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ネット購入はクーリングオフできない⁉適用される範囲や手続きを解説

そなえる 権藤 知弘

ネット購入はクーリングオフできない⁉適用される範囲や手続きを解説

【画像出典元】「stock.adobe.com/Paolese」

皆さん、買い物は好きですか?店頭だけではなく、インターネットのオークションサイトやフリマアプリなどでも買い物ができるようになって便利な世の中になりました。一方で増えているのが売買のトラブルです。今回は商品やサービスを契約した後に、申し込みの撤回ができるクーリングオフという制度について説明していきます。ネットやフリマアプリには適用されるのか、そしてどんな手続きをするのか、ぜひ参考にしてください。

【1】クーリングオフとはどういう制度?

クーリングオフは、契約の申し込み・契約の締結をしたあとでも、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる「契約の取り消しができる制度」です。

【2】クーリングオフが適用される契約や購入の範囲や期間は?

消費者保護のためのクーリングオフ制度ですが、全ての取引でできるわけではなく、適応される契約や取引が定められています。
クーリングオフが適応される取引と適応期間は下記のようになっています。

    訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールス等を含む):8日間
    電話勧誘販売:8日間
    連鎖販売取引:20日間
    特定継続的役務提供(エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス):8日間
    業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法等):20日間
    訪問購入(業者が消費者の自宅等を訪ねて、商品の買い取りを行うもの):8日間

どうでしょうか?耳にしたことがない言葉もあるのではないでしょうか。簡単にいうと「消費者が契約内容を判断するのによく考えることが難しい要素がある」取引について、クーリングオフができるということになります。

また基本的には、上記に該当しない形での商品やサービスの取引では、クーリングオフの適用は認められません。つまり、お店に行って商品を買うような、一般的な買い物では、「購入する消費者側に、考える時間の猶予が十分ある=クーリングオフは使えない」ということになります。
またクーリングオフが適応できる期間は契約初日を含め、8日間や20日間など、期限があります。

【3】ネットショッピングはクーリングオフができる?

ネットショッピングする女性
【画像出典元】「stock.adobe.com/Kalim」

一言でいうとできません。基本的に、インターネット上での取引にクーリングオフは適用できず、返品が認められている場合だけ、購入後の代金返却が認められています。これは、ネットショッピングやフリマアプリは、他人からの強制ではなく、自らの意思でオークションサイト・フリマアプリにアクセスして商品を吟味・購入というステップを踏んでいることが関係しています。

【4】クーリングオフは「特定記録郵便」または「簡易書留」など必ず書面で

難しそうなイメージがあるクーリングオフですが、使うのははがきだけでOKです。ただし大事なポイントがあります。

1.手続き方法

    クーリングオフはメールではなく、必ず書面で行う
    クーリングオフができる期間内に通知 (8日間もしくは20日間)
    クレジット契約をしている場合は、販売会社とクレジット会社に同時に通知
    はがきの両面をコピーし、手元に保管しておく
    必ず「特定記録郵便」または「簡易書留」など、発信の記録が残る方法で送付する

2.はがきに書く内容

販売会社宛のはがきには下記のように記入してください。

 

クレジット会社宛には下記のように記入してください。

 

画像:国民生活センターより(http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html

【5】業者に応じてもらえない場合は消費生活センターへ相談を

ポストに投函される郵便物
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クーリングオフ制度があってもお金が戻ってこないケースがあります。それを避けるためには下記の点に注意してください。

(1)クーリングオフできる期限内に行う
期限を越えると対応してくれません

(2)クーリングオフ通知書面のコピーと郵便の控えの保管を忘れずに
販売業者との水掛け諭を避けるために重要です。

(3)返却したい商品がある場合は基本は未開封で。箱に破損や傷がないか、付属品の紛失にも注意
商品が破損していたり、消費していたりすると対応が難しくなります

(4)クーリングオフに応じてくれない
正当なクーリングオフの要求に対し、販売業者が消費者に対して妨害すること・契約解除に応じないことは違法です。分からないことがあれば消費生活センターへの相談をおすすめします。

【6】クーリングオフについてまとめ

クーリングオフの制度を解説してきましたがいかがでしたか?思ったよりも簡単だったと思います。ただし繰り返しになりますが、インターネット通販やオークションサイトでの買い物にはクーリングオフは適応されず、返品規定がある場合のみ返品ができるようになっていることは忘れないでください。

また、近年では模造品を販売したり、購入手続きをしたけど品物が送られてこなかったりというトラブルも頻発しています。便利な世の中ですが、買い物をする側も値段につられず慎重に確認していくことが必要です。