が気に入って、試着でも「いけるかな?」と思ったものが、街に出て痛かったり歩きにくかったりした時の哀しさ! その度に靴は、オーダーメイドで作るべきものなのだと思ってしまいます。まだ未経験ですが、今後、お金に余裕ができたら挑戦してみたいですね。

⑥これまでにした一番高い買い物を教えてください(家・車以外で)

先ほど紹介した「吾輩ハ猫デアル」の初版本か、着物ですね。着物はずっと、祖母や母、叔母が持っているものを自分のサイズに直して着ていたんですが、ある時、自分の好みのものを見つけてどうしても欲しくなって…。結城紬の作家ものの着物と帯で、清水の舞台から飛び降りました。価格は…大台に乗っちゃいましたね。でも残るものですし、食事や映画、落語鑑賞にと、しょっちゅう着ているので全く後悔はありません。ただ着物って、どんどん欲しくなるキケンな存在なんですよね(笑) 。

⑦これにはお金を惜しまないというものは何?

⑦これにはお金を惜しまないというものは何?

やっぱり本ですね。小さいころから、本だけは無尽蔵に買ってもらえた家で育ったせいもあるのでしょうか。どんなに高価な本でも欲しければ出し惜しみしません。

あともちろん猫にも惜しみません。今うちには4匹の猫がいるのですが、食事代や病院代…彼らのためにはできる限り手を尽くします。

大久保家の猫たち。上左が「チーチー」(男の子・9歳)、上右が「飛梅太」(男の子・3歳)、下左が「チロ」(女の子・6歳)、下右が店長の「もじゃ」(男の子・13歳)。ちなみに「飛梅太」は、和歌の家である京都の冷泉家からやってきた“公家猫”で、その数奇な運命は、大久保さんの友人で作家の原田マハさんが、猫短編集「吾輩も猫である」内「飛梅」にてほぼ実話で綴っている。

⑧自分なりの独自のお金ルールはありますか?

分割払いはしない。カード払いも必ず一回。どうしてでしょう? 把握できなくなっちゃうからですかね。あと、お金の貸し借りはしない。子供から「お金貸して」と言われた時も、1円単位まできっちり返してもらいます(笑) 。

⑨お金は貯める派? 使う派?それはなぜ?

⑨お金は貯める派? 使う派?それはなぜ?

間違いなく使う派です。モノにしても習いごとにしても、お金を使って経験することで見聞が広がったり、教養が高まったり、いろんな人と結びついていけるじゃないですか。私自身、その中で得てきたものがすごく多いので…。

ただし、手元にあると全部使ってしまう自分の性分も十分にわかっているので、入ったらまず銀行に預けて、個人年金をはじめ必要なものはきちんと払って、その上でパーッ!と。「お金は使っても、お金に使われるな」を自分への戒めにしています。

※「吾輩堂」2階は、大久保さんが集めた「猫」にまつわるモノを集めた雑貨店となっている

⑩お金はあなたにとってどんな存在ですか?

⑩お金はあなたにとってどんな存在ですか?

世間や社会を砂漠と例えるなら、その地下水脈みたいなものですかね…。干上がったら生活に困るし、突然オアシス(臨時収入や仕事で儲けたetc…)に当たることもある。井戸(財布)にたまったものは、それぞれの暮らしを潤してくれる。だから細々でもいいので、枯れないように、常に流れてくれるように、大切にしなくてはと思います。

書肆 吾輩堂 大久保 京(おおくぼ みやこ)

「書肆 吾輩堂」店主。小さい頃から動物好き。20代で猫を飼い始めたのがきっかけで「猫の本屋」を志し、2013年2月22日「猫の日」にネット書店「書肆 吾輩堂」をオープンし、2018年12月3日には福岡市六本松にて実店舗を構える。毎月22日前後には店舗にて「吾輩堂Night」を開催。クラフトビールをワンコインで提供、営業時間を21時まで延長し、猫好きのみならず、様々な人の交流を盛り上げている。

書肆 吾輩堂

福岡市中央区六本松1-3-13
TEL:092-791-1880
営業時間:11:00〜18:00
休み:月・木曜、年末年始

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