YAHOO!ニュースの経済面に表示されている「日経平均株価」や「NYダウ」について教えて!
テレビのニュースや新聞で「日経平均株価」「東証株価指数(TOPIX)」「ニューヨークダウ平均(NYダウ)」などの言葉を聞いた事はありませんか。ニュースを見ない方も、投資をしていない方も、インターネットを利用する際、「Yahoo!」のトップページなどにこれらの言葉が表示されることがあります。
これらの指標はどのようなものなのか、また私たちの生活にどのような影響をもたらすのか、さらにその指標の変動からどのようなことが読み取れるのかなど、今回は経済用語の見方について、一つひとつ解説していきます。
1.日経平均株価とは
日本の株式市場の動向を表す代表的な指標です。東京証券取引所(東証)第1部には、約2000社の企業が上場していますが、この中から日本経済新聞社が代表的な企業を225社選定し算出された指標です。「日経平均」や「日経ダウ」とも呼ばれています。225銘柄の選定にあたっては、売買の活発な銘柄や業種のバランスなどを考えて選ばれており、定期的に入れ替えも行われています。
最近では、この日経平均株価が2万円を超えたという明るいニュースが話題となりました。
2008年のリーマンショック以降、日経平均株価はどんどん下落して7000円台まで落ち込んでしまいました。それ以来株価の低迷は続きましたが、2012年末からアベノミクスの影響で徐々に上昇し始め、ここ最近では2年前に2万円を超えました。しかしその後、1万5000円位まで下がり低迷していたのですが、最近また2万円台まで回復してきました。
日本の株式市場が良くなるということは、それだけ企業が頑張って業績を上げているということです。またその企業の業績が良くなると言う事は日本の景気が良くなっていることを表します。
皆さんは「円安株高」という言葉を聞いたことはありませんか?
日本の企業には、輸出関連企業が多く円安になると業績が良くなる企業が多く存在します。業績が良くなるということは、株価も上がるわけです。そんな株価にも影響がある為替レートについて解説いたします。
2.為替レートについて(米国ドルの場合)
日本の「円」と「外貨」(今回はアメリカの「ドル」で解説します)の交換比率のことを為替レートといいます。例えば、アメリカで1ドルの価格で売られているコーラの缶ジュースがあるとします。これを100円で買えるとすれば、1ドル=100円ということになります。
それが日本「円」の価値が上がり、アメリカで1ドルで売られている缶ジュースが80円で買えるとなるとどうでしょうか。同じものが安く買えるので嬉しいですね。この状態を「円」の価値が上がり、「ドル」の価値が下がっているので「円高(ドル安)」といいます。逆に1ドルのものが120円出さないと買えないような状態のことを、「円」の価値が下がって、「ドル」の価値が上がっているので「円安(ドル高)」といいます。このように為替レートは変動しているのです。
私たちが外国へ旅行に行く時などは、現地のサービスや買物が安くなる「円高」の方が嬉しいですね。視点を変えてみて、日本でモノを作りアメリカで売っている企業から見るとどうでしょうか。1ドルで商品を販売している場合、円高になると80円しか入ってきません。しかし円安になれば120円も入ってきます。輸出企業からみると「円安(ドル高)」の方が嬉しいですね。
このように輸出企業が多い日本にとっては円安になる方が好ましく、ここ数年徐々に円安傾向にあるので企業の業績も良くなり、日経平均株価も上がってきているのです。
米国ドルとの為替レートも、2012年のアベノミクスまでは80円位まで上がり、円高傾向にありましたが、それ以降急激に円安が進み120円まで下がりました。最近は110円前後で推移しているようです。(原稿執筆時点平成29年6月)
この為替レートはどのように決まるかというと、お互いの国の力関係が反映されています。日本の方が強くなると円高になり、アメリカの方が強くなると円安になります。またそれだけではなく、世界中の投機マネーが円を買ったりすると力関係に関係なく円高になることもあります。
では続いて、そのアメリカの景気動向を示すニューヨーク証券取引所の平均株価「NYダウ」について解説しましょう。
3.ニューヨークダウ平均株価(NYダウ)とは
新聞やテレビのニュースでもよく取り上げられ、メディアにおける露出も高いので、個人投資家はもちろん、投資をしない人たちでも一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。
名前の通りアメリカの代表的な株価指数です。日本の日経平均同様、ニューヨーク証券取引所に上場されている約2800社の中から、世界的なビジネス誌「ウォールストリートジャーナル」を発行している「ダウジョーンズ社」が、2800社の中から30社を選び、それを指数化したものです。よって「NYダウ」と呼ばれたり、「ダウ平均」や「ダウ工業株30種」とも呼ばれたりしています。
ちなみにニューヨークの証券取引所には、外国の企業も約500社上場しており、ソニーやホンダ、京セラなど日本の企業も十数社上場しています。またアメリカの株式市場は世界最大で、このニューヨーク証券取引所とナスダックを併せると全世界の約4割を占めています。
実は、日本株式のマーケットも大きくて、全世界の1割弱を占めています。これはアメリカの市場に次いで大きなマーケットです。アメリカと日本で世界の約半分の市場規模となるのですから、驚きの数字ですね。
日経平均は、このNYダウの計算方式と同じように算出されています。日経平均が1950年から算出されているのに対し、NYダウは1896年から算出が開始されており、世界でも最も歴史が長い株価指数のひとつです。
このNYダウの数字は日本の経済にも大きく関係してきます。よく「アメリカがくしゃみをしたら、日本が風邪をひく」といわれるように、NYダウと日経平均株価の値動きには相関関係があります。NYダウが上がれば日経平均も上がり、NYダウが下がれば日経平均も下がる、このようなことも相関性は過去によくありました。
その相関関係を解析すると、NYダウが上がればドル高円安となり、日本の輸出関連企業の業績がよくなります。そのためそれらの企業の株価が上がり、日経平均も上がるというように連動しているともいわれています。
ここ数年は違う値動きをすることもありますが、それでもやはり比較的同じような値動きをすることが多いようです。
NYダウは、日経平均株価と違い過去最高値を更新し続けており、リーマンショック当時は6000ドルだったものが、最近では2万ドルを超えています。
4.東証株価指数(TOPIX)
最後に日経平均とともに日本の株式の指標として普及しているもう一つの指標を紹介しておきます。東証第一部に上場している銘柄を対象として算出された指数で「東証株価指数」、TOPIX(トピックス)とも呼ばれています。
日経平均よりは歴史が浅く1968年から始まり、その当時の時価総額を100として計算されたもので、最近は1600ポイントまで上昇しています。この指標も日経平均株価と同様、指標が上がれば相場が良い、指標が下がれば相場悪い、と判断しても良いでしょう。
5.これらの指標は私たちの生活にどのような影響があるのか
今まで見てきたように企業の業績が良くなったり景気が良くなれば、もちろん株価は上がります。ということはNYダウ平均株価も上がり、日経平均株価も上がります。
ニュースや新聞などでこの指標が上がったと聞けば、世の中の景気が良くなってきているのだなと判断できますし、また為替レートが円安になってきたというニュースを聞けば海外旅行には不向きですが、日本経済は良くなっていくと判断しても良いでしょう(輸入品が高くなり、個人消費が冷え込むこともありますが)。
また企業の業績が上がるということは、そこに勤めている従業員の給与が上がります。給与が上がれば、その分個人消費も伸びます。消費が伸びるということは、緩やかに景気も良くなるということです。
今後の経済を占うとすれば、世界の人口は増え続けているのでそれだけモノ作りやサービスは必要とされてきます。ということは企業の業績は良くなり、株価は上がるはず。世界の経済成長率は約3%なので、今後世界のマーケットに投資した場合、その投資した資金は同様に3%ずつ上昇していってもおかしくはありません。
一方で日本の経済成長率は1%にとどまります。しかし前述したように日本の企業は輸出関連企業が多いので、世界のマーケットで業績を伸ばす企業も多くなり、日経平均株価も上がっていくのではないでしょうか。
投資をする人もしない人も、日経平均株価やNYダウ、ドルと円の為替レートぐらいは関心をもってニュースなどで確認しておきましょう。今後の経済動向を知ることにより、生活面でプラスになることがきっと多いはずです。