テスラのヒト型ロボットが話題、来る新時代への影響とは?
こんにちは、ライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。
日本を代表するSF漫画“ドラえもん”や“鉄腕アトム”を見て、『人間とロボットが生活する未来はどんな世界だろう?』、『私たちの生活はどう変わるのだろう?』と考えたことはありませんか?
ドラえもんとのび太、アトムとお茶の水博士の関係のように、ロボットと人間の間に友情や愛情が芽生えるまでになるにはまだ時間がかかるかもしれませんが、ロボットによって私たちの生活が大きく変わろうとしていることは事実です。
今回はそんなロボット開発の最前線についてご紹介します。
テスラも本格参入、私たちを助けるロボットの最前線
2022年9月30日、イーロン・マスク氏が率いるテスラがヒト型ロボット「オプティマス」の試作機を発表したことで話題となりました。価格は2万ドル(約290万円) を想定。これが高いか安いかは人によりけりですが、普通車が買えてしまう金額と考えると、かなり悩みどころです。ただ、マスク氏はこのロボット事業を自動車事業以上に価値があるもの と考えており、私たち人間の暮らしを支えるものと期待しています。
オプティマスの場合は、約20kgの荷物を運んだり、ダンスを踊ったりすることが可能。また、人工知能が搭載されることにより、人間と一緒に作業をし、声による指示を理解することもできるようです。
通信はWi-FiとLTEで行い、動作の制御にはテスラが車の自動運転で積み上げてきた、AIオートパイロット技術を使用。発表時の見た目は機構がむき出しになった、いかにもロボットという印象でしたが、今後人工の肌や目、鼻、口といったパーツが搭載されることで、人間らしい表情を見せられるようになるかもしれませんね。その方がコミュニケーションも取りやすそうです。
テスラは、オプティマスを発表したプレゼンテーション「AI day 2022」において、「豊かで貧困のない未来の実現」を同社の存在意義として新しく定める旨を述べました。オプティマス開発の裏には、人間社会が抱える労働人口減少や過酷な肉体労働などをロボットが改善し、多くの人が文化的かつ健康的に暮らせる、サステナビリティな未来を思い描いているのかもしれません。
同じようなヒト型ロボットでは、日本においてはソフトバンクの「Pepper(ペッパーくん)」が2014年に登場し話題となりましたね。愛嬌のある顔と胸にモニターをつけた彼は、日本全国の様々なお店や公共施設などで見られます。
生産は2020年夏に停止しているとのことですが、3年ぶりに行われた2019年のメジャーアップデートでは、コミュニケーション能力が大幅に向上。 人間の話しかけに対する「自然応答率」は約7倍に向上。さらには3000以上の業務別会話シナリオを搭載したことで、より自然かつ状況に応じた反応がとれるようになりました。
すかいらーくが導入した、ネコ型配膳ロボット「BellaBot」も話題で、同社のファミリーレストランのガストに行くと、店舗を回遊しながら料理を運んでくる様子を見ることができます。他にもXiomiの犬型ロボット「CyberDog」やロボットスーツ(あるいはパワードスーツ)なども話題に。
これらは上記のオプティマスやPepperとは違い、コミュニケーションのためというよりは、人間の立ち入ることができない危険地帯への侵入や救助・調査活動といった、人間の行動を補助する目的で用いられるロボットとして期待が高まっています。
サービスロボットと産業用ロボットで変わる役割
そもそも、人間社会において活用が進み始めているロボットには、大きく分けると「サービスロボット」と「産業用ロボット」があります。
多機能化されるにつれて、その境界に関係なく活用されているロボットもありますが、前述のオプティマスやPepperは、どちらかといえばサービスロボットに分類されるでしょう。もっと過去にさかのぼって考えると、ペットロボットの「aibo」などもそうですね。どれも私たちとコミュニケーションをとりながら、時に有益な情報を、時に癒やしを与えてくれる存在です。Pepperやaiboに比べると、メカメカしい印象が強い掃除用ロボット「ルンバ」も、サービスロボットに分類されます。
対する「産業用ロボット」は、重い荷物を持ち上げたり加工したりする「ロボットアーム」が代表的です。ロボットアームは人間が出すことのできないパワーやスピードを発揮。主に工場のライン作業などで活躍しており、生産性を大幅に向上させることに成功しています。近年では力強さだけでなく、やわらかい物をそっと掴む機能の向上にも注目が集まっており、繊細さの求められる作業にもロボットが用いられる事例が増えてきそうです。
ロボット開発の進歩で私たちの仕事は奪われるのか
この世界にロボットという概念が生まれて以来、私たち人間は『いずれロボットに(近年ではAIも)仕事を奪われてしまうのではないか』という不安とともに歩んできました。この問題については多くの専門家が現在進行形で議論しているところですが、「様々な分野で代替・高度化が進む」といった見解が多く見受けられます。
芸術や音楽などのクリエイティブ系、事業の決議や進行を取りまとめるマネジメント系、繊細な心の機微を感じ取る必要のあるカウンセラーや弁護士などのホスピタリティ系の仕事は、完全にはなくならないとされています。
もっとも、一部の単純な業務や重労働を人間の代わりにロボットがこなすことはあるかもしれません。しかしそれと同時に「人間にしかできない仕事が明確になり、その価値が高まる」というのも事実。
その昔、産業革命によって物流の主流が馬から鉄道へ移り変わったように、どの業界においても変化は必ずやってきます。しかし、一方で「時には鉄道から離れて、馬に乗ってゆったりと風を感じながら牧場を走ってみたい」といった需要・価値も生まれるわけです。
「人間である自分の価値をどこに置くか」を考えると同時に、便利になっていく時代において、「自分は何を大切に生きたいか」を考えるべき時が近づいていると言えます。
人間とロボットが手を取り合う未来は近い?
高機能なロボットの登場により、私たちの生活には今までなかった感動がもたらされています。レストラン、ホテル、学校、市役所、図書館など、私たちの生活の身近なところで、ロボットたちが活躍しています。ロボットたちの多機能ぶりに驚いたり、あるいはその動きのぎこちなさが微笑ましかったりすることもありますよね。
今後ロボットの頭脳であるAIがさらに発達してくれば、人間とロボットの間に友情や愛情といった、新しくも複雑な感情や関係性も生まれてくるはず。もっとも、それはそれで新たな問題も生まれてきそうですが、誰もが子供の頃夢見たドラえもんやアトムのような存在が登場する未来は、とてもワクワクしますよね。