なぜ「資産運用」をやった方がいいのか、まずは考えてみよう!
監修・ライター
そろそろ資産運用を始めてみたいと思っているみなさん。ようこそ、泉先生の「資産運用 超入門」講座へ。
この講座は、「お金をとことん増やしたい!」と考えてはいるものの、「まだ何もはじめていない」、「何からはじめていいかわからない……」という人に、自分に合った資産運用法を見つけ、実際に行動に移せる力を身につけてもらう講座です。
資産運用の方法をマスターできれば、夢や目標をかなえたり、老後にゆとりを持って暮らしたりするための資産を自分でつくることができるようになります。さぁ、心もお金も豊かに、自分らしいライフスタイルを楽しめる人生をここから手に入れましょう!
今こそ、普通の人でも手軽にお金を増やせる時代
では早速、講座をはじめていきましょう。Kくん、きみはどうして、資産運用をやってみたいと思うようになったのかな?
今はまだ独身で、お金の面で不自由しているわけではないんです。でもこの先、結婚や子育て、マイホームなどお金がかかるイベントが控えているかもしれないし、今の世の中を見ていると、僕らが定年を迎える頃には退職金や年金も、今のようにはもらえないんじゃないかと不安になって。
そうだね。最近は、消費税増税による生活費アップや社会保険料の上昇、年金制度に対する将来不安など、僕たちの生活を脅かす出来事が目白押し。さらに支出は増えつづける一方、給与やボーナスは上がらず収入は増えないまま、なんていう社会全体が危機的な状況にあるといっても過言ではないよね。でも大丈夫。これから「資産運用」について学んでいくことで、不安はきっと解消できるようになると思うよ。
本当ですか? 実は「資産運用」って聞くと、きっと悠々自適のお金持ちがやるものなんだろうな、とか、あとはギャンブルみたいにお金が飛んでいくもの、証券会社の手続きが複雑で面倒くさいもの、なんていうネガティブなイメージを持っちゃうんですよね……。
おっと、それは大変。実際には、僕たち普通の人にもかんたんに実践できる方法があるし、最近は、100円、1000円といった少額から株や投資信託を購入できたり、買い物で貯めたポイントを運用資金に使えたり、ネット証券の普及によって24時間、いつでもどこからでも取引ができたりと、お金持ちでなくても、忙しい人でも、手軽に資産運用をスタートできるようになっているんだよ。
100円、1000円から!それならちょっと試してみたいかも。
前向きに考えられそうかな? じゃあ実際に、「資産運用をはじめてみよう!」となった時、次にするべきことは何だろう?
とりあえず、ネットや書籍で調べてみる、ですかね。
世間にはいわゆる「資産運用」に関する書籍や情報があふれているからね。だけどここで注意しておきたいのは、「資産運用」という言葉が、①資産(お金)を運用して増やす「資産形成」 、②資産(お金)を運用して(減らさないように)守る「資産保全」、という2つの意味に分かれていて、一般的な「資産運用」の情報は、2つめの「資産保全」について語られているものが多いということ。つまり、「お金を増やすための情報」だと思って学んだのに、実は「すでにお金を持っている人がその資産を減らさないようにするための情報」だった-ということが少なくないんだよ。
へぇぇ。つまり、自分が望むのものが、「資産形成」なのか「資産保全」なのか。目の前にある情報がそのどちらにあたるのかをしっかり理解することが大切なんですね。
そう。あと、お金を増やしたいと思ったとき、いきなり「デイトレ必勝法」や「FXで儲ける方法」といったノウハウに頼ることもあまりおすすめしないな。まずは、どんな資産運用にもおいても共通する「お金の増やし方の本質」をつかむことが最優先。本質さえつかめれば応用が利くようになるので、どんな人がどんな運用にチャレンジしてもうまくいくようになるんだよ。
「本質をつかむことが最優先」。肝に銘じます!
資産運用は、働く人の最強のサポーター
世の中にお金を増やす方法は2つあって、まずは働いてお金を稼ぐという方法。がんばって出世して給料アップを達成するか、少しでも高収入の仕事に転職するか、あるいは週末の空いた時間に副業をするか……。いずれも、自分が働いてお金を稼ぐ方法だね。もちろん、働くことはすばらしいことだけど、それに伴う厳しさもあるよね。
満員電車での通勤、職場の人間関係、繁忙期の残業。その上で限界までがんばったのに、会社の業績悪化でボーナスカット、なんて時はかなり凹みますね。
そうだよね。だからと言って、毎日を自由に過ごすわけにもいかない。労働や時間と引き換えに、給与という収入があるからね。でも僕らには、もう1つ、自身は働かないで収入を増やす方法があるんだ。それが、「資産運用」。つまり、資産運用とは、自分のお金に働いてもらって、お金を運んできてもらうということなんだよ。
「自分のお金に働いてもらう」ですか。新しい発想ですね。
例えば、今あるお金を元手に、株式や投資信託、債券などを購入すれば、その分配金や利回りによる利益をもう1つの収入の柱にすることができる。こんなふうにお金が増えていく仕組みさえつくれば、Kくんが会社で働いているときも、友人と楽しく遊んでいるときも、寝ているときも、休むことなく、コツコツと利益を生み出してくれるんだ。
最高だなぁ。しかもそういうイメージを持つと、資産運用のことをポジティブに考えられますね。
言ってみれば資産運用とは、どんなときも共に歩んでくれるサポーターのようなもの、共働きしてくれるパートナーのようなものなんだ。しかも今、がんばって働いて獲得した給与収入を銀行に預金しても、普通預金の金利はわずか0.001%(2020年現在)と、残念ながらほとんど増えない。でも資産運用なら年利3~5%、やり方によってはそれ以上に増えることもあるんだ。
同じ金額を貯金するのか、資産運用するのか、それによってかなり差が出てきそうですね。
たった1年でも数万円から数十万円、10年、20年と続けていけば、数百万、数千万円という差にもなりえるよ。また運用方法によっては、元のお金の2倍、3倍と増やすこともできる。給与を2倍、3倍にしようと思っても現実的には難しいよね。でも資産運用ならそれが実現可能になるんだ。
2倍、3倍!? それはすごいですね。
資産運用は、未来の自分へのプレゼント
資産運用って、夢がありますね。
でしょ? さらに、長い時間をかけるとお金を大きく育ててくれるところも、資産運用(というサポーター)のすごいところなんだ。
“長い時間”ですか。
そう。詳しくは今後の講座で説明していくけれど、スタート時の金額は少なくても、時間をかけることで大きく“育てる”ことができるんだ。だからもし10年後に世界一周旅行をする夢があるならばその達成資金を準備できるし、30年後の老後資金をつくりたいのなら未来の自分がゆとりある生活を送れるように、自分で年金を準備できるというわけ。
先生、実は僕、将来は海の近くで趣味のサーフィンを楽しみながらスローライフを送りたいんです。そのための資金、これから用意できますかね?
そういう目標があるとすごくいいよ。たとえば毎月3万円ずつの積立投資を30年間、5%で運用したとするよね。すると、トータルで2496万7759円になるんだ(元金1080万円、運用益1416万7759円・税金なしで計算)。
元金よりも運用益の方が増えてる!すごい。
こうして見ると、「資産運用」は時間をかけてお金を積み上げていく「未来の自分へのプレゼント」ともいえるよね。
先生、ロマンチストですね~。
(笑)。あともう1つ資産運用の魅力として、社会や経済を支えるシステムに参加できる、というところもあるよ。日本を含め世界中のお金を必要としている人々や会社にお金を投じることができ、その人たちが豊かになったり成功したりすれば、利益となって戻ってくるからね。
好きな食品を販売しているメーカーの株を買ったり、難病の特効薬を開発している製薬会社の株を買ったりする形で応援するのもありなんですね。
そうだね。つまり、感謝されるうえにお金も増えるという意味で、生きたお金の使い方にもなるんだ。
ではここで、資産運用のポイントをざっくりまとめてみよう。
資産運用のポイント
・お金に働いてもらうことでお金が増えていく
・貯金とは異なり、元のお金(元手)を2倍、3倍に増やすことも可能
・少額からスタートして時間を積み重ねることで、将来の資産をつくれる
・投資を通じて、人や会社を支援できて、自分のお金も増える
「資産運用でお金を増やす」と聞くと、Kくんみたいに「なんだか難しそう」とか、「お金持ちがやっていることで、自分とは関係ない」と感じる人もいるかもしれない。でも、安全で着実な資産運用は、実はもっと身近なもので、私たちの人生をサポートしてくれる、とても強い味方なんだ。
株式や投資信託が月々わずか1000円ほどではじめることができたり、買い物で貯まったポイントを購入費用にあてたりすることもできる、という話を聞いて、かなり身近に感じました。
最近ではネット証券の普及で、24時間いつでもインターネットから購入や売買の注文ができたり、積立購入のように初回の設定だけしておけばあとは「ほったらかし投資」ができたり、と忙しい人でも実践できるようになっている。スマートフォンやインターネット環境を使いこなせる人ほど、スタートしやすい、絶好のチャンスなんだよ。
まずは、自分に合った資金から始めてみよう。その中で株式や債券、投資信託などさまざまな資産運用の手段から自分に合ったものを選び、安全性を考慮しながら長い時間をかけて運用すれば、得られる利益も大きくなる。この講座では、一攫千金のギャンブルのような方法ではなく、普通の人が毎日の暮らしや老後を、ゆとりを持って過ごすための資産運用について伝えていこうと思っているよ。
なぜ「資産運用」をやった方がいいの?
さて、さっきはお金を増やす2つの手段について触れたけれど、もう少し詳しく伝えていくね。収入には、①自分で働いてお金を得る「フロー収入」と、②資産運用によってお金を得る「ストック収入」の2つがある。
まずは、フロー収入(労働所得)について。働いて、その対価として毎月入ってくる収入のことを「フロー収入」というんだ。いわゆる給与や労働所得のことで、働いた分だけ確実に収入があるというメリットがある。その一方で、働けないと収入が途絶える(病気になったり退職したりすれば収入ゼロ)というデメリットもある。
なるほど。ではストック収入とはなんですか?
ストック収入(資本所得)とは、金融資産や不動産などを所有し、労働に関係なく、資産から入ってくる収入のこと。株式の配当金や不動産の家賃収入など、資産運用の結果として得られる収入のことだよ。
僕は今、フロー収入を得て生活しているということですね。
今はね。でも将来的には、この2つを収入の柱にすることを目標として欲しいんだ。なぜなら、「フロー収入」だけというのは、高い崖からロープ1本でぶら下がっているような危うい状況といえる。仮に、事故や病気などで働けなくなったら? 毎月必ずもらえていた給与収入が途絶えてしまうよね。生活していくための収入源は会社からの給料しかないので、困った状況に陥ってしまう。
確かに……。
もしもロープが1本だったらここで墜落してしまうけれど、2本あったら? 1本が切れても、もう1本のロープで体を維持することができるよね。つまり、崖から落ちそうになっても助かるには、ロープが最低2本必要だということ。
長い人生のなかには、病気で一時的に働けなくなったり、勤務先が倒産したり、予期せぬピンチが生じることもあるかもしれない……と考えると、収入源を2つ持つということは、命綱を2本持つことと同じなんですね。
そう。そのためにも、「フロー収入」だけでなく、2本目の命綱として、資産運用による「ストック収入」をつくっておくことが大切なんだ。資産運用はリスクがあるから怖いという人も多いけれど、実はその逆。「収入源が1つしかない」という最大のリスクから、僕らの身を守ってくれる武器でもあるんだ。
お金にまつわるいろんな不安がつのる時代ですけど、「フロー収入」と「ストック収入」の両方から収入を得ていければ、より安定した生活を送ることができ、お金に関する悩みや不安を解消することができそうですね。
そう。でもここで忘れてはならないのは、1本目のロープ、つまり「フロー収入」の存在こそ、きわめて重要だということ。安定的な「ストック収入」を手に入れるためには、まず資産運用の元手となる財産をつくらなければいけないからね。たとえば、年間400万円のストック収入を実現するには、年利5%で運用できたとしても、元手となる資産が8000万円も必要になる。だけどフロー収入で年400万円稼ぐというのは、ある程度の仕事経験者なら実現できない数字ではないよね。
ちょうど、今の僕くらいの感じですね。
理想としては、フロー収入を元手としてお金を生み出す運用を行い、運用によって生じたストック収入の範囲内で生活できるようになることかな。
ストック収入の範囲内で生活する、とは?
たとえば、1万円で以前から欲しかった靴を買うとする。普通であれば、貯金してある1万円をそのまま靴の購入費にあてるよね。するとお金が靴に変わる。でももう1つ、靴もお金も手に入れる手段があるんだ。まず、貯金してあるお金を資産運用する。そして、資産運用の収益で生まれた1万円を使って、その靴を購入する。こんなふうに、お金をその他の資産に迂回させて、その資産からの収入で靴を買えば、収益も靴も両方手に入れられるんだよ。
そんなこと、本当にできるんですか!?
いきなりすべての生活費をストック収入だけでまかなうことは難しいよ。だからこそまずは、フロー収入を着実に貯めて手元のお金を増やし、それを使ってストック収入をもたらす資産を増やしていく。その結果として、ストック収入の範囲内で生活できる、という流れをつくれれば理想的だね。
その方法、早く知りたいです!
まずは、どんな資産運用にもおいても共通する「お金の増やし方の本質」をつかむことが最優先。これからじっくり、学んでいこう!
よろしくお願いいたします!
まとめ
資産運用は、働く人たちの最強のサポーターであり、未来の自分へのプレゼント。現在は、様々な環境が整い、誰もが気軽にチャレンジできるようになりました。とはいえ、一攫千金を狙うような姿勢はおすすめしません。まずは、どんな資産運用においても共通する「お金の増やし方の本質」を掴み、その上で「上手なお金の増やし方」を身につけて、心もお金も豊かなライフスタイルを築いていきましょう。
さぁ、次回も引き続き、資産運用の基本を学んでいきます。お楽しみに!