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結婚のメリットデメリットをお金の面から考えてみた【FP解説】

ためる 内山 貴博

結婚のメリットデメリットをお金の面から考えてみた【FP解説】

【画像出典元】「stock.adobe.com/Syda Productions」

男性30.7歳。女性29.1歳。これは国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」による平均初婚年齢です。(2015年調査。次回調査は2021年)

1992年時点では男性は28.3歳、女性は25.7歳であったため、男女共に2~3歳程度上昇していることになります。低い経済成長率が長く続いており、実質賃金も上昇しない中、高齢化の加速による税金、社会保険料の負担増など、結婚し、子供をもうけることに躊躇する要因が多いことが「晩婚化」につながっているようです。加えて、そもそも結婚をしない、望まない人も増えています。以下は年齢階級別の未婚率推移です。

〈年齢階級別未婚率の推移〉


資料:総務省統計局「国勢調査」                        

表はその時点で結婚していない人の割合を示しています。40~44歳の場合、1980年当時は男性で4.7%、女性で4.4%と結婚をしていない人の割合は1割未満でしたが、2015年時点では男性で30.0%、女性で19.3%と大幅に上昇しています。

今回は結婚することのメリットやデメリットを収入や税金など、経済的な面から考えてみましょう。
 

「一般的な家庭」とは?

家族や世帯について話をする際に、夫婦と子供1人~2人の家庭を「一般的な家庭」ということがあります。果たして、今はこういった家族像が本当に一般的なのでしょうか?その答えは以下の表が示しています。

この30年程度で単独世帯は2倍以上となっています。また夫婦のみという世帯も増えています。一方で一般的な家庭といわれることの多い夫婦と子供の世帯は減少傾向にあります。

2019年時点で夫婦+子の世帯数よりも単独世帯の方が多くなっているのです。今や一人で生活するスタイルを「一般的」と呼ぶべきなのかもしれません。

〈世帯構造の変化(単位:千世帯)〉    

厚労省資料より

ひとり親+子の世帯も増えていることが分かります。「シングルマザー」、「シングルファザー」という言葉を耳にする機会が多いように、離婚や死別後、またはそもそも結婚をせずにひとり親で子育てをする人も増えているのです。

結婚の晩婚化、未婚率の上昇などが世帯構造にも大きな変化をもたらしています。皆さんは今どんな家庭を築いていますか?これから結婚を考えている人は、いつ頃結婚したいですか?

結婚について考える上で、本来は相手との相性、価値観などさまざまな要因がありますが、ここからは「お金の面」に絞って結婚のメリットとデメリットを見ていきたいと思います。

結婚のメリットを経済的に見ると?

貯金する夫婦
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収入面

「Wインカム」(共働きでそれぞれに収入があること)という言葉があるように、2人で働くことができれば単純に世帯収入は増えます。特にそれぞれが正社員で働いている場合は毎月貯蓄に回せる額も多く、ゆとりのある生活が可能です。

現在は産休や育休も以前と比べ取得しやすい環境になってきました。途中で子供ができた場合も引き続き同じ会社で働くことができれば、大きく収入が減ることもありません。

税金面

夫婦どちらかが「扶養の範囲内」で働く場合は、片方が「配偶者控除(または配偶者特別控除)」という所得控除を適用できるため、その分、所得税や住民税の負担が軽減されます。

例えば夫が年収500万円、所得税率10%、住民税率10%だとします。妻が年収100万円でパート勤務の場合、所得税で配偶者控除38万円、住民税で33万円が適用されるため、それぞれの10%、3万8000円+3万3000円=7万1000円もの税負担軽減につながります。
※税額の計算は概算です。それ以外の要因は考慮しないものとします。

同じ会社に勤務している独身の人にはこういった所得控除は適用されないため、大きなメリットとなります。

では自営業の場合はどうでしょうか?この場合も結婚したからこそのメリットがあります。それが「専従者給与」です。

皆さんは夫婦で切り盛りする飲食店で食事をしたことはありませんか?夫が主たる事業主で調理全般を行い、妻が接客や会計を手伝っている。このようなお店です。この場合、主たる事業主である夫から妻へ給料を払うと、この給料が夫の必要経費となるのです。

夫婦間で同じ世帯でのお金のやり取りでもあるにも関わらず、経費にできるのは税務的に大きなメリットがありますよね。

先に紹介した夫婦どちらも正社員の「Wインカム」の場合、ここまで紹介したようなメリットはありませんが、1つ大きな税金面のメリットがあります。それは「住宅ローン控除」です。

住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高の1%が「税額控除」となるものです。「税額控除」は配偶者控除などの「所得控除」よりも効果が大きく、例えば、残高が3000万円の場合、その1%、30万円が直接税額から控除されます。単純に30万円分税負担が軽減されるのです。ただし、この制度もローン残高に上限があります(住宅を購入した年などによって異なります)。

そこで、夫婦で住宅を購入し、夫婦それぞれがローンを組むぺアローンを選ぶ場合などは夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることができるのです。

社会保険面

社会保険面では税金と同じく、いえそれ以上に「扶養の範囲」のメリットを受けることができます。特に夫婦の一方が会社員や公務員の場合です。

例えば夫が会社員で妻が専業主婦の場合、妻は健康保険料も年金保険料も払う必要がありません。健康保険は「被扶養者」という位置づけになり、保険料の負担はなく、健康保険証を夫の会社を通して受け取ることができます。年金も同様に「第3号被保険者」として国民年金に加入することになりますが、保険料を払う必要はありません。

なお、先に紹介した自営業夫婦の場合はこういったメリットはありません。自営業者が加入する国民健康保険には「被扶養者」という制度がなく、年金においても2人それぞれが国民年金保険料を払う必要があります。

65歳となり老齢年金を受け取る側になっても1つメリットがあります。それが「加給年金」です。年金の家族手当のような位置づけで、例えば夫が65歳で妻が63歳の場合、一定の条件を満たせば妻が65歳になるまで2年間加給年金を受給できます。

今年度の価格は39万500円(受給権者が昭和18年4月2日生まれ以降の場合)です。年金は2カ月に1回受給しますが、その都度6万円程度の“手当”が付与されるのです。2人で力を合わせてセカンドライフを生きていく上で大きなメリットとなります。

その他、結婚して夫婦になるメリットは?

皆さんはスーパーで「おひとり様1つまで」という特売商品を見たことがあると思います。特売商品、目玉商品なので多くの方に購入してもらいたいため個数制限がされているのです。

実はスーパーの買い物のみならず、お金関係で「おひとり様1つまで」というものがあります。それがNISAやiDeCoといった税制面で優遇される制度です。

NISAは一般NISAやつみたてNISAがあり、本来なら配当金や売却益に所得税・住民税含め20.315%(原則)課税されるところNISA口座内では非課税で取引が可能となります。

iDeCoは個人型の確定拠出年金で60歳まで引き出せないという制限がありますが、運用中に課税されることはなく、また掛金が全額、小規模企業共済等掛金控除として所得税や住民税を計算する上での所得控除となります。つまり、老後に備えながら毎年の給与等に生じる税負担を軽減できるのです。

NISAにiDeCo、どちらも大変魅力的ですが、こういった制度は1人1口座となります。また一般NISAは年間120万円、つみたてNISAは40万円までといった投資額に上限があるため、いくら余裕があってもそれ以上の額を非課税で投資をすることはできません。

よって夫婦で取り組めば、例えばそれぞれがiDeCoに加入し、NISAについては、夫が一般NISAで妻がつみたてNISAという具合に、より多くの金額を、そしてバリエーションに富んだ資産運用ができるのです。

結婚のデメリットをお金の面から

腕組みして顔をそむけた夫婦
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今度は逆にお金の面から結婚することのデメリットを見たいと思います。もちろん結婚に伴い結婚式や新婚旅行など費用が生じますが、ここでは結婚後のお金について紹介します。

お金の価値観

まずは二人のお金に対する価値観の違いが大きなデメリットとなる場合があります。単独世帯に比べ、結婚後は2人でお金の管理をする必要があるので、わずかな価値観の違いが夫婦喧嘩につながることもあるでしょう。

一方が生活費を渡さない、小遣い制になりお金が自由に使えない、相手の浪費癖がひどい。など火種となる要素はたくさんあります。つい、「一人のほうが良かった」と発したくなりそうですね。

離婚のリスク

「結婚することよりも離婚することの方が数倍大変」と経験者は異口同音に振り返ります。もし離婚することになると、離婚に伴う費用や購入した住宅はどうするのか?子供の養育費は?など、多くの気苦労やお金の問題がのしかかってきます。結婚する前から離婚のリスクは考えたくありませんが、これは結婚しなければ生じないリスクです。よって、広い意味で結婚のデメリットといえそうです。

教育費の“インフレ“傾向

結婚して子供が誕生。多くの夫婦にとって幸せを感じる時だと思いますが、あえてお金面のデメリットに切り込むならば、教育費は上昇傾向にあるということです。

文部科学省の国公私立大学の授業料等の推移によると、私立大学の授業料は平成元年時点で約57万円だったところ、現在は90万円程度。倍近くまで上昇しています。1人の子供を育てるための負担がどんどん増しているのは結婚を考える上での足かせとなりかねません。

文部科学省/国公私立大学の授業料等の推移

まとめ

あくまで「お金」に絞って結婚のメリットとデメリットを見てきました。もちろん結婚はそれ以外の要因の方が重要だといえます。皆さんの判断基準を大切にしてください。

メリットとデメリットをまとめました。どちらも共通して言えることが「早めに制度の仕組みや最新の情報をしっかりキャッチすることが大切」だということです。夫婦2人でメリットを感じる働き方をするためには、前もってそのような雇用契約や勤務体系にしておく必要があります。

「扶養の範囲内」で働くことは、どちらも正社員で働くことと比べると世帯収入は減る可能性があります。これは収入面ではデメリットとなりますが、「働く」ということにどのような価値観を持っているのかでデメリットと感じるのかどうかは変わってきますので、結婚前にお互い確認しておきたいところです。

社会保険や税金は年々制度が変わります。早めに情報に触れることで、2人で話し、お互いが満足のいくライフスタイルを描くことができれば、デメリットを感じることもないかもしれません。もちろん、結婚をしないというライフスタイルにも魅力がたくさんあります。結婚は人生の大きな分岐点となりえますので、ぜひ自分の価値観を大切に後悔しない選択をしてください。

結婚のメリットについてのQ&A

Q.男性が「専業主夫」の場合も社会保険や税金上のメリットを受けることはできますか?

A.はい、記事中で紹介した年金の第3号被保険者や税金の配偶者控除は男女関係なく受けることができます。ただし、年金には「中高齢寡婦加算」や「寡婦年金」など文字通り女性のみを対象にした制度もあります。

Q.離婚を決意するのは男性側、女性側、どちらが多いでしょうか?

A.裁判所が公表している資料などによりますと圧倒的に女性側から離婚を切り出しているようです。性格の不一致が主たる要因で、この性格にはお金の使い方についても含まれそうです。結婚前にどのように家計管理をするか話しておきたいですね。