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TikTokは消えるのか?“米国内で禁止”一般ユーザーへの影響は

経済とお金のはなし 伊藤 寛

TikTokは消えるのか?“米国内で禁止”一般ユーザーへの影響は

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目次

若年層を中心に普及してきた動画投稿アプリ「TikTok」が窮地に立たされている。先月に入ってアメリカのトランプ大統領は「TikTok排除」への動きを本格化。日本国内の企業、自治体でも「TikTok離れ」が起き始めている。米中関係悪化のあおりを受けたTikTokの現状と、日本の一般ユーザーへの影響を掘り下げる。

きっかけはトランプ大統領の「命令」

アメリカと中国のチェス
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まずはこれまでの出来事を振り返っておきたい。中国発のSNSで、世界ナンバーワン規模のユーザー数を誇るTikTokにアメリカ・トランプ大統領が鉄槌を下した。8月6日、トランプ大統領は安全保障上問題があるとして、米国内のユーザーにTikTokの利用を事実上禁じる大統領令に署名。TikTokを運営する中国・バイトダンス社に期限付きで、米国法人を売却せよと命じた。背景にはし烈さを増す米中関係の悪化が関係しているとみられるが、TikTokがユーザーの情報を断りなく集めていたとの説もある。

TikTokは米国内の各企業に対して、米国法人を身売りする交渉を展開したと報じられている。しかし結局話はまとまらなかった模様だ。8月22日になって、TikTokは米政府を訴訟することに決めたとの報道があり、米とTikTokの溝は埋まっていない。

日本でもTikTokを避ける動きが

TikTokの活用は個人のみならず世界中の機関、企業に広がっていて、TikTokクリエイターに依頼してPR投稿する動きが目立っていた。

日本の自治体や官公庁もTikTokを用いたPR、啓発に努めていたが、8月に入ってから米の動きに反応し、自民党内でも制限すべきか議論がスタート。8月5日には大阪府が連携の一時停止を発表した。各自治体がTikTokの活用を見合わせる動きを見せている。米のTikTok排除の動きは日本にも影響を及ぼしていた。

TikTokerへの広告収入に影響が出るかも

自撮りする女性
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日本のTikTok一般ユーザーに与える影響は限定的とみられるが、TokTokで広告収入を得ようと考えている人にとっては何かしら影響があるのではないか。少なくとも確実にダメージを負っている層はありそうだ。いわゆるTikTokerだ。

TikTok本体は報酬システムを取り入れていないのだが、企業とのタイアップ投稿で大きな収入を得る人物はいた。5000万人超のフォロワーを抱え、年間で億単位の収入を得る米女性もいる。

日本国内でも1000万人超のユーザーを抱えるTikTokerが存在するほか、TikTokerに特化したプロダクションも存在する。TikTok人気にあやかったビジネスが興りつつあったが、TikTokで稼げないとなれば風向きは変わるかもしれない。

Facebook、Snapchatは既にパクっている!?

スマホでSNSを見る女性
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TikTokのライバル企業の動きも活発だ。Instagramを傘下に収めるFacebookは8月に「Reels」を開発した。15秒間までの動画を音楽付きでアップするもので、事実上「TikTokをパクった」ともいえるサービス。日本にも投入している。他にもSnapchatが同様の機能を投入する予定。SNS各社は類似したサービスを投入、開発し、TikTokから離脱するかもしれないユーザーの取り込みに躍起だ。

結果的にTikTokの代替サービスにユーザーが流れ込み、TikTokの存在感が薄れる可能性が出てきた。

TikTokはまだ使える。忘れられる可能性はあるが…

では、私たちユーザーはどうなるのか。TikTokがユーザーに無断で情報収集していたという説が本当ならば問題だが、現在まで断定できる証拠はない。いずれにせよ他のSNSと同様、情報漏えいの危険性はゼロとはいえないため、情報漏れのリスクは常に考えておきたい。

かつて13年から16年にかけ、動画共有サービス「Vine」が一世を風靡したが、開発したTwitterが手放してサービスを終了した経緯があった。現在、Vine開発者は新サービス「Byte」をリリースして打倒TikTokを目指している。TikTokもVineと似たような経緯をたどる可能性もあり得る。一般ユーザーが今すぐTikTokを使えなくなることはないだろう。気付かぬ間に他のサービスに移り、TikTokを忘れることはあり得るとしても。

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