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評価やスキルアップに不安、長引くリモートワークに疲れ

経済とお金のはなし 中新 大地

評価やスキルアップに不安、長引くリモートワークに疲れ

【画像出典元】「DesignPrax/Shutterstock.com」

こんにちは、ライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。

コロナ禍突入から約2年が経とうとしている今、元のように出社して働く人もいれば、感染者が少ない時期は出社し、多い時期だけリモートワークをする人、リモートワークだけで仕事が完結してしまう人も出てきました。

コロナ禍によって私たちの働き方は、より多様性のあるものへアップデートされたといえるでしょう。
しかし、そのなかで長引くリモートワークに不安や疲れを抱く人がいることも事実。

今回はそんなリモートワーク事情についてお話します。

意外とできちゃうリモートワーク

そもそもリモートワークはどのように行われているのでしょうか?

フリーランスのコピーライターとして、インターネット上をメインに活動している筆者を例に挙げると、連絡は「Chatwork」や「Slack」で行い、打ち合わせは「ZOOM」や「GoogleMeet」などを使用しています。納品もインターネットがあれば行えます。

コロナ以前はオフラインでの打ち合わせもありましたが、これはオンラインでも事足りたことだと後から気付きました。おそらく皆さんも、最初はツールの扱いに苦戦したかもしれませんが、「リモートワークってやろうと思えばできるものだ」と思われたのではないでしょうか。

会社員だとこうしたツールのほかに、自社の勤怠管理システムなどが加わるかもしれませんね。

やっぱり出社したい!リモートワークに抱く不安と疲れ

悩む女性
【画像出典元】「stock.adobe.com/H_Ko」

業界によって差はあっても、物理的には意外とできてしまうのがリモートワークです。「通勤時間を節約できる」「家事育児との両立がしやすくなった」など、肯定的な意見も出てきている一方で、「やっぱり出社したい」「リモートワークは疲れる」と思う人もいます。

公益財団法人日本生産性本部が2021年7月に行った『第6回 働く人の意識調査』 によれば、『今後の自身の収入に不安を感じるか』という問いに対して23.7%が「かなり不安を感じる」40.9%が「どちらかといえば不安を感じる」と回答。これは2020年7月時点ではそれぞれ21.2%と39.4%だったことから、不安は増していることが伺えます。

そんな状況下で働き方ががらりと変わるのですから、身体的にも精神的にも多大なストレスがかかっていることは言うまでもありません。

さて人々はリモートワークに対してどう考えているのでしょうか。
『自宅での業務で効率が上がったか』という問いでは、13.4%が「効率が上がった」、36.8%が「やや上がった」と回答しています。2020年7月がそれぞれ9.9%と40.1%だったことから、人々はリモートワークに慣れてきたと推察できます。

しかし、36.3%が「やや下がった」13.4%が「効率は下がった」と回答。効率が上がったと答えた人とほぼ同数の人がネガティブな印象を抱いているようです。

労務管理に課題感、自分の仕事は本当に評価される?

低評価にチェックされた黒板
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リモートワークには多くの課題があります。冒頭で紹介したようなツールを使いこなせるか、自宅のインターネット環境やセキュリティ対策はどうなっているのか、ほかの社員や他社との連携はどう行うのかなど、さまざまです。

中でも注目したいのは、31.3%が「仕事の成果が評価されるか不安」、24.1%が「オフィス勤務者との評価の公平性」などに課題を抱いている点です。

筆者も経験がありますが、リモートワークでは数字による成果報告がものを言います。それがKPI(重要業績評価指標)でありKGI(重要目標達成指標)です。

数字による成果評価が優先されるようになれば、業務も効率化を迫られますし、数字に表しにくい努力は見えにくくなってしまいます。

例えば「何度もクライアントの元へ通い、コミュニケーションをとることで契約を勝ち取ってきた」という営業にとっては、リモートワークは逆境でしょう。クライアントに会うことが難しいばかりか、契約にこぎつけるまでの準備・プロセスが出社していた頃よりも分かりにくくなります。

また、「孤独感や疎外感」を覚える人が20.5%、「上司・先輩から指導を受けられない」と感じる人が18.3%と、人間関係の構築やこれからのスキルアップにも課題を抱いている人が一定層いることも伺えます。

時代遅れとの賛否はありつつも、未だに人気の飲みニケーションや、社内で顔を突き合わせて行われる何気ない雑談など、コロナ前にはできていた“当たり前のコミュニケーション”が難しくなっていることも事実です。

見えない出口、模索する形

迷路とビジネスマン
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現状でリモートワークの終わりは見えていません。「リモートワークor出社、どちらが会社にとっても個人にとっても良いのか」は最適解が難しい議論で、各企業がより良い形を模索している最中というのが今の状態でしょう。

リモートワークの課題がある一方で、それを解決するようなサービスも増えています。仕事用作業スペースとしての個室や朝食・カフェスペースを提供するホテルが出てきただけでなく、社内外の連絡先を安全かつスピーディーに共有するための、クラウド型Web電話帳サービス「連絡とれるくん」や、社員のコミュニケーションを活性化させるための研修用ゲーム「目指せ上場!謎解き会社経営オンライン」、業務の偏りをなくし効率化を図る「Qasee」などです。

個人でも実践できるリモートワークを上手く進めるひとつの手法として、私はクライアントや仕事仲間とお互いに了承を得た上で、「話す時間を設ける」といったことを実践しています。この時仕事の話は基本的にしないと決めた上で行います。つまり、雑談です。

話す内容は、自分の趣味や最近食べて美味しかったもののこと、最近体験した楽しかったことや気になったこと、コロナが明けたらやりたいことなど、本当にさまざま。

仕事以外のことをクライアントや仲間と話すことで、お互いに新しい発見や既存の枠にとらわれない発想やアイディアが浮かんだり、これからの仕事や人間関係を構築する上で欠かせないヒントが見つかることもあります。皆さんも実践してみてください。

コロナ禍によって推進されつつあるリモートワークは、会社や業務の形によっては課題があります。ですが、なかなか進まなかった働き方改革やデジタル化が進み、より柔軟に自分のライフスタイルに合わせて働けるようになった人が増えたという利点もあります。

リモートワークが定着すれば、これからの就職・転職市場において、企業がどういった勤務形態をとっているか、どういった教育環境が整備されているのかが、就活者や企業にとって大きな指標になるでしょう。

すでにリモートワーク慣れした企業も増えており、そのノウハウもインターネット上でたくさんシェアされるようになりました。ぜひそうした事例を参考にしながら、働き方をアップデートしてみてはいかがでしょうか。