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身近な「現預金」について、どれくらい知っていますか?

お金をとことん増やしたい人のための「資産運用」超入門 泉 正人

身近な「現預金」について、どれくらい知っていますか?

そろそろ資産運用を始めてみたいと思っているみなさん。ようこそ、泉先生の「資産運用 超入門」講座へ。

この講座は、「お金をとことん増やしたい!」と考えてはいるものの、「まだ何もはじめていない」、「何からはじめていいかわからない……」という人に、自分に合った資産運用法を見つけ、実際に行動に移せる力を身につけてもらう講座です。

資産運用の方法をマスターできれば、夢や目標をかなえたり、老後にゆとりを持って暮らしたりするための資産を自分でつくることができるように。さぁ、心もお金も豊かに、自分らしいライフスタイルを楽しめる人生をここから手に入れましょう!

そもそも、「現預金」とは?

今日は、「現預金」について学んでみよう。

「現預金」と言えば、現金とか、普通預金や定期預金のことですよね。

そうそう。ちなみに僕たちはお金を銀行に預けることで、「利子」という利益を得ているけれど、2021年現在、日本は過去に類を見ないほどの低金利。メガバンクの1年ものの定期預金だと、なんと金利は0.002%。ネット銀行には多少ばらつきがあるものの、それでも0.01%程度なんだよ。

仮に金利0.002%だとしたら、定期預金で100万円を預けても、1年後に20円しか増えないということですよね…。

しかも、この利子に対しても約20%の税金が発生するからね。

はぁ~。もうなんだかため息しか出ませんよ。

ちなみに、各個人の金融資産の内訳は、日本と海外とで大きく異なるって知っているかな? 日本の現預金の比率が5割超なのに対し、米国は1割強、欧州が3割強となっているんだ。

思ったより差がありますね。でも確かに海外の人はバリバリ投資しているイメージですし、日本人はまだまだ安定志向というか、リスクをとりたくないって人が多いイメージがありますもんね。

これも、あれも、「現預金」!

ちなみに普通預金や定期預金以外の現預金にはどんなものがあるか知っているかな?

えっ!? そう言われてみると…現預金、現預金、う~ん…。

たとえば「財形貯蓄(制度)」。これは、会社が毎月の給与から一定額を天引きして金融機関に送金を行うという、会社を通して貯蓄を行う制度だよ。

僕も会社に入社した時からやっています! 

Kくんの勤め先はこの制度を導入しているんだね。なお、財形貯蓄には、貯蓄の目的に応じて「一般財形貯蓄」、「財形住宅貯蓄」、「財形年金貯蓄」の3つの種類があって、通常の銀行預金であればその利子は課税対象となるけれど、財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄は一定額の元本にかかる利子が非課税となる。積極的な資産運用ではないけれど、貯蓄が苦手な人や、この制度を利用して融資を受けたい人にはおすすめの方法だよ。

僕みたいに、給与が入ったらあるだけ使ってしまいそうな人にはまさにぴったりの制度です!

そうだね(笑)。そして「貯蓄型保険」も「預貯金」のひとつ。これは万が一のときに備えながら、将来のための貯蓄ができる保険のことをいうんだ。

亡くなったときに保険金を受け取れる、というやつですか? 

それもできるし、満期時や解約時に満期保険金・解約返戻金としてお金を受け取れるという貯蓄の側面も持っているよ。満期時に掛け金とまったく同じ金額が受け取れる商品だけでなく、外貨建てなど、資産運用性がある商品もあるから貯蓄型保険で資産運用を行う人もいる。代表例としては、終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などが挙げられるよ。

資産運用にも使えるんですね。それは知らなかった。

それから「外貨預金」。これは日本円ではなく、例えばドルやユーロといった外国の通貨で預金することなんだけど、預ける通貨が違うだけで、基本的な仕組みは円預金とほぼ同じなんだ。一般的には、外国の通貨のほうが、日本円よりも金利が高い傾向があるので、多くの金利(利息)をもらうことができる。ただし、円を外貨に替えるときの為替手数料がかかったり、つねに為替レートが動いているので、預金といっても元本割れのリスクがあるので注意しよう。

覚えておきます!

あとは次の回でも詳しく話していくけれど、「FX」(外国為替証拠金取引)も「現預金」の一種。けれども、基本的にこれは「外貨預金」ではなく、「外貨両替の延長」ととらえよう。

わ、また頭が混乱しそうなワードが出てきました。

「外国為替」とは、二国間の通貨を交換すること。「外国為替の証拠金取引(FX)」とは二国間の通貨を、証拠金を預けて取引(交換)すること。証拠金については商品(コモディティ)の回で勉強したよね。「商品先物取引」と同様に、少ないお金で大きな取引を行うことができるんだ。

「外国為替」と言えば、ニュースなどで毎日、「今日は1ドル○円」と取り上げられていますよね。

うん。そうした外国(外貨)為替の交換比率を「為替相場」「為替レート」と呼ぶんだ。そうそう、例えば僕らが日本からアメリカに旅行するとき、円をドルに交換するよね。これは、円でドルを買うことを意味する。逆に、ドルを円に換える場合は、ドルで円を買うことになるわけだ。

ただ単に「交換」しているだけと思っていたんですが、実は「売買」していたんですね。

ちなみに外国為替の取引は外国為替市場で行われて、銀行どうしがやり取りする「インターバンク市場」、銀行が個人や会社とやり取りする「対顧客市場」がある。これらはまとめて「外国為替市場」と呼ばれているよ。

「円安」「円高」、どっちがどっち?

時々混乱するんですよね。「円安」、「円高」。

通貨自体の交換比率は日々変化していて、これはつまり、取引するタイミングによっては、損をしたり得をしたりする場合があるということなので、ここでしっかりと覚えておこう。1ドル100円が1ドル120円になった場合は、日本から見れば、円安の状態(円の価値がドルに比べて安い)。逆に、1ドル80円になったら、円高の状態(円の価値がドルに比べて高い)。円高のときにドル(の商品)を買って、円安になったときにそれを売れば、その差が利益になるよ。

円の数字が大きくなれば「円安」、小さくなれば「円高」、ですね。

さてFXについてここまでは、これまで解説したほかの金融商品の資産運用と同様に、「価格変動の差益を狙う」という話だったけれど、FXによる資産運用によって利益を出す仕組みには、もう1つの特徴があるんだ。

なんでしょう?? 見当がつかないです。

それは、二国間の金利差(スワップポイント)を利用するというもの。たとえば、低金利の日本円を売って、日本円より高金利のドルを買うことで、そのスワップポイントを受け取るということだよ。スワップポイントは日々計算されていて、1日単位で受け取ることができる。取引量を多くすると、大きな利益を受け取ることも可能になる。ただし、高金利通貨を売って、低金利通貨を買った場合は、逆にスワップポイントを支払うことになるので注意が必要だよ。

むむむ…ちょっと頭が混乱してきました。

ごめんごめん。急にいろんなことを話しすぎちゃったかな。「FX」については、次の講座でより詳しく説明していくので、ぜひ楽しみにしておいてね。

はい!

まとめ

「現預金」とは、現金や普通預金、定期預金などのこと。他に「財形貯蓄(制度)」、「貯蓄型保険」、「外貨預金」と行ったものが該当します。

また「FX」(外国為替証拠金取引)もそのひとつ。これは二国間の通貨を、証拠金を預けて取引(交換)しながら利益を得ていくものです。

詳しくは、次回の講座で紹介していきますが、「FX」は、私たちが海外旅行先で行う「外貨両替の延長」というものとしてとらえておくとわかりやすいでしょう。

次回は、「FX」について詳しく学んでいきます。お楽しみに!