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年金受給資格が10年に短縮! ぶっちゃけ今までとどこが変わるの?

そなえる 白浜 仁子

年金受給資格が10年に短縮! ぶっちゃけ今までとどこが変わるの?

Goldfinch4ever/iStock/Thinkstock

20歳から働き始めて10年、今年いよいよ30歳になる私。これを機に「将来のことも考えておかなきゃ」と、ファイナンシャルプランナー・白浜さんのオフィスへ相談に行きました。そういえば、2017年9月から「年金の受給資格が納付期間25年から10年に変わる」とか。それってどういう意味なんでしょうか?

Q1 今回の変更って、誰に、どんなメリットがあるのでしょうか?

シニアカップル

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A1 まずは年金制度を簡単にご説明しますね。年金の被保険者(納付義務がある人)は3タイプに分類されます。

第1号被保険者:自営業、20歳以上の学生・フリーター、無職の人など
第2号被保険者:サラリーマン・公務員など
第3号被保険者:サラリーマン・公務員家庭の専業主婦

第2号被保険者は職場の厚生年金に加入すると、国民年金にも自動的に加入していることになります。第3号被保険者の場合、夫が働いている間は納めていることになっているので問題ないのですが、夫の定年退職後は第1号被保険者になり、自分で年金を納める必要があります。

また、夫婦で自営業をしている場合は両方が第1号被保険者となるため、妻も自分で年金を納めることになります。それを知らずに納めていなかった方や、リストラやバブル崩壊後に余裕がなくなり納めていなかった方で免除手続きをしていない方は、そのままだと納付期間が足りず老後に年金が支給されないかもしれません。

ですが、その納付期間が25年から10年に短縮されることで、たとえば「現在50歳で年金をまったく払ってなくても、これから10年間納めれば年金をもらえる」「10年以上働いたあとに事情があって納めていなかった人も支給の対象になる」などが、今回の変更の大きなポイントです。ちなみに、この改正で64万人が新たに年金の支給対象になります。

Q2 年金を払い続けて今年でちょうど10年になります。これまでに納めた分で、将来いくらもらえますか? 25年との違いってどのくらいあるんでしょうか?

貯まるお金

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A2 今の年金支給額の目安は標準的な現役世代の所得の6割程度に設計されています。国民年金を40年納付した場合は約78万円(平成28年度)で、サラリーマンや公務員は、厚生年金がプラスされます。国民年金加入10年で年間19万5000円、25年で48万7000円。その差は30万円弱ですね。

定年後、夫婦で必要な生活費は1カ月約24万円といわれています。サラリーマンで40年厚生年金を納めていた夫と専業主婦の妻の場合、月約6.5万円×2+厚生年金分約9万円=22万円ほどが目安。足りない分は退職金や貯蓄などで賄える範囲です。もし国民年金の10年加入のみであれば1人あたり月1万6000円程度ですから、生活の基盤にするのは難しい金額ですね。

*生命保険文化センター「平成25年度生活保障に関する調査」、金融広報中央委員会「平成26年度暮らしと金融なんでもデータ」を基に試算

Q3 10年分では年金だけで生活できないってことですね。それじゃ納付するメリットがないのでは?

車椅子の老人

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A3 「働き続ければ何とかなる」「将来もらえるかどうか分からないから、年金を払う必要はないのでは?」と考える方もいるようですが、人生何があるかわかりませんよね。

たとえば専業主婦でご主人が若くして亡くなってしまったとき、あるいは自分が一定の障害をもち働けなくなったとき、年金に加入していれば遺族年金や障害年金に頼ることができますが、滞納が続くと保障されない場合があります。公的年金制度は、老後の年金だけでなく、幅広い保障があるのです。

Q4 年金を納めたくても金銭的に無理な場合はどうなるのでしょうか?

少しずつ増えるグラフ

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A4 たとえば、リストラや収入が少なく納めるのが難しい人は、「免除制度」が利用できます。手続きをしておけば、納付期間に加算され、免除された期間の年金を一定額(現在は約半分)国が保障してくれます。また、いざというときにも遺族年金や障害年金の保障が受けられるので安心です。

他には、学生なら「特例制度」、夫婦の収入が一定以下の場合は「猶予制度」もあります。


これまで何となく払っていた(というか、自動的にお給料から引かれていた)年金。でも、将来の安心につながっているんですね。10年といわず、元気なうちはきちんと働いてきちんと納めていこうと思います!