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平成が終わり、時代は令和へ。平成の終盤に異常に発展した携帯電話やスマートフォン、インターネットなどの通信機器やインフラのおかげもあって、私たちの生活環境は平成元年の頃と比べるとその有様を大きく変えています。そんな、まだ通信インフラも整っていなかった平成時代にヤングと呼ばれた人たちはすでに30代後半から50代へ。働き盛り真っ只中で、まさに今の時代を引っ張っているかつての平成ヤングたち。そんな彼らが、今現在ヤングを謳歌している令和ヤングの悩みや相談にアンサーする新企画『令和ヤングと平成ヤング』。令和ヤングにもおなじみ、福岡のウェブメディア「AFRO FUKUOKA」では令和ヤングの生態にせまるお話しを、こちら「mymo」では今や賢者となった平成ヤングのアンサーを、それぞれのマルチアングルコラボとしてお届けします。
令和ヤングと平成ヤング #3
質問する人
令和ヤング 高橋 野乃子(22歳・大学生)
2018年に福岡大学ミスコンテスト グランプリ / SGA(すっぴんGirl’sアンバサダー)クイーンを受賞。美容についての知識を活かし、現在はインフルエンサーとして活動中。
答える人
平成ヤング 佐藤 慎介(NO COFFEE オーナー)
株式会社NO CORPORATION 代表取締役。2015年12月に "NO COFFEE" を福岡にオープン。コーヒーを軸としたグッズ展開やイベント、異業種コラボレーションなどを行う。
ー まずはご自身の学生時代、特に就職活動の時期のことをお聞かせください。
僕はそもそも大学卒業してないんですよ、中退しているんです。2年間専門学校に通って、その後大学に入学してるんですけど、その間ずっと渋谷の某有名コーヒーチェーン店でバイトしてて、そこにのちに就職したおもちゃメーカーの役員の方が常連として来てくださっていて、特にそこの会社のおもちゃが好きだったこともあってよくお話をさせていただいていて。で、ありがたいことにうちこないかってお誘い頂いたんです。
そこのおもちゃはすごく好きだったし、僕も就職活動はその時点でしていなかったので、大学にこのまま通って就職活動して、自分がやりたいことをできるか分からないんだったら、ここで今決断してやりたいことがやれる、特に新卒も採用していない会社だったので、そっちのほうが面白いなって思って、それで大学をやめて入社したんですよね。しかも社長のアシスタントっていうポジションでいきなり入って、おもちゃがただ好きなだけだったので右も左も分からない状態で、専門用語は飛び交うし、どうやって作るのかとか、どうやって出来ていくのかとか、全然分からなかったんですけど、本当に社長に一から教えてもらった感じだったんですが、それが今の自分にとって社会人としてはもちろん、様々な行動の基盤になっている気がします。もちろんすごく大変なこともありましたし、最初は何度もやめようって思ったこともありましたけど、でもやっぱり自分で決めたことだから、きちんとものにしないと無駄になってしまう、20代はただがむしゃらに頑張ろう!って感じでした。
ー コーヒーチェーン店で働いている時期って他にやりたいことや、将来こうしたいって思っていたことってあったんですか?
正直良くわかっていなかったかもしれないです。今みたいにSNSとかもない状態で、僕はカルチャーが好きだったので、そっち寄りのアパレルだったりかなっていうのは考えたりはしましたけど、でも実際どうなんだろうななんて思ったりもして。ずっとやっていくには厳しい業界なんじゃないのかなって知らないなりに考えたりしてずっとモヤモヤしていましたね。ただコーヒー店のアルバイトの仕事はすごく好きで、社員みたいなこともさせてもらっていて、4年くらい続けてて、そこで結構接客っていうのは面白いなって思ったりして、このまま社員にっていうのも一時期考えてたんですけど、ちょうどそんな中でおもちゃメーカーの話がきたという感じでしたね。
ー 出会いってタイミングとか運が大きく左右しますよね。
本当にそうなんですよ。人脈をとにかく大事にしていて、人との出会いってすごく大切だと思っています。どういう人と出会えるかで将来は変わってくるし、自分の考え方ですら変化していくし、そもそも僕独立しようなんて全く思っていなかったんですよ。でも、おもちゃメーカーの後にはアパレルメーカーでも働いたのですが、その時もいろんなジャンルの人たちと知り合いが多かった社長とよく行動を一緒にさせていただけたので、たくさんの成功された方々と知り合う機会も多くすごく刺激になって、自分でやってみたいなって少しづつ思うようになってきて今に至るという感じです。独立したからイコール成功するってわけではもちろんないのですが、色んなジャンルで成功した方に出会わせてもらって、人脈もいただいて、それが全て今を助けてくれているという感じはしています。いちから自分で人脈作るのってとても難しいですからね。
ー NO COFFEEや個人のアカウントでも多くのフォロワーを持つInstagramですが、SNSに最初に触れたのはいつですか?
アメブロですよね。多分それが20代のときですもんね。実はそのときのブログがNO COFFEEの由来なんですよ。ブログのタイトルが「NO COFFEE NO LIFE」で。こんなの恥ずかしくて言わないですけど(笑)だからNO COFFEEっていうワードは20代のときからずっと頭にあったんです。アメブロ以降はFacebook、Twitter、インスタとSNSとはずっと触れ合っていますね。今はもっぱらインスタがメインになっています。
ー インスタはどういったところが相性が良かったですか?
インスタって非言語じゃないですか。今はブログみたいに文字もたくさん書く人も多いですけど、基本画像を公開するというシンプルなアクションだけですぐ世界と繋がるっていうのはすごいなって思ったのと、海外から反応がくるじゃないですか。今じゃそれが当たり前ですけど、それがすごく良かったですね。
最初にインスタをはじめたのはアパレルで働いている時だったんですけど、ブランドのインスタもあったりして、ブランド周りのSNSの管理もしていたので、その反応だけでもこれ売れそうだなみたいなのがわかるようになってきて、その業務でだいぶ経験値は積んだ気がしますね。インスタの重要性はすごく感じて、ブランドのインスタもやりつつ自分のインスタもやっていたので、うまくリンクさせていました。ずっとコーヒーも好きだったから、コーヒーのこともよく投稿していて、それが今に繋がってくるんですけど。
インスタをうまく使えれば、個人でお店を始めても、結構うまくお客さんにもアプローチできそうだなって。ハマったらものも売れるだろうなと思っていたし、今の形で売ることになったのは、やっぱりインスタがきっかけですね。
宣伝広告費をとって雑誌に出稿してとか、最初個人で始めてたら、なかなかそんなことできないじゃないですか。反響もよく分からないし見えにくい中で、広告費ゼロでダイレクトにアプローチできるのは、ほんとにすごいツールだなと思います。
ー インスタはビジネスでも活用できると思いますか?
それはもちろんそう思います。僕がNO COFFEEを始めたときは、4年前とかですけど、僕個人で7000人くらいフォロワーがいて、それってあの当時で考えると個人としては悪くない数字じゃないですか。そんな中でNO COFFEE始めますって個人アカウントで紹介して、WEBストアスタートしてという流れの中で、インスタで繋がってる方が結構いたので、そういう方たちが買ってくれて、自分のアカウントにも投稿してくれてっていうのが続くと、びっくりするぐらい売れ始めるわけですよ。最初の頃とかiPhoneケースを投稿してくれたっていうだけで、瞬間的にオーダーが入り始めるみたいな。そこからですね。その積み重ねで投稿してくれてそれがきっかけで知ってくれた人もいっぱいいて、そこからその人達もフォローしてくれてみたいな。その延長に今があるって感じです。地道に。いきなり多くなるなんて無理なんで。
ー 最近ではビジネス色が強く見えすぎるアカウントも増えましたね。
今って数字だけのフォロワーも多いし、実際に影響を与えられる人って実はそんなにいないんですよ。
芸能人でも何万人ってフォロワーがいるけど、この商品売りたいってなったときに、100万人のフォロワーがいる人がPRした場合と、1万人の人がPRした場合で、後者の人の方が商品が売れるっていうケースもよくあるんですよね。うちもそういうの結構あるんですけど。だからフォロワーが多い=購買意欲に繋がるかっていうとそうじゃない。結構シビアだし、難しいですよね。芸能人に配ってとかやって投稿してもらったら売れるかっていうとそういうことはなくて。結構色々考えないといけないですよね。
ー SNSってどうしてもプライベートが出てしまいますよね。気をつけていることはありますか?
そうですね、僕は基本的に自分のアカウントもプライベートだと思っていなくて、仕事のひとつだと思ってやっているんですよ。だから見せ方っていうのはたとえ個人のアカウントでも大事にしています。ちょうどよいプライベート感と仕事感。僕だったら自分の店の商品も出すし、だけど普段身につけているものだったりとか、どこどこに行ったみたいなこともあげますけど、そのバランスはすごく考えてますね。簡単にいうと、たまにプライベートも覗かせるとか、こんな一面もあるんだみたいな。芸能人じゃないし、近寄りがたすぎるのもよくないと思っていて、抜け感というか、そんなこともやるんだとかゴルフやるんだとか。明確な説明はできないですけど、バランスですかね。
あとNO COFFEEのアカウントも投稿はすべて自分でやっていて、誰にも任せてないです。
海外にいようが出張中だろうが、何があってもどこにいてもいつも自分で投稿しています。そのバランス感覚っていうのがなかなか教えられない感覚で、これがすごく大事なんですよ。フォロワー0人から始めて、ようやくもうすぐ5万人なので、ここまで育ててきたのを簡単には任せられないんですよね。本当に自分の子供みたいなもので。
今ではだいぶお店のこともスタッフに任せられるようになってきましたけど、最初の頃は商品ひとつ提供するのも自分で全部したかったくらいでしたし。ブランド管理は大事ですよ。なかなかできないですからね。いつもはすごくうまくやっているのに、10杯のうちの1杯に変なものがあって、その1杯を出した人が、めちゃくちゃ影響力のある人だったらどうするのって話じゃないですか。基本的に来店されるお客さまのみんなが影響力のある人だと思って対応しないとだめだよってスタッフと話したりしますね。
ー 自分ブランディングをやりぬくというのは今回の相談に通じるところがあるのかもしれませんね。
そうですね、まず僕に関して言うと二十代でいきなり独立っていうのがそもそも頭の中にはなかったので、自分の見せ方とかブランディングとか考えているっていうのだけでもそれはすごいなって思うんですよ、純粋に。ただ色々不安もあるだろうし、いつまでもインフルエンサービジネスっていうのが、続くのかって言われたらきっとそうじゃないだろうし。それに言ってしまえばそんな人って今時いっぱいいるじゃないですか世の中に。そのいっぱいいる中でどういう違いを作れるかっていうところがきっと飛び抜けられるかどうかっていうところだと思います。そして僕の経験からいうと、それは経験値と人脈が作ってくれると思っています。他との差別化や自分だからこその強みって、結局は経験したこと以外からくることってないわけで、好きなこと以外もやってみるとその領域に経験が広がって、強みができるみたいなことは得てしてあると思っているんですよ。だから僕も今は独立しましたけど、前職はアパレルで、その前がおもちゃ屋でと、サラリーマンとして2社働いてきた中で色々学んできて、今があるんですよね。そういう方は多いと思うんですよね。特に若いときにそういう経験をしておくっていうことがすごく大事だなと思っています。