「商品(コモディティ)」なら、1年で資産10倍も夢じゃない!?
監修・ライター
そろそろ資産運用を始めてみたいと思っているみなさん。ようこそ、泉先生の「資産運用 超入門」講座へ。
この講座は、「お金をとことん増やしたい!」と考えてはいるものの、「まだ何もはじめていない」、「何からはじめていいかわからない……」という人に、自分に合った資産運用法を見つけ、実際に行動に移せる力を身につけてもらう講座です。
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そもそも、「商品(コモディティ)」とは?
今回のテーマは「商品」。商品と言っても、具体的には何のことなんですか?
資産運用の「商品」は「コモディティ」ともいうんだけど、原油や天然ガスなどのエネルギー類、金(きん)やプラチナなどの貴金属類、トウモロコシや大豆などの農産物類のことを指すんだ。そして、そうした「商品」を投資対象とする取引を「商品取引」、別名「コモディティ取引」とも呼んでいるよ。
どんな取引になるんですか?
商品取引は、大きく「現物取引」と「先物取引」の2種類に分けられる。ふだん、僕たちが何かモノを購入する際、商品の代金を支払って、引き換えにその商品を受け取るよね。このような取引が「現物取引」。
なるほど。対して「先物取引」は?
将来のあらかじめ定められた期日に、現時点で取り決めた価格、つまり先物相場価格で売買することを約束する取引のことをいう。資産運用の世界でいわれる商品取引とは一般的に、こちらの「商品先物取引」のことを指すんだ。
株式や債券とは、どのあたりが違ってくるんですか?
次の4つのような異なる特徴があるよ。
①「買い」と「売り」のどちらかでも取引可能
②売買期限が決められている
③証拠金取引が基本
④差金(さきん)決済が行える
「買い」と「売り」のどちらかでも取引可能。へぇぇ!
現時点で取り決めた将来の価格で売買することを約束する取引なので、買うという注文も売るという注文も、どちらでもできるんだ。つまり、値上がりしても値下がりしても、利益を得るチャンスがあるということだよ。
なんだかとても魅力的に聞こえます。じゃあ、2つ目の「売買期限が決められている」というのは、どういうことですか?
先物取引の場合、注文時にあらかじめ定めた期日までに、必ず決済をしなければならないということ。たとえば株式投資の場合、購入後、この日までに絶対に売らないといけない、なんてことは決まってないよね(制度信用取引は除く)。だから値段が下がってしまっても、元の価値に戻るまで待つことができる。でも先物取引では取引期間が決められているから、仮にその時点で決済すると損失が出てしまう場合でも、期限が来たら取引を終了する必要があるんだ。
先読み力がかなり必要になりそう~!じゃあ、「証拠金取引が基本」というのは?
先物取引を行う場合、取引に必要な金額が口座に全額入っていなくても、「証拠金」さえあれば取引ができるんだ。担保のようなものだね。証拠金は、取引価格の一部で、少ない場合だと取引価格の5~10%の証拠金で売買ができるよ。株式投資の場合でも、信用取引では委託保証金が口座に入っていれば、それより大きな金額の取引ができるけれど、先物取引もまさに同じような仕組みで、その取引に必要な証拠金が口座に入っていれば、取引ができてしまうんだ。
つまり、少ない元手でも行えるということですね。4番目の特徴の「差金決済が行える」というのはどういうことですか?
商品先物取引を資産運用目的で行う場合、その商品自体を購入することが目的ではなく、価格変動を予測してその「差益を得ること」が目的になる。だから現実的には、約束した特定の期日の前に、注文時の価格と現在の価格との「差額の受け払い」によって取引を終了させてしまうのが一般的なんだよ。
期日の前に取引を終了させる…? うーん、わかるような、わからないような。
もう少し具体的に話そう。たとえば、金(きん)を10,000円で購入したとする。この場合、株式投資などと違って、実際に10,000円を払ったり、金を受け取ったりすることはないんだ。その後、金の価格が変動して、11,000円になったところで売却するとしよう。この時、はじめて1,000円の利益獲得というわけ。もし、9,500円になったタイミングで売却したら、証拠金から500円が差し引かれて、損失発生というわけだね。
今回は「買います」という注文に対して、その後「売ります」という注文を出したけれど、こういった反対の注文を入れることを「反対売買」と呼ぶよ。
差金決済とは、この一連の動きのように、現物の受け渡しを行わず、反対売買によって生じた差額だけを受け渡す決済方法のことをいうんだ。
商品先物投資のコストは?
「商品」の場合、コストはどんな感じですか?
商品先物取引を行うには、大きく分けて2種類の投資コストが発生する。1つは、商品先物取引業者に支払う取引手数料、もう1つは税金。商品投資の利益は、これらのコストを差し引いた金額になる。
それぞれもう少し詳しく聞きたいです!
まず実際の商品の取引は商品取引所で行われるのだけど、その商品取引所と一般の投資家が直接取引することはできない。なので売買を商品先物取引業者に依頼する形となり、その取引手数料が発生する。
いくらくらいかかるものなんですか?
取引量や期間によって異なるけど、最小取引単位で1回の取引にかかるコストは100~1000円くらいが相場かな。取引業者によっても違いがあるので、取引を行う際は取引業者の比較検討をしておこう。
わかりました!
そして税金。商品先物投資の場合は、商品を差金決済した場合しか利益は発生せず、その年の1月1日から12月31日までに発生した利益から、取引手数料などを差し引いた金額に対して約20%課税される。そしてこの場合には、確定申告による納税義務が生じるよ。
コストに関しては割とシンプルなんですね。
そうだね。ちなみに、期日を迎えて実際に商品を購入する場合に、輸送費などが発生することもあるけれど、ここでは割愛させてもらうね。
商品先物投資取引のメリット・デメリットは?
商品先物投資取引にも、当然メリット・デメリットがありますよね。
そうだね。まず大きなメリットはこの2つ。
・少ない資金でも大きな取引ができる
・短期間で大きな利益を得られる
まず、「少ない資金でも大きな取引ができる」について。商品先物取引で必要となるのは、総取引金額の数%程度の証拠金だけ。少ない資金で大きな取引を行える点は、商品先物取引のメリットだといえる。当然ながら、総取引金額が大きくなると利益も大きくなるよ。
証拠金はさっき言ってた5~10%程度の金額なんですよね。それなら、僕も挑戦できるかも…!?
それから、短期間で大きな利益を得られるのも商品先物投資のメリット。商品取引所には、特徴の異なるさまざまな銘柄(商品)が上場されているけれど、銘柄によっては、短期間で大きく値動きするものもあるんだ。
例えばどんなものですか?
代表として挙げられるのが、原油やガソリン。これらの値動きを読めば、短期間で大きな利益を上げられることがあるよ。
「短期間で大きく儲けられる」ってインパクトが大きい! でも当然、デメリットもあるんですよね?
そうだね。大きくはこちらの3つ。
・価格変動リスクがある
・取引単位が大きい
・ハイリスク、ハイリターン
まず1つ目は、価格変動リスクがあるということ。商品先物相場はつねに変動するもので、この価格変動を利用してうまく売買できれば売却益が期待できるけれど、逆に大きな損失を出す可能性もある。
ですよね。ガソリンの価格の上下については、よくニュースでも取り上げられていますし、それだけ影響が大きいんだろうなと。
2つ目は取引単位が大きいこと。商品先物取引では、商品ごとに最低取引単位があらかじめ決められているんだ。金を1gだけ取引するということはできなくて、金であれば、最低でも1kg、原油なら50klという単位で購入、または売却しなければならない。
ということは、やっぱり証拠金がそれなりに必要ですね。
金やプラチナなど一部の商品に関しては、「先物ミニ」といって取引単位が10分の1や5分の1で売買できる商品もあるよ。それでも、金の取引単位は100gだけど…。たとえば、「金1gあたり5000円」のときの最低売買単位はいくらになるかを計算してみると、5000円×1000g=500万円となる。
「先物ミニ」で、取引単位が10分の1だったとすると、5000円×100g=50万円ですね。
そしてデメリット3つ目は、ハイリスク、ハイリターン。先述の金の取引例でいうと、価格がたった100円上がっただけで、実に10万円もの利益が生まれることになるんだ。証拠金は約10万円なので、運用資金がほぼ2倍に膨らんだ計算になるね。
運用資金が2倍に!それはすごい。
もちろん、価格が200円上がれば利益は20万円に。商品先物市場における金価格は、数か月で400~500円くらい変動することも珍しくないので、大きな利益も、逆に大きな損失も出やすくなる。
変動するたび一喜一憂しそうです。
金の値動き幅(ボラティリティ)は、商品市場全体のなかでは穏やかなほうだけどね。原油などのようによりボラティリティが大きい商品を取引対象にすれば、さらに大きな損益となるよ。あと、株式投資の場合は、100万円の投資金額に対して最大で100万円までしか損失はないけれど、商品先物取引の場合には、100万円の投資金額に対して200万円にも300万円にも損失が膨らんでしまうこともある。
ひー!
自分が投資した上場会社が倒産する確率と、自分が投資した商品が数百円ほど予想とは逆の値動きをする確率、どちらが確率が高い=リスクが高いかは想像しやすいんじゃないかな?
知識や経験を身につけることで、ある程度のリスクの軽減はできそうですけどね。
そうだね。でも、未来の価格変動に絶対というものはない。商品先物取引は、その特性上、まさに「ハイリスク、ハイリターンな資産運用」といえるものなんだ。
基本的な資産運用法と目指せる成果は?
デメリットを聞いて、すっかり及び腰になっています…。
ははは。でも商品先物取引はその特性上、リスクを取ってでもスピードある積極的な資産形成を考えている人には最適な資産運用ともいえるんだよ。うまく運用できれば、1年で資産を10倍以上にすることも可能だと思う。
ええっ!10倍!?
そう。でもつねに予測が当たるとは限らず、予測が外れた時の損失も大きいので、資産運用の初心者が手を出すのは、かなりハードルが高いかもしれないね。
そうですね。上級者の投資なのかなと思いました。
「証拠金取引」、「レバレッジ」など、特徴が似ている資産運用方法としては、今後紹介する「外貨投資(FX)」もある。なので、まずはそこで取引の仕組みを知って、安定的な利益を上げられるようになってからチャレンジしたほうがいいね。
今後が楽しみです!
まとめ
「商品(コモディティ)」とは、原油や天然ガスなどのエネルギー類、金やプラチナなどの貴金属類、トウモロコシや大豆などの「商品」を投資対象とし、将来のあらかじめ定められた期日に、現時点で取り決めた価格、つまり先物相場価格で売買することを約束する取引のことをいいます。
少ない資金でも大きな取引ができたり、短期間で大きな利益を上げられる可能性もありますが、価格変動のリスクや取引単位が大きいこと、大きな損失が出てしまう場合もあるなど、リスクも大きい取引です。
上級者向けの投資として、まずはその概要だけでも知っておきましょう。
次回は、「投資信託」について学んでいきます。お楽しみに!