目次
大切な家族の一員でもあるペットのために、可愛いお洋服やおもちゃ、健康フードから医療保険まで、さまざまな新しいアイテムやサービスなどが生まれています。そんな中でも、驚くべきクオリティで話題となっているのが、あの大川家具メーカーが手がけたネコのための家具、その名も「ネコ家具」です。
CMで話題となり、世界中から問い合わせが殺到。ネコ家具ができた経緯から価格、職人のこだわりまで取材してきました。
ミニチュアやTOY雑貨ではない、職人が本気で作ったネコ家具
ネコは気まぐれでワガママな生き物。そして、家の中の一番居心地の良い場所をよく知っている存在でもあります。そんなネコが、なんとも気持ちよさそうにくつろいでいるネコソファの製作者は、福岡県大川市にある家具メーカー「広松木工株式会社」です。
製作のきっかけは、大川市の名産である大川家具の品質と技術、デザイン性をPRするためのCM撮影。
「CMのお話をいただいたとき、ネコ用の家具も面白いと思いました。でも、可愛いだけのものなら作りません。家具メーカーとしてのプライドがありますから」と話すのは、広松木工の営業グループリーダー、北洋平さん。
人間用の家具とまったく同じデザインで42%に縮小
「もともと広松木工では、大人用の家具を66%に縮小した子ども用の家具を作っていたので、それをさらに縮小した家具で良ければという条件で作らせてもらいました」
こうして一切妥協せずに作り上げたのが話題のネコソファ「42%サンタフェソファ」11万円(税別)です。通常約46~71万円で販売している“人間用”のサンタフェソファを正確に42%に縮小したものです。
このサンタフェシリーズの特徴は「アンティーク仕様」。新品のものに職人があえて傷をつけたり木材の節を残したりして、使い込んだレトロな風合いを出しているのです。
「傷はつけすぎても駄目。その加減は職人の技とセンスによるもので、一つひとつ手作業でなければできませんし、とても難しいんです」と北さん。それによって後からついた傷も気にならず、時の経過とともに、より味わいが増していくそうです。
人と比較しないとネコ家具には見えない精巧さ
ショールームに置かれたネコ家具はあまりに精巧で、写真だと普通の家具に見えてしまうほど。そこで、実際に北さんに入っていただき撮影しました。人のサイズと比べると、ネコ家具の小ささがよくわかります。
「ショールームに来られた1~2歳のお子さんが座られることもありますが、強度的にもまったく問題ありません。もちろん大型のネコちゃんも大丈夫ですよ」と笑顔の北さん。
【製品名】
・42%サンタフェソファ189(左) 11万円
・42%サンタフェキャビネット063(右) 9万4000円
・42%ガラサークルテーブル126(中央) 5万9000円
※納期:約2ヵ月
※価格はすべて税別
細部まで天然素材を使用。ネコにも人間にも安全
全体を42%に縮小しながら木目を読んで強度を保ち、留め具などの小さなパーツもソファの土台を留めるネジ以外は金属製は使わずに製品サイズに合わせて手作りしています。最後は必ず細かいところまでやすりをかけて手仕上げ。サイズが小さいため、通常の人間用よりもさらに手間がかかるとか。
使用している木材も人間用と同じです。北米産を中心としたパインやオークで、樹齢100年を超える希少なもの。丸太のまま輸入して使用しています。着色していないため、ネコが舐めたりかじったりしても安心ですし、傷が気になる場合は削ってメンテナンスすることも可能です。
ネコの爪も入らない!ソファカバーは特別仕様の帆布を使用
さらに、ソファカバーは広松木工オリジナルのストーンウォッシュ加工を施した帆布を使用(布見本左側)。通常のミシン針では折れてしまうほど目がぎっしり詰まっていて、ネコの爪も入りません。
人間用と同じようにファスナータイプで着脱できるため、洗濯や他のカバーへの付け替えも可能です。
※ピエトラ(左)(帆布・コットン100%・全10色)
※ルーガ(右)(リネン100%・全6色)
そのクオリティに世界各地から問い合わせが!
2017年のCM放送後の反響が大きく、TV等で取材・紹介されたことでさらに人気が拡大。日本だけでなく、ヨーロッパ、アメリカ、韓国や香港、シンガポールなど世界中から問い合わせが殺到しました。
あまりの反響の大きさに、2018年1月から受注販売をスタート。12月現在ですでに20本ほどの注文が入っているそうです。意外なことに、ネコを飼っている方だけでなく、人形用やインテリアとして購入していく方もいるとか。単なるミニチュアではない「本物の家具」であることが多くの方に支持されています。
最後に工場を見学しました。
「木材は生きた素材なので、一つひとつ個性があります。丸太で購入した後20年ほど自然乾燥させた後、表と裏、向きや節、部分による含水率(木材に含まれる水分)の違いなどを1本ずつ読み取りながら、さまざまなサイズの木材に加工します。そして、それぞれの部署の担当者が手作業で切り、組み立て、ペイントして、大小さまざまな家具を作っています」と北さん。
思いを刻みながら、お金では買えない豊かな時間を与えてくれる天然木の家具類。そうした時を超えて受け継がれる家具を作り続ける広松木工の熱い想いが小さな「ネコ家具」にも見事に表現されていました。