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同居でも扶養にならない?世帯分離した親が扶養控除対象外となる理由

FPに聞きたいお金のこと 白浜 仁子

同居でも扶養にならない?世帯分離した親が扶養控除対象外となる理由

こんにちは。FP(ファイナンシャルプランナー)の白浜仁子です。
Wallet+ユーザーさまからいただいた「FPに聞きたいお金のこと」に、FPの白浜がお答えします。

今回は、世帯分離をした義理の母親を扶養に入れることができるかどうかという質問です。


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50代独身Eさんの相談「同居中の義理の母親と世帯分離しました。扶養控除できる?」

<50代女性Eさんからの相談>
最近、同居している義理の母親と世帯分離しました。去年までは、私の扶養にしていました。義理の母親の場合、世帯分離すると扶養にはできないのでしょうか。夫は他界しています。

扶養控除の要件を満たしているかどうかをチェック

母と娘
【画像出典元】「iStock.com/shapecharge」

世帯分離とは、同居していながら住民票の世帯を分けることをいいます。ご質問は世帯分離、つまり住民票を別にした場合、税務上の扶養とする(扶養控除を受ける)ことが可能なのかということですね。
税法の要件を満たしているかが鍵になりますので、まずは国税庁が示す要件を見てみましょう。

<税務上の扶養の要件> 
扶養親族とは、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件すべてに当てはまる人です。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます)、または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

(2) 納税者と生計を一(いつ)にしていること。

(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。

(国税庁HPより主な部分を抜粋)

同居でも、生計を一(いつ)にしていないと扶養控除は受けられない

家計簿をつける女性
【画像出典元】「iStock.com/diego_cervo」

上記の要件を順番に見ていきましょう。まず、世帯分離をした場合に、義理の母親が扶養控除の対象になるかどうかですが、(1)に「3親等以内の姻族」と示されています。特に世帯分離しているかどうかに関する記載はありませんので義理の母親も該当することになります。

次に(2)の「生計を一にしていること」という部分です。世帯分離をしたということは、同じ住所に住んでいるけど家計は別であるという届け出をされたのだと思います。そうなると扶養はしていないので、税務上の扶養控除は受けられないということになります。

もともとどのような理由から世帯分離をなさったのでしょうか? 介護費用の負担軽減のために、あえて世帯分離をして所得水準を低くするケースもあるようですね。住民票の世帯分離のルールは住民基本台帳法、扶養控除は税法、とそれぞれ別の法律があり、管轄も別となります。推奨するわけではありませんが、そのようなことから実際は世帯分離と扶養控除が併用されることはあるようです。

Eさんの世帯分離の詳しい理由は分かりかねますが、実状を含め総合的に判断されることをおすすめします。

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