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ネット生保か対面販売か。なんで生命保険料は会社によって違うの?

そなえる

ネット生保か対面販売か。なんで生命保険料は会社によって違うの?

PhotoAC

各社で大きな差があるのが生命保険の保険料。なぜ違うのか、疑問に思ったことはありませんか? 実は保険料の差は「付加保険料」の違いにあるのだとか。じゃあ「付加保険料」って何でしょう? 保険料がどうやって決められているのか、保険選びに役立つ情報をお届けします。

保険料に含まれている「純保険料」と「付加保険料」

生命保険 

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毎月、保険会社に支払っている保険料。この保険料には、目的別に設定された2つの保険料が含まれています。

ひとつは、「純保険料」。契約者への将来の支払いに充てるために用意されているお金で、満期保険金や給付金、死亡保険金などの財源となります。

もうひとつは「付加保険料」。人件費や営業所の経費、広告費など、保険会社が経営を行うために必要な経費になるお金です。

保険料は、保険金の財源を確保するだけではなく、保険会社の経費がまかなえるように、金額が設定されているのです。

下がると「純保険料」が安くなる!「予定死亡率」

予定死亡率

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では、純保険料はどうやって決められているのでしょうか。

純保険料の計算に使われているのが「予定死亡率」。過去の統計をもとに1年間に亡くなる人数の割合を性別や年齢別に予測した数値です。この予定死亡率をもとにして、契約者全体の保険料で1年間に支払われる保険金がまかなえるように、純保険料は計算されています。

予定死亡率のデータに使われているのは、公益社団法人日本アクチュアリー会の「標準生命表」です。どの会社でも同じデータを利用するので、保険料に大きな差がつくことはありません。ただ、予定死亡率が低い非喫煙で健康体の人、ゴールド免許者など、特定の条件に当てはまると割引が受けられる会社はあります。

ちなみに、標準生命表は2018年春に改訂される予定です。各世代で死亡率が下がっているので、生命保険の保険料は値下がり、医療保険やがん保険の保険料は値上がりする保険会社もあると予測されています。

高いと「純保険料」が安くなる!「予定利率」

保険会社は集めた保険料を債券や株などで運用していますが、その収益の一部は純保険料を安くするために使われています。保険会社が契約者に対して約束する運用利回りが「予定利率」。予定利率の高い保険は、純保険料を大きく割引してあるのでお得です。

予定利率は、金融庁が出す「標準利率」を目安に設定されていて、景気のいいときは高く、不景気のときは低くなります。2017年は0.25%と史上最低の標準利率で、予定利率も最低水準に。

保険商品ごとに予定利率は設定できますが、どの会社でも資金の運用は投資のプロが行っているので、会社による差はあまりつかないようです。

つまり、純保険料はどこの会社の保険も変わらないといっていいでしょう。

保険料の差は「付加保険料」にあり。各社の「予定事業費率」で決まる

付加保険料

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保険業務の経費に充てられるお金が「付加保険料」です。付加保険料は、保険料全体に対する必要経費の割合である「予定事業費率」で算出されて、保険料に組み込まれています。会社や保険商品によって予定事業費率は大きく違うため、保険料に差がつく要因となっています。

インターネット経由で申し込みを受けるネット生保は、人件費や営業所の運営費などがかなり削減できます。予定事業費率を20~30%前後で抑えてあるので、営業所を持ち、募集人による対面販売が基本の大手生命保険会社の保険より、保険料をぐっと安くできるのです。

同じ保障を得るなら、ネット保険の方が保険料が安い傾向にあるようです。ではなぜ、付加保険料の高い対面販売による保険を選ぶ人がいるのでしょう?

対面販売の保険は商品選択などの際に相談ができ、申し込み時に安心できる、保険の種類や特約のバリエーションが多くカスタマイズできる、アフターフォローがいいというメリットで選ばれているようです。

保険料の安さと対面販売の安心感。それぞれの保険のメリット・デメリットをよく知って、自分にあった保険を賢く選んでくださいね。