20-30代が今考えるべき自分とお金の「未来の価値」とは!?
目次
ライフプラン3.0の時代、私たちはどう稼いでいくべきか
私たちのライフプランは「見える化」が進んでいます。そして少し未来のことを考える人ほど有利になるようになってきました。本連載のねらいも「ちょっと先を見通せば、人生がぐっと攻略しやすくなる」というヒントを紹介していこうというものです。
私たちのライフプランはバージョンアップを重ね、3.0の時代になっています。千葉商科大学の伊藤宏一教授は、団塊世代のライフプランを1.0、バブル入社組くらいの世代のライフプランを2.0、そしてこれからのライフプランを3.0と定義しました。
実は私たちの祖父母世代(おおむね団塊の世代と呼ばれる戦後すぐの生まれ)は、計画的にお金のことを考えてきたわけではありません。ただがむしゃらに働いていたら世の中が豊かになり、お給料も増えたというサイクルを過ごしました。
バブル入社組世代は、自覚的に豊かさと消費を楽しむ世代でしたが、バブル崩壊と低経済成長の数十年をもって右肩上がりの流れは続かないことを体感しました。
ライフプラン3.0の時代は、経済や社会の変化をできるだけ見通しつつ、また社会的負荷の軽減と個人の心の豊かさとをどうバランスさせていくかが問われている世代です。
今回はそんな世代の「働き方」「稼ぎ方」を考えてみます。
キャリアアップ=自分の価値を高めて時給を高めるということ
私たちは今、「稼ぐ」ことを自覚的に選んでいく時代に来ています。これからの時代、会社員であればみんな同じ、ということがないからです。
同じような仕事を同じ時間していても、同じ給料がもらえるとは限りません。元気な会社、大きな会社と、業績の悪い会社や中小企業では給料に違いが出ることがあります。40年以上働く時代に、その差は「生涯賃金1億円以上」になることもあります。
もし意識して「稼ぎ方」を考えるなら、「長時間働く」か「時給を高めて働く」か、あるいは両方を使ってお金を稼ぐ発想法が必要です。しかし、実はこの2つは選択肢ではありません。
あなたがアルバイトやパートなどで働く場合、「長時間働く」が基本的な稼ぎかたです。時給は最初に提示されたものがベースとなり、あまりアップされることはありません。こうなると「月に50時間働くか70時間働くか」が給料の金額を決める要素です。
会社員の多くは「基本給」のような固定的な収入と「残業代」のように超過勤務について追加でもらえる収入がありますが、長時間働いて収入を増やすことができるのは残業代です。残業代を増やせば月数万円収入がアップすることもあります。しかし、「長く働く」発想を正社員となった社会人にそのまま使うことはできません。
まず、ブラック企業ではそもそも残業代を払ってくれません。これは法や行政の取り組みで少しずつ減少傾向にありますが改善の見込みがなければさっさと転職することをオススメします。
また、残業代をちゃんと払ってくれる会社であっても、「そもそも残業はさせない」方向に社会が動いています。ダラダラ残業している人の方がむしろ評価が低く、むしろ定時までにリクエストされた仕事をしっかりこなせるほうが高く人事評価されるようになっていきます。
だとすればこれから考えていくべきは、自分の能力を高め、それを評価してもらう努力をすることで「時給」そのものを上げていくことです。高い能力、高い責任を持つ仕事をする人は基本給そのものが高くなりますが、これを目指すのが時給を上げる発想というわけです。
仕事に必要な知識を習得し、できるだけスピーディに仕事をできるように取り組み、必要なら資格を取得するようなことが、あなたの時給をちょっとずつ高めていきます。
あなたの時給はどうやれば上がるか、今すぐにできること、数年かけて目指していくことを考えてみてください。
「業界」は将来の伸びしろを見て、「職種」は自分の向き不向きを考える
もうひとつ考えたいのは「自分に向いている仕事」を探すことです。このとき意識したいのは「職種」です。
仕事をするとき、特に新卒の就活をするときは業界研究をします。しかし実際に社会人になってみると、「業界」より「職種」のほうが大事だったりします。
例えば大好きなゲームの開発会社に就職したとします。しかし全員が開発に配属されるわけではありません。総務部の仕事をするかもしれませんし、法務や人事に配属されるかもしれません。営業や広報の仕事になってゲームのPRや販売促進に飛び回ることもあります。いずれも会社組織には必要な部署です。
こうした基本的な「職種」は、どの企業にもあります。業界が変わっても、ほとんどすべての会社に「営業」がいます。「総務」や「経理」がいない会社はまずありません(最近はアウトソーシングすることもありますが)。あなたがもし転職するとき「次もゲーム業界」と考えるより、得意な「経理」で転職をすると考えると選択肢が何倍にも広がってくるのです。
そして職種で考えると向き不向きがあることも分かります。20歳代は人事異動でいろんな職種を経験すると思いますがぜひ、自分の得意な分野をみつけてください。自分の得意分野は「営業」なのか「総務・経理などの事務」なのか「企画や経営戦略」などの仕事なのかみつけるのです。
私も実は、経理や総務的仕事はまったくダメです。20代で気がつき、ダメなことは誰かに任せて得意分野で自分のスキルを伸ばすことに集中しました。あなたの仕事人生も得意分野を伸ばすことを考えてみてください。
「業界」については、今働いている業界が下り坂になったかどうかを意識してみてください。あなたの働き盛りの年代を、下り坂の業界で働いて過ごすと、「給料は増えない」「ボーナスも出ない」という10年が待っています。
世界全体の景気が悪い時期は個人では避けようがありませんが、衰退していく業界に勤めているのなら、転職をすれば風向きを変えることはできます。同じ仕事をしていて、年収が10%以上変わることもしばしばです。
転職はもはや珍しいことではありません。ある調査では50歳代の転職経験者率は3人に2人くらいもあるそうです。強みのある「職種」を武器に、元気のある「業種」を選んで働いていくのが、これからの時代の働き方なのです。
長い人生、仕事のキャリアは「2つ」あってもいい
長い人生を視野に入れた働き方も考えておく必要があります。人生100年時代のライフプランを考えるとき、過去に想定されていないほど「働く期間」が長いということがあげられるからです。
大卒の22歳から、70歳まで働くとしたら、48年間も働くことになります。これは団塊世代と比べて10年長いキャリアを考えるということです。もしかするとあなたの持っていたスキルが陳腐化することもありえます。
先ほどの「職種」について、違う分野にチャレンジしてみるのも人生です。RPGゲームに例えるならジョブチェンジの発想です。自分が攻略していく世界が変化したのであれば、自分自身の「ジョブ」を変えていってもいいのです。
これからの時代は、「働かされる」発想ではなく「自分で働き方を選ぶ」発想が求められます。ぜひ、自分が気持ちよく働ける道を自分自身で探してみてください。