なぜこの人はお金が貯まらないのか、FPが見たパターン3例
皆さんの家庭では毎月いくら貯金ができていますか?
各ご家庭にはさまざまな事情があり、一言で「こうすれば必ずお金が貯まる」という方法はありません。しかし家計が貯蓄体質かそうでないかは、ちょっとした考え方や行動の違いに原因があります。
「家計簿をつけているけど貯金ができない・・・」
「毎月の赤字をボーナスで穴埋めしている・・・」
「毎日食費を切り詰めているのに節約効果が実感できない・・・」
などなど、私のところへ相談に来られる方のお悩みもさまざまです。ただ、FP(ファイナンシャルプランナー)の目からみると「お金が貯まる人」と「お金が貯まらない人」の習慣の違いは一目瞭然。そこで今回は、お金が貯まるポイントをいくつかご紹介します。
毎月の家計が赤字という人も、今回の記事を読めば、きっと毎月貯金ができるようになることでしょう。
※事例は実際に私が相談を受けた内容ですが、登場する人物名は全て仮名です。
1.毎月家計簿をつけているのにまったく貯金ができない梶原さんの場合
梶原さんは毎月キチンと家計簿をつけています。夫の給与収入や自分のパート収入の金額は把握していますし、生活費や住居費・子どもの習い事の費用といった毎月の支出の金額も1円単位で管理できています。「なのに全然貯金ができない」と相談に来られました。
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まず、何のために家計簿をつけているのかをよく考えましょう。
ただ毎月の手取り収入や支払ったお金を記帳するだけでは、子どものお小遣い帳と変わりません。家計簿をつける目的は、毎月のやりくりにどこか無駄がないかをチェックすることです。
そのためには、毎月振り返りをしなければなりません。
「今月は外食が多かったから来月は少なくしよう」とか、「交際費が多かったので来月は飲み会を控えよう」というように、どこに無駄があったかをチェックして来月の予算を立てるようにしましょう。
ただし、1円単位の金額まで把握する必要はありません。
例えばレシートをなくしてしまったら、「大体1,000円だったかな」という書き方でもかまいません。そして毎月必ず集計し、何にいくら使ったかを確認しましょう。
ここで収支が合っていなくてもかまいません。
1ヵ月を振り返って無駄がどこにあるかを探し、翌月は節約できそうであれば、その項目の支出を抑える目標を立てるのです。目標として立てた予算と実績を比較し、達成状況を管理する「予実管理」が必要となってきます。
食費、日用品、レジャー費などにいくら使うか予算を立て、月末にはその予算をオーバーしていないかどうか家計の決算をするわけです。また、家計簿が続かないという人は、支出項目を少なくするといいでしょう。シンプルな家計簿の方が長く続きます。
2.夫婦共働きで、どんぶり勘定の三原さんの場合
三原さんご夫妻は夫婦ともフルタイムで働き、世帯年収も一般的な世帯に比べると多い方です。しかし、ほとんど貯金ができていません。いわゆる「高収入低貯蓄世帯」。どうすれば貯金できるのでしょうか。
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そこで1ヵ月のお金の流れを確認してみると、三原さん宅では、毎月のお給料が入ってきたら生活費やカードの支払いを済ませ、月末に余ったお金があれば貯金しているということが分かりました。
こうした「収入-支出=貯金」というお金の流れでは、お金が貯まりにくいことを知ってください。毎月のお金の流れは「収入-貯金-固定費=やりくり費」という流れがベストです。
お給料が入ってきたら、まず「先取り貯蓄」をする。そして住居費、生命保険料、携帯電話代などの固定費を差し引いて、残ったお金でやりくりをする。そうすることで、確実に毎月貯金ができるようになるでしょう。
また、給料日前に「やりくり費」が無くなりそうになったとき、すぐに貯蓄を取り崩していては意味がありません。どうすればこのピンチを乗り切れるかをよく考えて、お金を使わない工夫をしてみてください。例えば、月末は冷蔵庫にあるものを整理するなどすれば食費を節約できます。また、欲しいものがあっても次の給料日まで我慢するなど、せっかく貯めた貯金を使わないようにしましょう。
家計簿はつけないよりつけた方がいいのですが、仕事が忙しいなどの理由で時間的に難しければ、「毎月〇〇万円で生活しよう」といった予算ぐらいは立てておいてください。できればその都度銀行から引き出すのではなく、まとめて引き出して封筒などに入れておくといいでしょう。もっと細かくいうと、1週間ごとに使うお金を決めて封筒に分けて入れ、置いておくのもおすすめです。
3.節約上手な奥様なのになぜか貯蓄が増えない青木さんの場合
青木さんの奥様は、毎日スーパーのチラシをみて底値表をつけるほど食費の節約をしています。また水道代や電気代を気にしてこまめに電気を消したり、お風呂の水を活用したりもしています。しかしそれだけ節約してもなかなか貯金が増えません。そこで青木さんはFPに相談することにしました。
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節約と聞くと、青木さんのように食費や水道光熱費を節約することを真っ先に考える人は多いでしょう。しかしギスギスした生活にもなりかねませんので、これはしんどいですね。
節約するのであれば、まず「固定費」を見直すのが一番です。
住居費、生命保険や損害保険、携帯電話代など、毎月決まった金額が出ていく固定費を見直すことで、翌月から何もしなくても節約できた金額が毎月節約できることになります。
例えば、住宅ローンを高い金利で借りたままの人は低い金利で借り換えることによって、毎月の返済額が下がります。賃貸にお住まいの方も高い家賃から少しでも安い家賃の家に引っ越すことで、住居費を節約できます。
生命保険や損害保険も無駄な保障がないかチェックして、極力シンプルな内容にすることをおすすめします。私が考える生命保険料は、独身であれば毎月5,000円以内、夫婦であれば毎月1万円以内がベスト。学資保険や年金保険など貯蓄性の保険を除いた、死亡保障や医療保障、ガン保険といった掛け捨ての保険に、それ以上の金額を支払っている場合は見直す余地があるでしょう。
携帯電話を夫婦で別の会社のキャリアで使っている人をたまに見かけますが、同じキャリアに統一することで料金が安くなったりします。また、最近流行の格安スマホなどを活用することで大きな節約も可能です。
日々の食費などをやりくりして節約するのはしんどいですが、固定費を見直すことで確実に貯金ができるようになるでしょう。
4.まとめ
これまで見てきたように、やり方をちょっと変えるだけで、今までお金を貯めることができなかった人が毎月貯金できるようになります。
お金が貯まらない人の悪い習慣は、
・毎月残ったお金を貯金する
・固定費を見直さず、流動費(毎日の節約)ばかり気にしている
・家計簿をつけて安心している
・ただなんとなく貯金している
逆に、お金が貯まる人の習慣は、
・先取り貯蓄をして、残ったお金でやりくりしている
・家計簿で予実管理ができている
・毎月の固定費を見直して節約している
・目的を持って貯金をしている
最後に、FPとしてもう一言付け加えるとすれば、ただお金を貯めるだけでなく、何のために貯金をしているのかを明確にして毎月の貯金をしてほしいと思います。
「子どもが18歳になるまで教育資金を」「定年まで老後資金を」「夏までに家族旅行に行く費用を」など、期限を切った上で必要な金額を明確にし、目標を立てましょう。
そうすることで、お金が貯まっていく喜びと達成感が味わえ、貯金をすることが楽しくなるでしょう。
ギスギスした節約はおすすめしません。賢く節約をして、楽しく貯金をしてください。