家がほしいけど頭金がない! 「今すぐ購入or今から貯める」どちらがお得なの?
監修・ライター
そろそろマイホーム・・・と考えはじめた矢先、急にいい物件を発見。争奪戦になりそうなので一刻も早く手に入れたい。
でも、マイホーム資金を貯めはじめたばかりで、頭金がない!
こんなとき、「頭金0円で住宅ローンを組んで購入する」のと、「頭金を貯めてから住宅ローンを組んで購入する」のでは、どちらがお得だと思いますか?
今回は、住宅コンサルタントの野中清志先生に、不動産購入に欠かせない「頭金」と「ローン」について詳しく教えてもらいました。
頭金ありとなし、どっちがお得?
住宅購入と聞いて真っ先に「頭金」を思い浮かべる方が多いのは昔の名残です。今から30年ほど前は、金利が5.5%という高水準だったため、住宅価格の20%もの頭金が必要とされていました。
でも、現在は金融機関の担保評価が上がっており、頭金0でも買える物件が増えてきています。
ですので、もしいい条件の物件が出てきたなら、私は頭金がなくても購入を検討することをおすすめしています。
例えば、ともに頭金がない30歳のAさんとBさんがいるとしましょう。
Aさんは、頭金0円で4000万円で住宅ローンを組んで家を購入。
Bさんは、毎月10万円ずつ貯蓄して、5年後に頭金500万円と3400万の住宅ローンで家を買いました。
さて、どちらがお得でしょうか?
若い人はお金がなくてもローンを組む力がある
正解は頭金0円のAさんです。
詳しく解説すると、Aさんは30歳で、Bさんは頭金を貯めるため35歳で、それぞれ家を購入することになります。同じ30代ですが、この5年がローンの考えでは意外に大きいのです。
Aさんのように30歳でローンを組むと、長期で低金利というような自分に有利な条件でのローンが可能です。
一方、貯蓄をしてからローンを組むBさんの場合、5年間は「貯蓄」と「賃貸家賃」のタブルでお金がかかりますよね。さらに5年経てば完済できる年齢も変わりますし、不動産価格や金利が上がる可能性もあります。
ただ、Bさんのケースに比べてお得なAさんのケースにもリスクがあります。 住宅購入で大きなローンを組むことは、生活が大きく変わった場合柔軟な対応がしにくいということです。
若い人にとっての5年は、生活環境や将来設計がかわるのに十分な年月です。
住宅を購入したら賃貸のように気軽に住環境を変えることは難しくなりますし、万が一給料が減ってしまった場合はローン返済が難しくなる恐れもあります。
とはいえ、総合的に判断して、20代後半~30代前半ならば「時間」を味方につけることを考えてみてください。
若い人はお金がなくてもローンを組む力があります。給料は減る可能性もありますが、これから増える可能性も高く、住宅を購入することで仕事へのモチベーションが上がるかもしれません。
長期でローンを組み、繰り上げ返済のための貯蓄をしていくことをおすすめします。
健康なうちにローンを組むべし!
さらに「ローン」は「健康状態」に大きく左右されます。
家を購入する際、非常に重要なものに団体信用生命保険(団信)という保険があります。これは、住宅ローンを組んだ方が死亡または所定の高度障害状態になってしまったときに住宅ローンを返済するための生命保険です。
ローンを組んだ夫が死亡したとき、残された妻や子はこの保険があれば、支払いをせずに持ち家に住んでいられるのです。
この保険は健康な人が対象ですので、やはり買うのであれば、健康に働けているうちがよいでしょう。
ちなみに、不動産業界では今が家の「買い時」と言われています。 不動産は不況を脱して景気が良くなる前後がいいのですが、それがまさに「今」なのです。
慌てる必要はありませんがライフプランニングを含め、自分に適した不動産購入のタイミングを見失わないようにしっかり考えていきたいですね。
監修者プロフィール:野中清志(住宅コンサルタント)
株式会社オフィス野中 代表取締役 宅地建物取引士
首都圏・関西および全国でマンション購入に関する講演やセミナーなどを年間100本近く行う。最近の主な著書・執筆は「『売れる』『貸せる』マンション購入法」、「ワンルームマンション投資法」(ともに週刊住宅新聞社)、「『お金』見直し応援隊」(日経BPセーフティジャパン Web)。テレビ出演も多数。
取材・執筆:齊藤カオリ