生命保険料が上がる!何が変わる?
何が変わる?なぜ上がる?
2017年4月より主に貯蓄性のある保険(終身保険や養老保険、個人年金保険など)の保険料が値上げとなりました。
生命保険は、次の3つの要素から保険料が決められています。
1)予定死亡率 (契約期間中に死亡する人がどれくらいいるのか)
2)予定利率 (契約者に約束する運用利回り)
3)予定事業比率 (生命保険会社で必要となる人件費等の経費)
3)は保険会社の問題ですが、1)と2)は業界全体に大きな影響が出ます。今回は、2) の予定利率の引き下げに伴い、契約者が支払う保険料が値上がりしたというものです。
今後、2018年~2020年4月までに「標準生命表」の改定が予定されています。標準生命表、つまり死亡率にかかる改定です。長寿社会の日本では、平均寿命も年々伸びています。長寿化に伴い死亡率の低下が反映されると思いますので、掛け捨ての死亡保障商品は、保険料が下がると考えられます。一方、長寿化による医療や介護リスクから、医療保険や介護保険などは値上げが予想されます。
何のために いつまでに いくら必要?
保険料が値上げになるのは今回が初めてではありません。10年前の2007年以降も、なんども利率の見直しが行われ、保険料が上がってきました。そのたびに貯蓄性は下がってきていますから、今回の改定で特にあわてる必要はありません。
改定がある直前には、「駆け込み契約」をする方がふえてきます。「来月になると保険料が上がりますよ」といわれると、早く加入しないと「損」をする気がしてあわててしまうかもしれません。
保険選びで最も大切なことは、目的に合っているかということ。目先の保険料に振り回されて契約するよりも、「何のために保険に加入するのか?」ということをしっかりと考え、自分のライフプランや価値観にあった保険に加入することが大切です。
お金をためるのは、使うため
貯蓄を目的として保険に加入する場合は、加入時の保険料だけでなく、途中での解約金や満期金を受け取るときにどのような「価値」になっているのかも考えながら備えることが必要です。
10年後、20年後、30年後に使う目的でお金を貯めるのであれば、「物価」の変化にも気を配っておく必要があります。
なんとなくお金をためていると、使うためにためていることを忘れてしまい、「物価」の変化に対応できなくなってしまっていることもあるので注意しましょう。
お金の教養を身につけよう
今年は保険料の値上げの他にも、iDeCo(個人型確定拠出年金)が大きく変わり、資産運用商品の選択肢がさらに広がりました。
自分にあった商品を選ぶには、お金の知識を活用して、自分にあった商品を選択する力「お金の教養」が必要となります。
生命保険文化センターの調査では、生命保険や個人年金保険に関する知識全般について「ほとんど知識がない」に近いと答えた方の割合は全体の68.6%となっています。<生命保険に関する全国実態調査/平成27年9月>
「勧められたから」ではなく、自信を持って自分にあった商品を選ぶために「お金の教養」を身につけることから始めてみませんか。
(ファイナンシャルプランナー/世継 祐子)