第十三話「値上がり理由を知って掴む!!」
監修・ライター
その日は急に来ます。そう・・・突然の、爆上がり。
「な、なんで!?」
慌てている間にも、上がっていく株価。
前日まで閑散としていた板(売り注文買い注文の数が掲示された表)が、みるみるうちに膨らんで、値動きが激しくなっています。
買い注文がドバッと入り、そこに群がるように入る売り注文。捕食されるかのように数字が削られていく様は、目が離せなくなります。
5万円弱で買った某有名企業の株は、この一ヵ月、上がったり下がったりを繰り返しながら、じわじわと上げてきていました。
そろそろかな、もうちょっと欲しいな、と思いつつ、毎日株価を眺めておりまして。
昨日、購入時より+42円、評価損益+4,000円台になったところで、さすがにそろそろ、と思っていたところ。
この1日で、いや1時間ほどで、株価はついに購入時より+101円、前日比+59円、評価損益が+10,000円を超え。
「ついに来た・・・!」
頬が紅潮するのが自分でもわかりました。
その瞬間。売り注文が、信じられない数入りました。
停滞する板。
「・・・みんなが、気づいた!?」
このままだと、売り注文の方が多くなってしまい、また株価が下がってしまう・・・?
「う、う、う、売らなきゃ!!」
急いで、売り注文のボタンをクリック。
初めての操作に戸惑います。
「指値? 成行? え~い、成行で!!」
暗証番号を打ち込む手が震えます。ぽちぽちぽちぽち、クリック!
利確。
一ヵ月間で、5万円は6万円になりました。
「す、すごい・・・! 20%増!!!」
預金でこんなにお金を増やすことなんて到底無理、投資信託だって。
株取引への手応えを感じていました。
しかし、はた、と気づきます。
この一ヵ月、ちょこちょこ相場を覗いていたこともあり、仕事があまり進まず、締め切り間際に泣くこと数回。
その時間を考えると、+1万円というは・・・どうなのか?
加えて。
その後もその銘柄をチェックすると、株価はとどまるところを知らず、ぐんぐん上がり。
900円台と、四桁に手が届きそうなほどに。
「今売ってたら、+5万円・・・!?」
皮算用ばかりして、ため息が止まりません。
後から知ったのですが、今回の爆上がりの理由は、「かなりいいニュースが出たから」。
株価が上がるいいニュースの例としては
・いい決算が発表された
・テレビなどメディアで取り上げられた
・業績に関係するようなニュースが出た(他企業との連携、売れそうな新商品の発表)
・証券会社の評価や目標株価が上がった
などがあります。
ニュース第一報でググンと上がり、その後「値上がり」自体がニュースとなってまた注目を浴び、元々の価格の安さもあって、どんどん値上がりしたのでした。
「これを知っていたら、もう少し様子を見られたのかな・・・?」
なんて思いはしますが、とにもかくにも、初めての株売買、終了。
プラスになってよかった、とホッとしつつも。
この初売買は、初めての恋人のように、その後の私のおつきあい(株取引)に、影を落とすのでした。