ネットの保険料はなぜ安い?対面販売との差を生むカラクリ
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各社で大きな差があるのが生命保険の保険料。なぜ違うのか、疑問に思ったことはありませんか? 実は保険料の差は「付加保険料」の違いにあるのだとか。じゃあ「付加保険料」って何でしょう? 保険料がどうやって決められているのか、保険選びに役立つ情報をお届けします。
保険料に含まれている「純保険料」と「付加保険料」
毎月、保険会社に支払っている保険料。この保険料には、目的別に設定された2つの保険料が含まれています。
ひとつは、「純保険料」。契約者への将来の支払いに充てるために用意されているお金で、満期保険金や給付金、死亡保険金などの財源となります。
もうひとつは「付加保険料」。人件費や営業所の経費、広告費など、保険会社が経営を行うために必要な経費になるお金です。
保険料は、保険金の財源を確保するだけではなく、保険会社の経費がまかなえるように、金額が設定されているのです。
下がると「純保険料」が安くなる!「予定死亡率」
では、純保険料はどうやって決められているのでしょうか。
純保険料の計算に使われているのが「予定死亡率」。過去の統計をもとに1年間に亡くなる人数の割合を性別や年齢別に予測した数値です。この予定死亡率をもとにして、契約者全体の保険料で1年間に支払われる保険金がまかなえるように、純保険料は計算されています。
予定死亡率のデータに使われているのは、公益社団法人日本アクチュアリー会の「標準生命表」です。どの会社でも同じデータを利用するので、保険料に大きな差がつくことはありません。ただ、予定死亡率が低い非喫煙で健康体の人、ゴールド免許者など、特定の条件に当てはまると割引が受けられる会社はあります。
高いと「純保険料」が安くなる!「予定利率」
保険会社は集めた保険料を債券や株などで運用していますが、その収益の一部は純保険料を安くするために使われています。保険会社が契約者に対して約束する運用利回りが「予定利率」。予定利率の高い保険は、純保険料を大きく割引してあるのでお得です。
予定利率は、金融庁が出す「標準利率」を目安に設定されていて、景気のいいときは高く、不景気のときは低くなります。2017年は0.25%と史上最低の標準利率で、予定利率も最低水準に。
保険商品ごとに予定利率は設定できますが、どの会社でも資金の運用は投資のプロが行っているので、会社による差はあまりつかないようです。
つまり、純保険料はどこの会社の保険も変わらないといっていいでしょう。
保険料の差は「付加保険料」にあり。各社の「予定事業費率」で決まる
保険業務の経費に充てられるお金が「付加保険料」です。付加保険料は、保険料全体に対する必要経費の割合である「予定事業費率」で算出されて、保険料に組み込まれています。会社や保険商品によって予定事業費率は大きく違うため、保険料に差がつく要因となっています。
インターネット経由で申し込みを受けるネット生保は、人件費や営業所の運営費などがかなり削減できます。予定事業費率を20~30%前後で抑えてあるので、営業所を持ち、募集人による対面販売が基本の大手生命保険会社の保険より、保険料をぐっと安くできるのです。
同じ保障を得るなら、ネット保険の方が保険料が安い傾向にあるようです。ではなぜ、付加保険料の高い対面販売による保険を選ぶ人がいるのでしょう?
対面販売の保険は商品選択などの際に相談ができ、申し込み時に安心できる、保険の種類や特約のバリエーションが多くカスタマイズできる、アフターフォローがいいというメリットで選ばれているようです。
保険料の安さと対面販売の安心感。それぞれの保険のメリット・デメリットをよく知って、自分にあった保険を賢く選んでくださいね。