お金は化学反応の種。セレクトショップオーナーに聞いた、「10の質問」。
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お金は化学反応の種。セレクトショップオーナーに聞いた、「10の質問」。

お金にまつわる10の質問

「お金」について、毎回決まった質問に、様々なジャンルで活躍する方に答えていただく人気企画「お金にまつわる10の質問」。

今回登場いただくのは、セレクトショップオーナーの座親淑美さん。2019年12月、太宰府天満宮の参道からすぐの場所にイタリア発のジュエリーブランド「MONICA CASTIGLIONI」のオンリーショップ、翌月には同場所に自身のセレクトショップ「VELVET THE SHOWROOM」をオープン。「好きなものは、迷わず手に入れる」という哲学とともに人生を切り開いてきた座親さんの、お金に対する考え方とは?

①いま一番欲しいものと、その価格、理由を教えてください。

う〜ん。仕事柄、欲しいものはすぐ手に入れてしまうので、今すぐには思いつかないかも…。後で思いついたら(笑)。

②いまどんなお財布を使っていますか?

②いまどんなお財布を使っていますか?

私が日本輸入総代理店を務めている「MONICA CASTIGLIONI」の財布です。イタリアンレザーにモニカのバックルを合わせたもので、こちらから提案して作ってもらいました。実は8年くらい前に、当時ディレクターを務めていたセレクトショップのために、ストラップなしのバージョンを作ってもらったことがあって、それがすごく好評だったんです。今回はそれにストラップを付けてみました。お金やカードはもちろん、パスポートやiPhoneも入るので旅行の時にも重宝します。私はリップクリームもこの中に。今は完売してしまったのですが、今後また作るかも? 価格は7万円でした。

「MONICA CASTIGLIONI」とは28歳の時に出会いました。前に務めていた会社でバイイングなどを任されていたのですが、出張でミラノを訪ねた時、アトリエを訪問して一目惚れ。まず自分のために、かなりの数を購入したんです。先方からしたら、二十歳くらいにしか見えない小娘がいきなり来て、ガバッと購入して、しかも仕入れさせて欲しいなんて言い出すものだからかなり怪しい存在に映ったかも。でもその時は「素敵!欲しい!そして他の方にも伝えたい!」という気持ちでいっぱいで。実際、ショップで扱い出したらすごく好評で、半年後、仕入れのためにまたミラノを訪ねたんです。それを3年くらい繰り返していたら、さすがに信頼してもらえるようになりました(笑)。それで6年前に独立した際には、モニカ自身に「あなたに任せたい」と言ってもらって日本輸入総代理店に。前の会社の社長も背中を押してくれて、今に至ります。

③いま1万円渡されたら、何に使いますか?

スタッフ皆でご飯に行きたいですね。今、私を含めて5人なので1人2000円とすると、ランチかな。近所の「MIDLE.」というカレー屋さんの、「ミールス」という南インドの定食がすごく美味しいんです。オーナーの女性がインドに度々足を運んで、研究改良しながら作っているんですけど、海外に行って何かを吸収して来ようとする人には、すごくシンパシーを感じます。

④これまでで、一番有意義だったお金の使い方はなんですか?

④これまでで、一番有意義だったお金の使い方はなんですか?

この建物をリノベーションしたことですね。もともと父が薬局と診療所をやっていた場所なのですが、14年前に亡くなって。姉2人はすでに県外に出ていることもあり、私が相続させてもらったんです。場所の良さもあり、いろんなお話を頂いたんですが、いずれ独立することを考えて断り続けて今年、ようやく形にすることができました。

《長屋風の建物は、道路側から「MONICA CASTIGLIONI」、「VELVET THE SHOWROOM」、そしてご主人が営む「BATHHOUSE DAZAIFU」、ゲストルームがレイアウトされている。建物の名前はイタリア語で杏を意味する「ALBICOCCA」。座親さんのお父様が使っていた屋号から一文字を受け継いだ。》

「MONICA CASTIGLIONI」の部分は彼女の友達のスイス人デザイナー、「VELVET THE SHOWROOM」から奥は東京の「Landscape Products」、2組のデザイナーが手がけてくれたのですが、双方がこの建物の良さを残すことに理解を示してくれたこと、インテリア関連の仕事をしている夫の協力もあって、想像のはるか上の仕上がりになりました。特に驚いたのは奥のゲストルーム。今後、作家の方に泊まってもらったり、料理教室やワークショップにも使う予定ですが、最高の化学反応が起きるのではと思っています。お金は思い切り投入しましたが、有意義だったと思っています。

《縦に長い建物の下には遺跡があるそう。「所々土地が盛り上がっていたり、杭を打つのに制限があったり…。そんな土地の個性を生かした建物なので、途中、アップダウンがあるんです。それも味わい」と座親さん》

⑤反対に、一番失敗したと思うお金の使い方はなんですか?

外貨預金(笑)。独立して2年目くらいに、知り合いに紹介してもらって挑戦してみたのですが、情勢があまり良くないエリアの外貨だったのと、時期も悪かったのかな…。無理やり勧められたわけでもなかったし、いい結果を生んでいる方もたくさんいらっしゃるので、これは完全に私の勉強不足ですね。

⑥これまでで一番高い買い物を教えてください(家・車以外で)

⑥これまでで一番高い買い物を教えてください(家・車以外で)

昭和時代に作られた和箪笥のセット。鳥取の木工で、すごくモダンなんです。これは当時、さすがにちょっと迷いましたけど、今では「迷う必要もなかった」と思えるほど気に入っています。昔から家具もよく購入するんですが、必要に迫られて買うことはあまりないですね。美しいデザインに惹かれて買って、そこから用途を考える。箪笥の購入は去年。今後はゲストルームに置く予定です。

⑦これにはお金を惜しまないというのは何?

経験することですね。もともとファッションや音楽が好きだったのですが、それをもっと肌で感じてみたいと、高校2年生から大学4年生まで、毎年夏休みにロンドンに短期留学していたんです。携帯もインターネットもない時代、自分で学校もフラットも決めて、親はかなり心配したと思います。でもそんな行動に出ることができたのも、小学生の時、家族旅行でタイやヨーロッパを訪れていたこと、中学2年生の時、ニュージーランドに4週間、サマースクールに行かせてもらった経験があったからだと思うので、親には感謝しています。イギリス渡航の資金を作るために、大学入学後はすぐにアパレルショップでアルバイトも始めましたし、その先には、独立まで20年間お世話になる会社との出会いもありました。

⑧自分なりの独自のお金ルールはありますか?

⑧自分なりの独自のお金ルールはありますか?

「欲しい」と思ったら買う。一瞬でも迷ったら買わない。目の前にモノが現れた瞬間に、正直なジャッジをするようにしています。

⑨お金は貯める派? 使う派?それはなぜ?

完全に使う派、ですね。特に20代の頃は毎月ゼロ、時にマイナスになることもあったかな…(笑)。でも何でも、自分のものにしないとわからないと思うんです。例えば、1つ1万円のグラスがあったとします。一瞬「高い、割れたらどうしよう」と躊躇するけれど、それを手に入れたことで、グラスを置く所作、飲み物を飲む所作、洗う所作が変わっていく。経験することで、自分の中にいろんな変化が現れてくると思うんです。それって素敵なことだなと。

《建物中央部にあるイベントスペースでは、様々なテーマに基づく企画展を開催。写真は「メキシコ展」の時の様子(2020年3月30日まで)。》

⑩お金はあなたにとってどんな存在ですか?

なくてはならないもの、でしょうか。自分のためだけじゃなくて、スタッフや子どもにもいろんなことを経験してもらいたい、という意味で。

でも独立してから、「お金は作ればいいんだ」と思えるようになったので、使うのが怖くなくなりました。これは20年間、お世話になった会社のおかげですね。アルバイトから入って最後は全体の管理も任せてもらえるようになったのですが、その間に販売、バイイング、スタッフの育成、会社の経営、様々なことを学ばせていただきました。「自分でアクションを起こしてお金を作る」ということは、その中で身に付けられるようになったと思いますし、何か問題が起きても、答えは1つじゃない。様々な解決法によって必ずクリアできる、ということも学びました。

36歳で会社を辞めてすぐに独立したんですが、本当は3年くらいゆっくりしようと思っていたんです。仕事は楽しくて仕方なかったんですが、その分、7時から夜中2時くらいまで働くような生活をしていましたし、ちょっと休みたいなと。それでリフレッシュしようとミラノのモニカのところに行ったんです。すると「休まれたら困る!会社を作ろう」となって、この「VELVET THE SHOWROOM」という店名も彼女がその場で作ってくれて、私はイタリアから司法書士の方に電話で「会社作ります」って(笑)。もう勢い、ですよね。でも勢いや直感って、生まれ持っているものじゃなくて、経験によって掴めるようになるものじゃないかと。私はこれまでお金にたくさんの経験をさせてもらったおかげで、必要な決断をできるようになったのだと思っています。

あ、「今、欲しいもの」思いつきました!土地です(笑)。次の場所があれば、また何か、できることが見つけられそう。昔からそうなのですが、おそらく私は、常に自分に負荷をかけながら走り続けるのが好きなタイプみたいです。

VELVET THE SHOWROOM 代表取締役 座親淑美

VELVET THE SHOWROOM 代表取締役 座親淑美

1977年、福岡県生まれ。高校2年生から大学4年生まで毎年夏に単身渡英を経験。大学卒業後は「Dice&Dice」に入社し、レディスのバイヤー、ディレクターを務める。2014年に独立して「VELVET THE SHOWROOM」を設立。2020年、現在の場所にショップをオープン。

VELVET THE SHOWROOM
住所:福岡県太宰府市宰府2-7-6 ALBICOCCA
電話番号:092-710-1255
営業時間:12:00-18:00(火~木はアポイントメント制)
休み:不定休
[HP【VELVET THE SHOWROOM】
[instagram【VELVET THE SHOWROOM】] (https://www.instagram.com/velvettheshowroom/)