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ライフプラン3.0の時代の転職作法とは?

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

ライフプラン3.0の時代の転職作法とは?

まずは今の会社でがんばる 転職活動はそれから

ライフプラン3.0の時代は、転職の時代だと前回お話をしました。キャリアアップに必要であれば、違う会社に移ることをためらう時代ではありません。むしろひとつの会社にとどまることが自分の成長を遅らせてしまうこともあります。

また、人間関係で息苦しい場合なども、違う会社に移る自由があります。ライフプラン1.0あるいは2.0の時代にはセクハラやパワハラが横行しており「ガマンするのも仕事だ」などという上司がいても耐え忍ぶしかありませんでした。しかし転職の自由度が低かった時代の話ならいざ知らず、今はそうしたブラックな会社から飛び出すことができます。

しかし、キャリアアップは転職だけで考えるものではありません。今の会社がブラック企業でないなら(ほとんどの企業は、がんばっている社員に報いてあげようと考えています)、しっかり仕事をし、ビジネススキルを伸ばしていくのも大切なことです。

前回もキャリアをスライドさせるような、ステップアップにならない転職はやめようと話しましたが、自分の能力を高めていく努力があって初めて、転職して年収が上がるわけです。

今の会社で働き続けるほうが、自分の成長にもつながり、かつ納得できる報酬も得られると思えるなら(職場の人間関係も良好なら)、転職をしないことも選択肢です。

アプリは必須 スマホの設定はステルスモードで

それでも、自分の市場価値を見極める(あるいは自分に欠けている部分を知る)ために、転職活動をやってみることはムダにはなりません。

転職に必要なツールは、すでにお持ちのスマホ(あるいはタブレット)ひとつで十分です。いくつかの転職サービスのアプリをダウンロードして初期設定まで済ませれば、いろんな案件がマッチングされるようになります。

最近では、AI(プログラム)を活用して、あなたの職歴や希望に近い転職情報を絞り込み、新着情報を提示してくれるようになりました。

ライフプラン2.0の時代には、紙の転職雑誌をコンビニで買って、検索性の悪い記事にひたすら目を皿にしてチェックしては付箋やマーカーをつけたものですが、そんな必要はありません(そもそも、転職雑誌が書店で販売されていません)。

スマホアプリで転職活動ができるのは、時間制限の解放でもあります。職場へ出社途中に「今日は案件何か来てないかな」とチェックしたり、昼休み中にリサーチすることもできます。

ライフプラン2.0の時代には、転職情報誌がカバンに入っていることが上司にバレると困るので、自宅で、帰宅後の夜にしか転職候補探しができなかったのです。

スマホというライフプラン3.0の時代の必須ツールを使いこなさない手はありません。ぜひ、アプリを使いこなしてみてください。

ただし、便利すぎるがゆえに注意するべきところもあります。あなたのスマホの通知設定がオンになっていて、職場バレすることは避けましょう。

ちょっとトイレに行ったとき、あなたのスマホに「新着メール:先日の面接の件について」なんて表示が出て、たまたま上司が通りかかって目撃する、のようなミスは犯さないようにしてください。

転職活動は「堂々と、こっそりと」

転職経験者はおわかりと思いますが、転職活動が社内でバレていいことは何ひとつありません。結果として転職をしなかった場合も、人事評価によい影響を与えることはありません(理屈上は無関係ですが、上司の心証が良くなることはまずないでしょう)。

上司や人事部に知られないようにするだけではなく、同僚や後輩などにも転職活動は隠しておきましょう。彼らだってあなたの転職する可能性を知ったら、付き合い方にためらいが出てしまいます。転職後に付き合いが続くかは別問題ですから、とにかく伏せておくことです。

とすると、「社内では、コッソリ」が大事です。先ほどスマホの設定の話をしましたが、「SNS」にも注意してください。

InstagramなどのSNSに、レストランのランチ写真をアップしている習慣のある人が、ライバル企業近くのお店(しかもいつもは行かないエリア)のお店をアップし、職場バレすることがあります。素敵な建物や風景を撮影してアップするのも、面接に行く日は控えておきましょう。

しかし、なんでもコソコソとする必要はありません。転職活動は「堂々と」やりましょう。なかなか有休が取れない会社であったら、気にせず仮病を使いましょう。本来自由に取れる有休を取らせてくれないのが悪いのです。親にも病気になってもらってかまいません。

面接を受けることを悪びれる必要はないので、コソコソしつつも、気持ちは堂々としながら、面接で自分を売り込んでみてください。

「転職先の高年収」か「今の会社の働きがい」か 悩んだらどうする

一般的には、今の会社に不満があって転職活動をすると思います。年収が少ない、仕事がつまらない、職場環境が悪い、といったところが「3大転職動機」でしょう。いずれも転職を考えるに値します。

悩ましいのは「職場の人間関係はそれほど悪いわけではない」ケースです。それなりに仲良くやっていて、それなりに仕事も楽しんでいる場合、高年収の案件があっても転職活動に踏み切れないことがあります。

ライフプラン3.0の時代に「年収」と「働きがい」のどちらを選ぶかは難しい問題です。お金だけがすべてではない、というのはライフプラン3.0の価値観のひとつだからです。

ひとつの見方としては「お金だけで判断しない」発想があります。ストレスがない環境、上司に敬意を払い、同僚や部下とは気持ちよく働けるなら、あえて飛び出す必要がないように思えます。

しかし、人生で多くお金を稼ぐことのできるチャンスは有限です。いくら長生きする時代といっても全力で働けるのはやはり70歳くらいまでが限界でしょう。

それに、あなたの「同じ仕事」が今の会社では「安い評価」を受けていると考えたなら、「働きがい」をうまく会社に利用されているともいえます。

ある人が、「人間関係は悪くないし、自分を雇ってもらった恩義もあるし、もう少しだけ今の会社でがんばってみよう……」とガマンを重ねてみたものの、あっという間に5年が経ってしまいました。

まったく増えない、低い年収に耐えきれず、転職活動をしたところ、彼はあっさりと年収100万円以上upの転職を勝ち取りました。5年前に即断即決していたら、500万円多い給料をもらって、もっとたくさんの事ができたことでしょう。

そして「転職先でも人間関係は良好、年収は増えて、仕事はもっとおもしろくなる」という、最高の転職になったそうです。こんなうまい話が転がっているのが、キャリアアップのおもしろいところです。

「働きがい」と「高年収」は同時にゲットできないイメージがありますが、両立することもしばしば。もし、自分の仕事に悩んだら、一度転職アプリに登録してみましょう。「え、自分の経験や資格で、こんな高年収の求人があるの?」と思ったら、そこが新しい人生のスタートになるかもしれません。

「働きがい」の怖いところは、会社にうまく利用されてしまいがちなことです。結果として低賃金で何年も過ごすことになったりします。これは若くてまじめな人ほど陥りがちな罠です。ライフプラン3.0世代の皆さんは注意してください。