個人的見解ですが、秋の終わりから冬にかけてが日本酒がもっとも美味しい季節だと思っています。そこで、今回は日本酒を美味しく味わえる、弓削さんのとっておきの店を教えてください！お酒にぴったりの料理を堪能できれば、もうっ最高ですね！！

Q1　いろいろな種類の日本酒が飲める店を教えてください。

A1　ぼくがときどき行っているのは渡辺通の三角市場という情緒あるアーケードにある「ちろり」。わずか7席のカウンターだけの店です。席は少ないけれど、お酒は日本酒を愛するご夫婦が選んだものが20種類以上。もちろん季節などによりラインナップは日々変わります。またつまみがたまらないんです。左党の心をくすぐる魚や野菜などの料理はセンス抜群です。

ぼくは冬になると温奴やその場で揚げてくれるざる豆腐の厚揚げという豆腐メニューを必ず食べますが、酒好きには写真の「カニ味噌の貝焼き」あたりはお酒が進みすぎて困るんじゃないでしょうか。もちろん刺身もあればごはんや麺もあり、正直、お店には怒られそうですが、下戸の人にも料理だけで連れて行きたくなるくらいの逸品揃いなんです。

日本酒ファンに人気のある店をもう1軒挙げるならば春吉の「酒峰」です。こちらは広々したお店で、日本酒も400種以上はあります。うれしいのはグラスを大中小と3つのサイズから選べること。少しずついろいろな味を試したい人や、価格が高いお酒を小さいグラスで少し試してみたいという人にはありがたいサービスです。

Q2　だし巻きやそばがきで日本酒を飲んで蕎麦で締めたいのですが、初心者でも行きやすいお店を教えてください。

A2　元々福岡は蕎麦文化のない街で、蕎麦といえばうどん屋のメニューにおまけのように書かれていて、モノ好きが頼むものというくらいの認識でした。ところが、櫛田神社の近くに店を構える「むらた」が、酒が飲める蕎麦屋を地道に啓蒙していき、10年くらい前からでしょうか、蕎麦専門店や酒とつまみを楽しめる蕎麦屋が増え始めたのです。

そんななかでも中央区荒戸の住宅街にある「木曽路」はお勧めです。蕎麦は店の石臼で製粉したものを打って提供しています。まだ若い２代目店主は蕎麦の産地を訪ねたり、東京の蕎麦屋と情報交換をしたりと、とても熱心に勉強なさっています。日本酒は小さな蔵にも目を配り、こちらも蕎麦同様、味はもちろん酒造りへの取り組みなども吟味して選んでいます。

また、六本松と別府橋の間にある「和（なごみ）」も素敵な店です。蕎麦が目的の人だけでなく、日本酒目的のお客さんも来るという、正真正銘日本酒党の蕎麦屋です。つまみも40種ほどと豊富に揃い、いずれも日本酒に合うものというテーマで準備したものばかりです。

Q3　そろそろ熱燗の季節です。熱燗をおいしくいただける店を教えてください。

A3　寒くなると熱燗が恋しくなるのは左党の常ですが、最近は年間通して熱燗を推奨している店が出来はじめました。たとえば6月にこのコーナーで紹介した「捏製作所」もその一軒です。

そのほか、高砂にある「かんすけ」も熱燗推奨店です。ここの店主は、日本酒のイベントにも積極的に参加し、とにかく食中酒としての純米酒のおいしさを伝えるということに熱心です。ここの定番つまみは「鮪刺身盛り」。これはまず最初に頼みましょう。

また平尾駅の近くにある「おっとん」も渋くていい店です。こちらは「かんすけ」出身ということもあり、やはり熱燗への思いが強いので、普段熱燗はあまり……という人は、ビギナーだけど呑んでみたいということで相談してみると、ピッタリのお酒やそれに合うつまみを教えてくださるはずですよ。

同じ熱燗でも温度によってその味わいは変わるし、つまみとのマリアージュもまた楽しいものです。この秋冬は熱燗を極めてみてはいかがですか。

実は今まで”蕎麦屋で一杯”というシチュエーションに憧れてはいましたが、若輩者の私には少し敷居が高く感じていたんです。でも、思っていたよりずっと気軽に楽しめそうで安心しました。熱燗で一杯もいいですね～。寒い夜、弓削さんセレクトのお店で日本酒をしみじみと味わいたいものです。