村上春樹を「お金」から読んでみた!!!
監修・ライター
ちょっと恥ずかしいお話をする。ワタシの高校生の時の将来の夢は、なんと小説家だった。印税収入でバカスカ儲けてやるという下衆な未来を描いていた。そのきっかけとなったのが、何を隠そう村上春樹の処女作「風の歌を聴け」である。今やしがない戦略プランナーであるワタシ(中村修治)は、そろそろ村上春樹という作家との関係を、この場を借りて総括させていただく。
1987年初版の「ノルウェイの森」は、上下巻合わせて1000万部を売ったと言われている。単行本は、1冊1200円。その10%が印税であるからして、、、12億円の収入である。最新作『騎士団長殺し』は、2巻合わせて130万部以上が発行されたと言われている。1冊の価格は、1687円である。単純計算しても2億円近い印税収入があったはずである。
デビューは、1979年「風の歌を聴け」。ほぼ40年にわたってヒット作を生んでいる。それを支えるのが「ハルキスト」と呼ばれる熱狂的ファンである。新刊の発売日には、書店に行列までして購入するというニュースを賑わす人たちである。こういうファンに支えられているため、村上春樹の新刊書籍は、マーケティングコストを多額にかけることなくベストセラーとなる。いまや斜陽と呼ばれる出版界の救世主である。そんな立場であるため、通常は売上げ額の10%と言われている印税率も優遇されていると言われ、村上春樹の生涯印税学は、100億円を超えているのではないかとウワサされてもいる。
新刊を出すたびに数10億円のマーケットを動かし、その10%以上の利益を確実に残す。これは、もう立派なビジネスである。読者=優良顧客とのリレーションマーケティングがシッカリと働いた仕組みがある。マーケティングコストゼロでモノを売るというビジネスモデルの好例である。出版社とメディアがグルになって乗ってくるのも理解できる。
そうなのだ!!!そこなのである!!!ワタシは、凄いハルキストだった。1989年発表の「ダンスダンスダンス」までは、・・・。小説家の夢が破れて、プランナーという職に就いた途端に、村上春樹をマーケティングビジネスという視点でしか読めなくなった。結婚したのも、ちょうどその頃だ。村上春樹作品の主人公たちが醸し出すオシャンティーな孤独がどうも苦手になった。リアリティのない孤独に自分を重ね合わせることがなくなった。
「現実」の「お金」で、「現金」である。
みんなが一様に、現金な毎日を送っている。
ほんのささいな日常は、今日も、目の前にある。
そんなに丁寧に生きてられないや!!!
やれやれ。
mymoの読者のどれくらいがハルキストなのだろう!?