弱気相場入りした米国株、今後考えたいおすすめの投資方法は?
監修・ライター
2022年になって、米国株を中心に株式市場は大きく下落しています。この記事では、投資において、下落相場でどのような対応をするべきかについて解説します。
歴史的な下げとなった2022年上半期の米国株式市場
6月末(30日)のNYダウは、30,775.43ドルで取引を終了。昨年末(2021年12月末)の36,338.30ドルからの下落率は約15.3%となり、上半期(1~6月)としては1962年以来、60年ぶりの大きな下落幅となりました。
インフレの抑制を最優先課題としてきた米連邦準備制度理事会(FRB)が、積極的な金融引き締めに動いたことが主な要因です。さらに、ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルスに対する中国の都市封鎖など売りの原因が重なり、投資家のリスク資産保有を減らす動きが加速しました。
また、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は6月末に11,028.736ポイントで取引を終了し、昨年末の15,644.97ポイントから約29.5%も下落。上半期の下落率としては最大規模となりました。
また、機関投資家の多くが運用指標としているS&P500種株価指数も、上半期は20.6%下落しています。
米国株は弱気相場入り
株式市場では、過去1年(52週)以内につけた高値から20%以上下落すると「弱気相場に入った」と判断します。弱気相場になるとほとんどの投資家は悲観的で自信を失い、株を売らざるを得なくなると言われているのです。また、悪い要因に反応しやすくなるため、市場はますます売りが優勢になります。
米国を代表する株価指数の、過去1年間における高値からの下落率は、以下の通りです(2022年6月末時点)。
NYダウの下落率は、かろうじて20%を超えていませんが、S&P500種株価指数やナスダック総合株価指数は20%を超えているので「弱気相場入り」と判断できるのです。
2022年3月に米連邦準備理事会(FRB)は約3年ぶりに政策金利を引き上げました。しかし、急激なインフレが続いたことから、FRBは引き締めを加速させ、5月には22年ぶりに0.5%、6月15日には27年ぶりの大幅な引き上げとなる0.75%の利上げを実施しています。市場では、急激な利上げによる景気後退につながることを懸念しているのです。
大事なのは、弱気相場でもパニックにならないこと
現在の株価の下落がいつまで続くかわかりませんが、歴史から学ぶべき教訓はあります。最も重要なことは、どんなに急落しても株価の下落は一時的なものだということです。保有株をすべて売却するのは軽率で、その後にやってくるリバウンドを逃す可能性があります。
2020年のコロナショック時も、米国株式市場は弱気相場入りしました。NYダウは2020年2月12日に29,568.57ドルの高値をつけ、3月23日に18,213.65ドルまで下落。
下落率は38.5%となり、NYダウは「弱気相場入り」したのです。ただ、その後は上昇に転じ、2020年11月には3万ドル台に回復しました。
過去の経験から、株価下落時の最も賢明な戦略は、下落時に堅調な銘柄やインデックスファンドを購入することです。そうすれば、長期的なリターンがさらに大きくなることが期待できます。
個別株では、配当利回りの高い電力やガス・水道などの公益株などが下落に強いとされています。ただ、個別株を選ぶのが難しいという人は、S&P500種株価指数などの株価指数に連動したインデックスファンドを購入するようにしてください。
特に20~30代の若い世代にとって、株価が下落する局面は「長期・積立・分散」投資を始めるいい機会になります。下げ相場こそ積立投資の効果が発揮されるからです。
積立投資では、「ドル・コスト平均法」が実践できます。ドル・コスト平均法とは、価格が変動する商品(投資信託など)を定期的に一定量購入する方法です。
投資金額を一定にすることで、価格が安いときには購入金額(口数)が多くなり、価格が高いときには購入金額が少なくなるため、1口あたりの平均購入単価を下げることができます。
この積立投資でも大事なのは、短期的な損益に一喜一憂するのではなく、長期での運用を心がけることです。米国株式は、長期的に見ると上昇を続けています。10~20年といった長い期間で投資を考えるようにしてください。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。