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先進国で最下位!ジェンダーギャップ指数の低さが日本に起こす影響

経済とお金のはなし 織瀬 ゆり

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世界経済フォーラムが発表した最新のジェンダーギャップ指数では、日本は先進国の中でも最下位であり、特に政治と経済分野の男女格差が顕著となりました。一方で、先日行われた自民党総裁選では高市早苗氏が立候補し、女性初の首相誕生の可能性も注目されるなど、少しずつ変化の兆しも見られます。

しかし、依然として女性の経済および政治への参画は低く、日本社会が直面する男女格差などの課題に取り組む必要があります。本記事では、ジェンダーギャップ指数の概要や日本の指数が低い理由と今後取り組むべき課題についてまとめてみました。

ジェンダーギャップ指数と日本の現状

ジェンダーギャップ指数とは世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している、各国の男女間の格差を測った指数のことです。経済・政治・健康・教育の4分野において、男女の平等度を0~1の間で評価し、男女格差が小さいほど1に近づきます。つまり、ジェンダーギャップ指数が1に近い国ほど、社会のさまざまな場面で男女が平等に扱われ、機会や待遇に大きな差がないといえるでしょう。

2024年のレポートによると、日本は先進7カ国(G7)の中でも最下位という結果になりました。

出典:男女共同参画局|GGI ジェンダーギャップ指数

教育と健康の分野では高い水準を維持しているものの、経済と政治の分野での男女格差が顕著であることがわかります。前年と比べるとジェンダーギャップ指数は僅かに改善され、125位から118位に上昇しましたが、国際的に見て低水準であることに変わりありません。

日本のジェンダーギャップ指数が低い理由

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日本のジェンダーギャップ指数が低い理由として、女性の政治・経済に対する参画の低さが挙げられます。日本の女性国会議員の割合は低く、地方議員も同様です。つまり、政治に関わる女性がほとんどおらず、年配の男性が大半を占めていることが分かります。

また、大企業においても女性管理職の割合が依然として低く、意思決定層に女性が少ないことも要因のひとつです。さらに、同じ仕事をしていても女性の賃金は男性の7割程度にとどまっており、大きな賃金格差が存在します。女性の非正規雇用率は男性と比べて高く、雇用の安定性や待遇面でも差が生じていることがわかるでしょう。

これらの問題の根底には、家事・育児は女性の仕事という伝統的な性別役割分担意識が根強く残っていることが挙げられます。こうした意識が女性のキャリア形成の障害となり、結果として経済面での格差に繋がっているのです。

ジェンダーギャップ指数が低いことによる日本社会への影響

ジェンダーギャップ指数の低さは、単なる数字の問題ではなく、日本社会全体に深刻な影響を与えています。女性の潜在能力が十分に活用されていない現状では、日本の経済成長が鈍化しているともいえるでしょう。実際、IMFの推計(2018年)によれば、労働力人口比率のジェンダーギャップを縮小することで、現在の女性の労働力人口比率に応じて、GDPが約10~80%上がるとの見方が出ています。

また、シングルマザーや子どもの貧困も深刻な問題です。OECD(経済協力開発機構)の統計によると、日本のシングルマザーの相対的貧困率は高く、G7の中で最も高い水準にあります。これは、シングルマザーのうち非正規雇用者の割合は38.8%と高く、これが結果として子どもの貧困に繋がっていることが要因といえるでしょう。

ジェンダーギャップ指数が高い国の取り組み例

これらの国々の取り組みに共通しているのは、法制度の整備と同時に社会の意識改革にも力を入れている点です。日本も同様のアプローチを参考にしつつ、日本の社会や文化に適した形で改革を進めていく必要があります。

ジェンダーギャップ指数を上げるための取り組み

男女格差の課題を改善するためには、社会での女性活躍が欠かせません。そこで、日本政府は、主に以下のような取り組みを行っています。

女性活躍推進法の制定

女性活躍推進法は、女性が仕事と家庭を両立できるように環境を整えることを企業に求めた法律です。常時雇用する労働者が101人以上の事業主に対し「一般事業主行動計画の策定・届出」および「自社の女性活躍に関する情報公表」を義務付けています。

ポジティブ・アクション

ポジティブ・アクションとは、男女格差をなくして働ける労働環境を目指した取り組みのことです。具体的には、女性管理職比率の向上、職域拡大、両立支援制度の充実などが挙げられます。これにより、女性社員の長期就労とキャリア意識の向上、優秀な人材の確保、組織の活性化、企業イメージの向上などのメリットが期待できます。

育児・介護休業法

育児・介護休業法は、仕事と育児・介護の両立を支援する法律です。主な制度として、「育児休業」「介護休業」「子の看護休暇」などが挙げられます。企業は柔軟な働き方を実現するために、制度を利用しやすい環境を整えることも求められています。

ジェンダーギャップ解消には課題が多い

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ジェンダーギャップ解消に向けて、さまざまな取り組みが行われているものの、なかなか改善されないのが現状です。そもそも男女格差は可視化されない部分も多く、現状を把握するのが難しい側面もあるでしょう。また、価値観や慣習を変えるのはそう簡単なことではありません。

しかしその一方で、コロナ禍によってリモートワークをはじめとする働き方の多様化が急激に進んだように、きっかけひとつで予想を超えて社会の変化が起こる可能性も秘めています。政府や企業だけではなく、社会全体が男女格差の問題に取り組む意識を持つことが大切です。