秋の夜長の読書タイムに。おすすめファンタジー作品3選
日暮れが早くなる秋から冬は温かい飲み物を片手に読書を楽しみたい季節。たまには非日常を味わえるファンタジー作品の世界に浸ってみませんか?毎晩少しずつ読んでも飽きることなく読み進めてしまう、日本の女性作家による極上の作品をピックアアップしてみました。
TVドラマでも話題に!上橋菜穂子「守り人」シリーズ
NHKでのドラマ化が話題の上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズは、まさに日本の女性作家によるファンタジーの決定版。「精霊の守り人」にはじまる、10巻プラス外伝2巻の壮大な物語です。
2人の主人公、女用心棒バルサと「新ヨゴ皇国」第二皇子チャグムの出会いからはじまる大河的な作品で、根強いファンも多く、もともとは児童文学ながら広い世代に長く愛されています。さまざまな言語に翻訳出版されており、海外でも多くの国で親しまれています。
作者の上橋菜穂子さんは、オーストラリアの先住民族「アボリジニ」の研究が専門の文化人類学者でもあり、物語に登場する架空の国や文化の圧倒的なリアリティも楽しめるポイントのひとつ。10巻と外伝2巻を順番にじっくりと読み進めることをおすすめします。
恩田陸「常野物語」シリーズは異なるテイストが楽しめる三部作
恩田陸さんの「常野物語」シリーズは、「光の帝国」「蒲公英草紙」「エンド・ゲーム」の三部で構成された作品で、不思議な力を持つ一族の姿が描かれています。三部作ですが、短編集スタイルなのでどこから読んでも楽しめつつ、すべてを読むとつながる部分もある、という作品です。
「常野」の全体像を知ることができる「光の帝国」、優しく時に悲しい物語が紡がれる「蒲公英草紙」、スリルあふれる「エンド・ゲーム」と、シリーズながらそれぞれテイストが異なるのも特徴的。恩田陸さんお得意の時空を超えたお話もしばしば登場します。
恩田陸さんの作品には、他にも秋の夜長にピッタリの本がたくさん。歴史的な出来事と並行して物語が進む時空を超えたラブストーリー「ライオンハート」や、福岡県柳川市がモデルとなっているSFホラーテイストな「月の裏側」、架空の遺跡を舞台にした少年の冒険ファンタジー「上と外」などもおすすめです。
光の帝国 常野物語 恩田睦著(文庫本)
535円
ミステリー作家が織りなすファンタジックな世界。辻村深月「ツナグ」
辻村深月さんの「ツナグ」は映画化された人気作品のひとつ。第32回吉川英治文学新人賞を受賞した作品でもあります。死者との一度だけの再会を叶える「使者(ツナグ)」。ツナグが仲介するさまざまな関係性の死者と残された者との短編形式の物語です。
突然死したアイドルを心の支えにしていたOL、年老いた母親に癌告知することができなかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苦しむ女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける男性。それぞれの想いが交錯する瞬間、感動が読み手を包み込みます。
1980年生まれと若い女性作家である辻村深月さんの作品は、現代的でとても読みやすく、普段あまり読書をしていない人でも馴染みやすいものが多いのが特徴。ミステリー作家のイメージが強いですが、ドラえもんの大ファンという世界観が織りなすファンタジックな作品も魅力的です。
秋の夜長は、ファンタジーな世界に浸る読書がピッタリ。日本の女性作家の作品には面白い本がまだまだたくさんあります。お気に入りの一冊を探すのも楽しみのひとつになりそうですね。