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災害保険、補償の範囲はどこまで?必要な見直しと補償額の決め方 (2ページ目)

そなえる 中村 賢司

災害保険で補償される金額はどうやって決まるの?

さて、気になるのはどれぐらいの補償があるか?ということでしょう。保険ですので補償内容としては保険金が支給されることになります。

実は災害保険(損害保険)と生命保険では事故発生時の考え方が異なります。

生命保険であれば「入院日額〇〇円」とか「万が一のときは△△万円をご家族が受け取れます」などの金額が契約時に決まっています。そのため事故が発生した際に受け取れる金額を計算することは簡単です。

一方、災害保険(損害保険)で受け取れる金額は少し複雑で、以下の3つを当てはめて算出していきます。

(1)保険の対象を金銭的に評価します
(2)保険の対象に対して評価をもとに契約金額を決めます。これを保険金額といいます
(3)保険契約により補償される事故によって損害が発生した場合、損害を評価し保険金額を最高金額として保険金が支払われます

災害保険の補償は、上記の(1)~(3)を当てはめていきます

2000万円の新築戸建てに災害保険を掛ける場合

家をリスクから守る
【画像出典元】「stock.adobe.com/oatawa」

例として2000万円の新築戸建てに火災保険を設定するとします。

新築戸建ての評価額:2000万円
仮に全焼をした際に同じものを立て直すには2000万円必要なので、保険金を2000万円として保険契約を行います。

たとえ2500万円の保険金額で契約して建物が全焼しても、はじめの評価額が2000万円ならば、支払われるのは2000万円が限度になります。評価額を超えた500万円分は保険のかけすぎということになります。

反対に保険金額が少なすぎると、建物を立て直す費用が足りなくなる可能性もありますので、適正な保険金額で契約する必要があります。

もし火災が発生した場合は、その損害を改めて評価し、初めに契約した保険金額を最高額として保険金が支払われることになります。

損害保険の考え方の基本は損害の補填なので、保険で得をするという考えはダメですよ。

災害保険と税金について

もし事故が発生して保険金を受け取ったとき、税金はどうなるのでしょうか。

所得税法の規定には「突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得する損害保険の保険金は非課税とする」と記載があります。つまり損害保険で受け取った保険金は基本的に非課税です。

災害保険は、火災や自然災害などで受けた損害を穴埋めするものなので、保険金の受け取りによって利益は生じていない=得をしていないため非課税という考えに基づきます。

また、仮に建物が全損して火災保険で保険金を2000万円受け取り、建て直すのに1500万円しか使わなかったというようなケースでも課税はされません。

次は、ファイナンシャルプランナーが教える賢い災害保険の選び方です。

FPが教える賢い災害保険の選び方と注意点

さて皆さんが実際に災害保険を選ぶときの注意点です。

ここでは戸建て住宅の火災保険を例にしていきます。最初は建物の保険です。

(1)正しく評価をしよう

基本的には同じ建物を立て直すのにいくら必要か?という観点から考えていきます。

戸建て住宅だけではなくマンションも含めてそうですが、ハウスメーカーや不動産業者に支払う購入価格は土地の値段やマンションであれば共用部分の価格も含まれています。そのため土地には保険をかける必要はありませんので建物のみに火災保険を設定することになります。

建物の金額が分かればいいのですが、不明な場合には売買契約書から調べることができます。建物には消費税がかかりますが土地には消費税がかかりません。そのため消費税額が分かれば逆算して建物の価格が分かります。

建物の評価額=消費税額÷消費税率(0.1)

上記の計算式で求めることができます。

(2)加入する補償内容を決めよう

評価額が分かったら保険金額が決まります。その次は加入する内容を決めていきましょう。

火災・風災(台風など)・雪災(雪によるもの)はどの火災保険にも必ず含まれていますが注意したいのは水災です。水災とは台風や暴風雨、豪雨等による洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れ等による損害のことを指します。

ご存知のように近年、日本各地で水災が発生しており、皆さんもその被害状況をニュースなどでご覧になっていると思います。水災をカバーする内容で保険を選ぶと、水災なしの内容よりも保険料は上がります。

そのため水災をカバーしない商品や補償割合を下げて保険料を安くする商品も出てきていますが個人的にはおすすめしません。保険料は高くなりますが水災補償はしっかりとしたものを選ぶ方がよいと思います。

マンションの方でも2階ぐらいの高さであれば水災補償があった方がよいでしょう。

(3)地震保険や家財の保険も忘れずに

地震保険は以前と比較すれば加入件数も増えていますが、全戸が加入しているわけではありません。特に築10年以上経過しているような家庭では「住宅ローン35年・火災保険35年」のような火災保険に加入されていることが多く、その時代の火災保険は水災の補償内容が今の水準で考えると不足しているものや、地震保険が付帯していないケースも見受けられます。

梅雨入り前に一度確認をしておくとよいと思います。また家財保険も未加入だったり金額が少なかったりする人が多いようです。建物も大事ですが家財も大事です。今からでも遅くないのでご検討ください。

災害保険のまとめ

災害保険は、想定されるリスクと保険料のバランスが大事です。家の火災保険や自動車保険など損害保険一般は保険料も高くなるケースも多く、加入をためらうこともあるかもしれません。

しかし、大雨や台風、毎日運転する自動車など私たちのまわりにはリスクが思ったよりたくさんあります。困ったときに、ちゃんと助かる補償内容であることが重要です。内容と保険料のバランスを考えながら保険を活用してくださいね。

災害保険に関するQ&A

Q.補償と保障、言葉の違いは何ですか?

A.同じ「ほしょう」という言葉でも生命保険と損害保険では異なる漢字をあてます。
保障→生命保険で使用します。経済的状態を保つという意味があります。例えば医療保険であれば、入院したときに守ってくれるので保障を使います
補償→損害保険で使用します。何かが失われた際の埋め合わせに使用する言葉です。償いという意味があります。

Q.労災って何ですか?

A.正式には労災保険といいます。労災には大きく分けて、「業務災害」と「通勤災害」の2種類があり、業務上従業員が被ったケガや疾病などの災害に対して補償する制度です。

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