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【結婚・出産前に】仕事を続けるか辞めるかでマネープランはどう変わる?

そなえる 白浜 仁子

【結婚・出産前に】仕事を続けるか辞めるかでマネープランはどう変わる?

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結婚シーズン到来。幸せそうなカップルを前にすると、「ステキな家庭を築いて欲しい!」と親のような思いが湧いてきます。結婚を控えた女性の多くは、今後の仕事や家族計画について希望と不安を抱きながら自分にとっての最善は何かを考えるかと思います。(実際に、そんなライフプラン相談をいただくことは少なくありません。)

そこで、この話を・・。

「保育園落ちた 日本死ね」

保育所へ行く親子
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ご存知のこの言葉、育休明けの職場復帰を控える中で保育園の入園が叶わず仕事を辞めざるを得ないという社会に対する悲痛な叫びがつづられたママブログ。国会でも取り上げられ、2016年流行語大賞にもノミネートされるなどインパクトの強いものでした。

実は、この話には続きがあります。ママの叫びや共感する人達が大きな山を動かし社会に変化をもたらしているのです。そのひとつが、この秋(2017年10月)から改正になる育児休業休暇いわゆる「育休」の延長決定。保育園が見つからなかった場合は、これまでより半年延長され、子どもが2歳になるまでは育休を取れるようになります。この半年の違いは、とても大きなものです。

そこで今回は、育休を含め出産前後に受けられる社会保障について見ていきましょう。

継続? 退職? マネープランはどれくらい変わる?

給付一覧
作成:フェアリンク

会社勤めをしていることで受けられる出産前後の社会保障からの給付は、以下の3つ。

(1)出産育児一時金(家族出産育児一時金)・・一児につき42万円
(2)出産手当金・・産前42日、産後56日は、欠勤1日につき日給の2/3(給与が支給される場合は、合計して2/3)
(3)育児休業基本給付金(育休時の給付)・・1歳に満たない子を養育するために取得する休暇。日給の2/3程度(最初の半年は日給の1/2)。

(1)の出産育児一時金は、退職して旦那さんの扶養に入ったとしても受けられますが、(2)出産手当金と(3)育児休業基本給付金は、女性自身が働き続ける(自身で社会保障制度に加入する)ことによって受けられる給付制度。大雑把な計算ですが、例えば、月給(支給総額)18万円の場合は、出産~育休までの間で約200万円弱の恩恵が受けられます。

また、冒頭で触れたように育休時の給付は、この秋(2017年10月)から改正され、保育園が見つからなかった場合は最長2歳まで給付が延長され、当然にその間も給付を受けられます。

一方、退職した場合は(1)の一時金の42万円のみ。

これだけでもマネープランが大きく違ってくることが分かります。

赤ちゃん
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さらに社会保険料(約30万円)が全額免除に!?

さらに、その間に支払わねばならない社会保険料の支払いは全額免除されます。上記のように月給18万円のケースでは30万円くらい(※)の負担が軽減。しかも、これまで通り払っているものと見なされるため、老後にもらえる年金にも反映され、その他の社会保障の給付を受ける場合も同水準の恩恵が受けられます。

退職後にサラリーマンの夫の扶養に入ると健康保険や国民年金などの負担はありませんが将来の年金額は限定的となり、さらに夫が自営業の場合は、妻自身の国民健康保険や国民年金保険を払う必要が出てくるためその差は歴然です。

私が出産した20年ほど前は、寿退社が当たり前で、育休の制度はあってもそもそもが利用しにくいムードでした。それが今や、育休を取るのは当たり前。今回の改正も含め社会は少しずつ変化しているのです。上手く社会のしくみを活用し、ライフプランを充実させることを検討したいものです。

(※)賞与を除いた概算


幸福度はお金の有無や損得だけで計れるものではありませんが、生きがいや先々のマネープランを考える上でも女性の働き方は、大きな変化をもたらします。

結婚シーズンのこの時期、未来豊かなカップルを応援しています。参考になれば幸いです。


(参考)育児休業の改正について
http://yamaguchi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0111/1616/2017418112931.pdf