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「返済できない場合どうなる?」住宅ローンで保証人が不要の理由

ためる 権藤 知弘

「返済できない場合どうなる?」住宅ローンで保証人が不要の理由

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皆さんは「保証人」という言葉を聞いたことがありますか?
以前は住宅ローンなどを借りる時は保証人が必須でした。現在の住宅ローンでは保証人が不要なケースが大部分を占めるようになりましたが、親子ローンや夫婦ペアローンなど、まだ保証人を要するローンもあります。今回は、なぜ住宅ローンの大部分で保証人が不要になっているのか、また、保証人が必要なケースとはどういうものかを解説していきます。

1.債務者、連帯債務者、保証人、連帯保証人の違いは?

契約する
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住宅ローンを借りる際には、いろいろな専門用語が出てきます。まず、一番に出てくる言葉は「債務者」という言葉です。簡単に言うと住宅ローンを契約し、返済していく人のことです。似たような言葉で「連帯債務者」という言葉があります。これは長期固定金利の住宅ローンである「フラット35」の借り入れをする時などに使われる契約形態で、連帯債務は複数の債務者が債権者(金融機関等)に対し、同一内容の債権(住宅ローン)を一緒に返済することをさします。それぞれが独立して返済する義務を負います。

さて「保証人」ですが、住宅ローンを借りる上で、どんな役割をする人なのでしょう?
簡単に表すと「債務者(住宅ローンを借りた人)が返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負う人」が保証人です。保証人は何らかの理由で契約通りに債務者が返済をできなくなった場合に肩代わりをする必要があり、重い責任があります。保証人よりもさらに責任が重いのが「連帯保証人」で、金融機関から請求された場合、保証人は債務者へ請求することを主張できますが、連帯保証人は債務者の支払い能力にかかわらず返済をしなくてはなりません。

よって、金融機関は「貸し出ししている資金を回収しやすい=貸し倒れを防ぐ」という観点から、金融機関は住宅ローンに保証人ではなく、より責任の重い連帯保証人をつけることがほとんどでした。

2.住宅ローンで保証人や連帯保証人が不要な理由

高齢化や核家族化が進むなど、社会情勢の変化に伴い、親族に住宅ローンの保証人を頼むことが難しくなってきたことや、保証人や連帯保証人になる人への審査の結果で住宅ローンの契約ができないことが出てきたことで、銀行などが住宅ローンの契約時に保証会社を使うことが前提になってきました。そのため以前は保証人が必須な住宅ローンでしたが、現在では保証人や連帯保証人が原則として不要になっています。

このことにより、借入金額や返済期間に応じて必要な「保証料」という費用を保証会社に支払うことで、保証会社が以前の保証人の代わりとなり、保証人を準備しなくても住宅ローンの契約ができるようになりました。誤解があるといけませんが、「返済不能になったら保証会社が肩代わりをしてくれるので、残りの住宅ローンを支払わなくてもいい」ということではなく、返済先が金融機関から保証会社になるだけです。

3.住宅ローンで保証人が必要になる場合の条件とは

保証会社を活用することで保証人が不要であると書きましたが、実際のところ借り入れに際して保証人が必要なケースがいくつかあります。

3-1. 収入を合算して住宅購入する場合(連帯保証)

2人の収入を合算し、ローンを借りる「収入合算」の場合です。合算することによって1人だけで借り入れるよりも収入が多い計算となり、「1人分でだけでは収入が足りなかった額を借り入れできる」という点が大きなメリットです。住宅ローンの借入可能額を高めることにより希望の物件が購入しやすくなります。この場合は主債務者以外が連帯保証人にならなくてはいけません。

3-2. ペアローンや親子リレーローン(フラット35・連帯債務)を利用する場合

収入合算と似た方法で「ペアローン」があります。ペアローンは夫婦やフラット35などペアでローンを借り入れる方法です。収入合算との違いはローンを1人が借りるか、2人が借りるかという点です。例えば土地・建物で合計4000万円のローンを夫3000万、妻1000万円というように各々でローンの契約を結びます。このようにペアローンでは、ローン借り入れによって購入した住宅の所有権が、それぞれの借入金額の比率で決まります。ペアローンや親子リレーローンの場合、お互いがパートナーの連帯保証人になります。

3-3.親名義の土地に住宅を建てる場合

親名義の土地に家を建てる際は、持ち主である親御さんに連帯保証人になることを金融機関は求めてきます。自分の土地を提供することで、実子もしくは義理の子供のローンに関する全責任を肩代わりするということ同じ意味になります。また、この場合は贈与や相続などの問題が発生することが多いので、このことも考えておく必要があります。

3-4. 共同名義の土地や物件の場合

土地や建物など1つの不動産に対して所有者が複数人いることを「共同名義」といいます。この場合も連帯保証人が必要になります。

4.連帯保証人を立てた場合に起こり得るリスク

夫婦
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連帯保証人を立てることにより住宅ローンが組みやすくなりますが、一方でリスクも伴います。ここではどんなリスクがあるのか見ていきましょう。

4-1. 主債務者が死亡した場合

住宅ローンの主たる債務者が死亡した場合でも、保証人の支払い義務は消えません。実際は住宅ローンを組むときに、主たる債務者が団体信用生命保険に加入していることが大部分ですので、主債務者が亡くなったとしても、死亡時のローン残高は保険金によって充当されますので問題ありません。

問題になるケースはフラット35を利用し、団体信用生命保険に未加入の場合です。その際は保証人にローン残高の支払いが引き継がれます。従って団体信用生命保険に未加入であったとしても、主債務者は、その代わりになるような生命保険に加入しておくべきでしょう。

4-2. 連帯債務者が死亡した場合

連帯債務という形式で住宅ローンを組んでいるときに連帯債務者が死亡した場合、団体信用生命は主債務者のみに適応されるため、住宅ローンの支払いは免除されません。つまり残りの住宅ローンの返済を1人で負担しなければなりません。このリスクに備えるには、フラット35であれば「デュエット」という連帯債務者の死亡もカバーする団体信用生命保険に加入しておくか、一般の生命保険を活用することが必要です。

4-3. 離婚をした場合

住宅ローンの契約は、住宅ローンを借り入れた夫婦が離婚する時でも、その事情が自動的に反映される仕組みにはなっていません。ということは夫婦の一方が債務者であり、他方が連帯保証人である住宅ローン契約上の関係は、離婚の後にも変わらずに継続されることになります。

つまり、離婚をしても住宅ローンの返済義務が続くということになります。このリスクを避けるため、保証人が不要な金融機関で借り換えをしたり、離婚時に不動産を売却したりするケースが増えているようです。

4-4. 連帯保証人が死亡した場合、連帯保証人が自己破産した場合

住宅ローンの連帯保証人が自己破産をはじめ債務整理などを行った場合は、連帯保証人が担保提供者である場合を除き、約定通りに住宅ローンの返済をしている限りは特に問題はありません。現在の住宅ローンに対して、一括での繰り上げ返済を求められることもありません。

なお、連帯保証人が死亡すると、その相続人に連帯保証人としての役割も相続されることになります。そのため親から土地を借りて自宅を建てているケースでは、相続時に親族間でトラブルになる可能性がありますので要注意です。

まとめ

これまで住宅ローンの契約には保証人が必要であり、親に保証人になってもらうということが当たり前でした。しかし時代や社会情勢の変化に伴い、保証会社を使うことで保証人が不要な住宅ローンが大部分を占めるようになりました。また一部の金融機関では保証会社を使わないところも出ています。(この場合は事務手数料が高めに設定され、実質的に保証会社を使うことと同じになっています)

ただ、不動産価格の高騰により、収入合算やペアローンなどを利用するケースも増えています。その場合は保証人を立てる必要があります。

住宅は非常に大きな買い物です。ですので、保証人が必要か否かの前に、自分のライフプランの中で住宅費に充てる金額が妥当であるかどうかを考えることが一番大事なことです。住居費だけではなく、教育費や老後資金も含め、今後のライフプランでどれぐらいの金額が自分にとって適正なのかを考えましょう。そうすると、自ずと総予算や毎月の住宅ローンの返済額が導かれてくると思います。

繰り返しになりますが、今では住宅ローンの借り入れは、保証会社の活用などにより保証人なしでも行えます。しかし、保証人がいたほうが、ペアローンや連帯債務などで借入額や金利の面で有利になる場合があります。ただ、そのことでローンを借りすぎ=必要以上に予算規模が大きくなり、本来不必要であったはずの利息まで払わなければいけないということもありえます。一生に一度のお買い物ですので、落ち着いて判断してくださいね。
 

<Q&A>

Q. 住宅ローンって契約社員は審査に通りにくい?
住宅ローンの申し込みの際に雇用形態が重視されることは事実です。勤続年数や借入額、収入に占める住宅ローンの返済額の比率などが審査の際に重要視されます。頭金をできるだけ多く準備して借入金額を少なくする、夫婦でペアローンを活用するなどの方法が必要でしょう。

Q. 住宅ローンの仮審査、事前審査ってどう違うの?
事前審査は本人の年収や職業など大まかな情報を元に「およそ〇〇万円まではローンが組めそうですね」という大きな枠組みでの審査をいいます。仮審査は購入対象物件が決まり金額がほぼ確定している状態で、申込者の年収や職業だけではなく、申込者の信用情報(これまでの借入履歴や返済履歴、返済事故を起こしてないか等の情報)も審査の対象になり、この仮審査をパスすれば本審査(本申込み)は概ね大丈夫なケースが多いようです。