福岡に転勤する私にオススメの店は?
監修・ライター
この春の異動で、福岡に単身赴任することになりました。博多は食べ物が美味しいと聞いたので楽しみにしているのですが、さすがに毎日外食続きだと家計がキビシそう。そこで弓削さん、家計をあまり圧迫せずに博多らしい味を楽しめる、そんな地元で人気の店を教えてください!
Q1 博多はラーメンの街と思っていたのですが、実はうどんも美味しいと聞きました。おすすめの博多うどんを教えてください。
A1 おっしゃるとおり、実は福岡はうどん発祥の地とも言われており、承天寺には「饂飩蕎麦発祥の地」という碑もあります。最近は手打ち、生麺の店も増えているのですが、福岡のうどんは元来「ゆでおき」が基本でした。製麺所で一度茹でた麺を仕入れ、それを店で1分ほどゆでて出すというものでそのスピーディさも特徴の一つです。
そんななか、ぼくが幼少の頃から今に至るまで食べ続けているのが「因幡うどん」のえび天うどん(480円)です。ここのえび天やごぼう天はかきあげタイプなのですが、その衣が独特で、麺を食べ進めるうちにほろほろとくずれ、スープと一体化していくのです。これを最後にずるずる飲みつくすのが最高に幸せで、ぼくは今までここのうどんのダシを一度たりとも残したことがありません。「因幡うどん」は劇団「大人計画」の松尾スズキさんも大好きで通販で買っていることをいろいろな場で書いていますし、他方面にファンが多いようです。最近は福岡空港にもできましたので、ますます福岡を代表するうどんとして認知されるのではないでしょうか。
とはいえ、近年福岡のうどんも生麺化が進んでおり、最近できる人気店はほとんど手打ちの生麺ですし、福岡を代表する老舗うどん屋の「かろのうろん」も数年前からゆでおきをやめ、生麺に変えています。確かに生麺はおいしいのですが、ちょっとさびしい気がします。
Q2 福岡といえば、ラーメン、魚、もつ鍋というイメージでしたが、前任者に聞くと焼鳥屋をススメられました。福岡の焼鳥は何か違うのでしょうか?
A2 福岡の焼鳥屋はメニューの豊富さといい、敷居の低さといいとても居酒屋的です。福岡の焼鳥屋で皆がまず注文するのは豚バラ。関東や関西の人からはよく「鶏じゃないし!」とよく言われます。他にも牛サガリやベーコンや豚バラでキノコ野菜を巻いたものも定番です。そして多くの焼鳥屋には、串もの以外の居酒屋メニューもいろいろあり、もはや専門店と思えないほどの多彩な品揃えの店もあります。
そんななか、私のオススメの店は春吉の「博多こっこ家」です。若い頃焼鳥といえばあまりの身近さからか、どこでもそこそこおいしく食べられるものという認識だったのですが、ここの焼鳥を食べたとき「このシンプルな料理でこんなに味が違うのか」と驚いたものです。(串1本94~315円)
もう1つ福岡の焼鳥には独特の「とりかわ」もあります。これはどこにでもあるわけではなく、「権兵衛館」「かわ屋」「粋恭」など、それを出している系譜があるのですが、この件については以前このコーナーでも書きましたのでそちらをご覧ください。
Q3 九州のおいしい魚をリーズナブルに食べられる店を教えてください。
A3 魚といえば海鮮居酒屋や寿司店がいいですが、どちらも美味しいところはやはり価格も上がってきます。そのかわり価格だけのことはあり、魚の目利き、調理技術ともに満足できるところが多いです。
とはいえ、やはり日常使いできる店はありがたく、たとえば大濠公園の近くにある「すし処 寿楽」は寿司店ではありながら、刺身、天ぷらなど魚料理が豊富で地元の魚介を存分に楽しむことができます。雰囲気も大衆居酒屋という感じで、仲間でワイワイ飲み食いできる店です(おまかせコース3500円)。
また、薬院の「赤石」も魚と寿司の両方が味わえる店です。店主は長浜の鮮魚市場で働いたこともあり、魚の話をしだすととどまることを知りません。寿司は1貫から注文できますし、豊富な魚介料理はもちろん、野菜や肉料理もあり、誰と行っても満足できますよ(刺身盛り合わせ1人前1200円)。
おおっ! うどんに焼鳥、魚・・・これが博多の味の基本なんですね。毎日の食事はモチロン、一杯飲みに行くにも最適なラインナップがうれしい! 飲みすぎて、家計を圧迫しないように気をつけますね。 美味しいアドバイスありがとうございました。